ありえない速さでも驚愕の乗り心地

 日本の「トヨタ自動車」、ドイツの「TMG」、そしてフィンランドの「トミ・マキネン・レーシング」の三位一体で構成される「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」。そのホームタウンであるフィンランドラリーで、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組がWRC初優勝、ユホ・ハンニネン/ガイ・リンドストローム組が初表彰台となる3位を獲得。筆者はポディウムで「君が代」を聞いて感動した。

 その興奮冷めやらぬ翌日、TMRを訪れると、何と「WRカーの同乗試乗」と言うスーパーサプライズが用意されていた!! マシンはカラーリングが一切施されていない真っ白なテストカーだが、中身はフィンランドラリーを走ったマシンとほぼ同じの最新スペックだと言う。更にドライバーは前日までラリーを戦っていたヤリ-マティ・ラトバラ/エサペッカ・ラッピ/ユホ・ハンニネン選手だ!!

 同乗試乗はTMRから10〜20分走った所にあるチームがテストを行なうグラベルコースで行なわれた。テストコースと言いながらも普段は一般道で、テスト時にコースを封鎖して使用するそうだ。コーナーや路面の凹凸、ジャンピングスポットなどなど、まさにラリーのSSのようなレイアウト。

 筆者が同乗したのはユホ・ハンニネン選手。助手席に座りハーネスを締め、インカムを繋ぐと「よろしく!! ラリーカーに乗るのは初めて?」と。「昔、日本でトミ・マキネンの横に乗ったことがあります」と言うと、「じゃあ、全開だね!!」と(笑)。

 無駄な物が何もないインテリアで、シートは重量配分を適正化させるために着座位置はノーマルのヤリス(ヴィッツ)よりも後側でシートポジションもかなり低めである。

 筆者の「OK!! Let’s GO!!」の合図でスタート。グラベルとは思えない抜群のトラクション、フラットな特性と俊足のシフトアップによるシームレスな加速、そして凹凸が激しいはずの路面にもかかわらず、まるで路面がフラットなのかと錯覚するくらいの吸収性の高いフットワークにニンマリ。無謀にも手持ちでインカー映像を撮ってみたが、想像よりも手ぶれが少ないことがわかると思う。ちなみにジャンピングスポットでは20mくらい飛んだそうだが、飛んでいる時の姿勢が非常に安定しているのと、着地した時の衝撃の少なさにもビックリ。

 それ以上にたまげたのはコーナリング時で、自分のなかで「それは無理でしょ!!」の想像をはるかに超える速さで駆け抜けていく。これは逆立ちしても真似できない。クルマの挙動も非常に安定している上に、ハンニネン選手のさまざまな操作に対し、クルマは“忠実”に反応していることは助手席でも十分理解できた。

 フィンランドラリーは25のSS(スペシャルステージ:総走行距離314.2km)で、WRCを代表するハイスピードグラベルコースだが、狭いコースをハイスピードで長時間走って勝負をするためには、“速い”に加えて“乗りやい”、“懐が深い”クルマである必要がある……と。それは市販車にも通じることだと短時間の同乗試乗で実感させられたファンタスティックな経験であった。できることなら“おかわり”したい!!