資産運用への関心の高まりと同時に、大きな失敗をする人も後を絶ちません。資産運用ともう少し真面目に向き合う姿勢が必要なのではと感じる今日この頃です。

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資産運用への関心の高まり

「貯蓄から投資へ」を合言葉にNISAや個人型確定拠出年金iDeCoなど、資産運用を始めやすい環境が整ってきました。預金金利も低い状況の中、資産運用を始めて少しでも増やしたいと思う方はとても多く、またインフレによる現金の価値を目減りさせない為にも資産運用のご相談が増えています。

資産運用に不真面目?

ほとんどの方が真面目に仕事をして、必死にお金を稼いでいます。長かったデフレ時代のおかげで、「節約」や「やりくり」もとても上手です。しかしながら、資産運用の事になると急に「無防備」になってしまい、学ぶ事もせずに大金を投じ失敗してしまうケースが後を絶ちません。このようなご相談を受ける度にFPとして、とても悲しい気持ちになってしまいます。資産運用に対しては何故かとても「不真面目」で金融リテラシーの低さを感じてなりません。

家計を守る事を忘れない

少しでもお金を増やしたい、そして自分と家族の為に使えるお金を増やしたい、という目的で資産運用の世界に一歩踏み出す方がほとんどですから、「家計を守る」という観点を忘れてはいけません。資産運用の世界は常にお金が増減しますので、ある程度は自分でリスクコントロールをする必要があります。最悪の事態にはどう備えるのかと想定しながら、お金を増やす事も大切ですが、減らさない努力も必要になります。金融商品を安く買って高く売るという手法もありますが、決して安定はせず、こういったやり方は「家計を守る」という観点からも遠くかけ離れています。

大切な事は知識と経験の掛け算

例えば、以下のような四則混合計算、大人なら解ける問題ですね。

42×{ □+(8×2-12)÷5 }÷(3÷7)=294

小学生の時に足し算、引き算、掛け算、割り算、カッコのある計算のルールとそれぞれの知識を身に付けて初めて解ける問題です。しかし知識があっても、解答を正確に導くには、多くの計算問題をこなし、慣れておくことが大切です。

資産運用の世界も同じで、株式や債券、金利、為替、不動産といった知識を体系的に身に付け、資産運用に関わる手数料や税金なども知る必要があります。また、経験を積むことでしか相場観は身に付きませんので、学ぶだけではなく、少額からこつこつと売買を始めることが重要です。このように真面目に向き合う事もせずに資産が増やせるほど、甘い世界ではありません。

失敗から学ぶ

資産運用は決して「楽して稼げる」世界ではないという事は経験者なら皆ご存知でしょう。しかし、少々失敗したからといって資産運用の世界から撤退するのはもったいない事です。個人投資家は皆、知識を身に付け、小さな失敗と成功を繰り返しながら、自分なりの手法を身に付けお金の器を少しずつ大きくしています。

私自身、FPの資格を取った理由のひとつに、「なぜ株で失敗したのか?」という原因を知りたいというハングリー精神がありました。失敗からしか学ぶことができない事もありますので、失っても困らないお金で始めることが最低限のルールです。

生きたお金の使い方としての資産運用

お金とは人の役に立って、はじめて自分のところに入ってくるものです。例えば、株を買うことは、その会社の一部を保有することなので、自分の投資したお金が企業の役に立ち、利益が出れば、その一部を配当として受取ることができます。このようなお金の流れが増えれば、社会全体への景気浮揚などの好影響が期待できるようになります。

近江商人の心得「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」は有名ですが、この理念は資産運用の世界にも通用するもので、企業、投資家(消費者)、社会が「三方よし」の関係を築くことができれば、必ず経済に好循環が生まれます。投資家が「自分だけ利益が出ればいい」という考え方をしていては到底無理な話です。

自分と家族の為、そして企業や社会のためにと、「お金の生きた使い方」を通して、一人でも多くの方の人生が幸せになるような資産運用を目指してみませんか?
(文:二宮 清子)