「有名人を生む無名の男」が語る、ブランドが乗るべき3つの波

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男性ファッション誌GQは昨年10月、「The Unfamous Man Who Made Everyone Famous(あらゆる人を有名にした無名の男)」と題した記事を掲載した。今年、本人と直接話す機会があった私は、彼に非常に感銘を受けたため、改めてインタビューを設定してこの無名の人物からブランドが学べることについて聞いた。

人材マネジャー、代理人、映画プロデューサーとして輝かしい経歴を持つシェップ・ゴードンは、今まで聞いた中でも最高レベルの経験談の数々を聞かせてくれる。彼がアリス・クーパー、ブロンディー、ピンク・フロイド、リック・ジェームスのような有名人が名声をつかむ立役者となったことを考えれば驚きではない。

ゴードンは他にも、初のシェフ専用タレントエージェンシーを立ち上げてエメリル・ラガッセやウルフギャング・パックのようなタレントシェフを世に送り出し、ハリウッド映画の大ヒットも数え切れないほど飛ばしている。ゴードンについての映画さえある。(俳優のマイク・マイヤーズが監督を務めた『スーパーメンチ 時代をプロデュースした男!』)

こうして、私たちの社会を形成する文化的・社会的現象に関わってきたゴードンは、より多くのブランドがこうした現象に注意を払うべきだと信じている。「大事なのは、波に乗ること。私の場合は、他人を有名にするのに役立ったよ」と語る。

数々のスターを生み出した無名の人物シェップ・ゴードンから、現代のブランドは多くを学べる。

「破壊」と呼ぶな

多くの社会・文化的変化を経験したゴードンは、ブランドが「破壊的」になろうと注力することに否定的だ。「破壊」は実際にさまざまな業界で起きている現象を示しているというよりかは、単なる「流行語」の向きが強い。

「現実に起きているのは、親と子の世代間によくある隔たりだ。新しい世代は、親とは違う服や音楽を欲しがる。親はそれを受け入れるべきなのに、嫌悪感を示すことが多い。若い世代がもたらす変化に古い世代が適応し、受け入れることが本当の変化。これをブランドは理解すべき」

ブランドが成功するためには、新世代の到来によって生まれるこうした変化に注意を払う必要がある。ミレニアル世代がそのいい例だ。だがブランドは今になってようやくミレニアル世代に注目し始めている。すでに大きな変化を先導するジェネレーションZにも目を凝らし、変化の潮流を観察することが必要だ。

共有の波

ゴードンによると、ブランドが備えるべき新たな波は3つある。第1の波は、全てが公共物になる動きだ。

現在どこのレストランでも見られる共有テーブルは25年前には存在し得なかった、とゴードンは言う。この流れの先駆者の一例はスターバックスだが、他の企業も後に続いている。

「こうした波の発生原因を探し、そこに入り込む準備をしておくことが重要。そうすればブランドは勝てる」

大麻の波

2つ目の波は、大麻合法化による事業機会の拡大だ。全てのブランドがこの波に乗れるわけではないが、観察と考慮に値する動きであり、「米国で大麻を合法化する州が増え、研究の進展によりその効果が実証されるにつれ、流れが変わってきている」とゴードンは指摘する。

大麻から新たな収入源を確保したレストランやパン屋など、多くの先進的ブランドがこの波に乗っている。健康状態に合わせ、従来の薬と同時に大麻を処方する医療機関に加え、法令順守や支払いなど、大麻業界の課題点に合わせた新たな事業に取り組む企業もある。

社会意識の波

第3の波は、社会意識に関する動きだ。ブランドは「ペイ・イット・フォワード(恩送り)」で自らの善行を他者と共有することに関心を持つ消費者や企業を利用できる。