アシアタ・グループがアジア各国で展開する携帯電話事業

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 カンボジアに進出する日本企業は年々増加傾向にあり、日本企業による投資規模も大幅に拡大している。日本企業から注目を集めるカンボジアであるが、同国の携帯電話事業にも日本企業が参入した。

 カンボジアに注目が集まる背景や携帯電話事業に参入する狙いは何なのだろうか?

◆進む、日本企業による投資

 カンボジア日本人商工会の正会員数は順調に増えており、カンボジアに進出する日本企業は増加傾向にある。また、カンボジアの政府組織、カンボジア開発評議会によると、2016年は日本企業による金額ベースの投資規模が過去最高を記録し、日本企業による対カンボジア投資の拡大が顕著となった。

 カンボジアに進出する日本企業としては、イオンモールが首都・プノンペンで2014年6月にイオンモール プノンペンを開業したことは比較的有名で、2018年夏には2号店も開業する予定である。ノジマはイオンモール プノンペンに出店して初めて単独で外国進出を果たし、東横インは2015年6月に東横INNプノンペンを開業した。進出企業を挙げると際限がないが、製造業の分野では日本企業による工場の設置も進んでいる。

 日本との時差が2時間と少なく、経済成長を続けるカンボジアは日本企業の新たな進出先として注目される。人口は1,500万人を超えて、2016年から2021年まで一人当たりGDPの年間成長率は7%弱で推移すると見込まれ、さらなる経済成長が期待されている。

 また、2016年9月に全日本空輸が日本とカンボジアを結ぶ初の定期直行便として、成田国際空港とプノンペン国際空港を結ぶ路線に就航し、カンボジアへのアクセスが一段と容易になった。製造業の分野では安価で豊富な労働力を求めてカンボジアに進出する企業も多いが、経済成長に伴って所得水準の上昇および中間所得層の拡大が予想されるため、消費市場としての魅力も高まっている。

◆カンボジアの携帯電話事業に進出

 日本企業からの対カンボジア投資が拡大する中で、2017年6月には三井物産がカンボジアの携帯電話事業に参入した。

 三井物産は同社が50%出資する特別目的会社を通じてカンボジアの携帯電話事業者、スマート・アシアタの純粋持ち株会社の株式10%を6,600万米ドル(約74億円)で取得しており、三井物産はスマート・アシアタに対して間接的に5%出資することになる。また、三井物産は特別目的会社を通じてスマート・アシアタの純粋持ち株会社の株式10%を追加取得する権利も有する。

 スマート・アシアタはマレーシアの首都・クアラルンプールに本社を置くアシアタ・グループの子会社で、三井物産が出資後もアシアタ・グループの子会社であることに変わりない。アシアタ・グループの筆頭株主はマレーシアの政府系投資会社、カザナ・ナショナルであり、同社は三井物産の戦略パートナーでもある。これまでより、三井物産とカザナ・ナショナルは戦略パートナーとしてアジア各国で様々な事業を共同で展開しており、三井物産によるスマート・アシアタへの出資はそれの拡大とも言える。

 三井物産が出資したスマート・アシアタはカンボジアの首都・プノンペンに本社を置く企業で、カンボジア全土で携帯電話サービスを提供している。携帯電話サービスの加入件数は800万件を超えており、カンボジアにおける占有率は約40%を占める。カンボジアでは携帯電話事業者の統廃合が頻繁に起こり、2017年時点でも6社の携帯電話事業者が乱立しているが、スマート・アシアタは大手の携帯電話事業者として地位を着実に築き、ブランド認知度も高めている。

 また、スマート・アシアタは2014年1月にカンボジアで初めて4G LTEを商用化し、2017年8月にはカンボジアで初めて4.5Gを導入するなど、カンボジアでは先進的で高品質な携帯電話事業者として存在感を示している。