SuG

 X JAPAN、LUNA SEA、黒夢、Janne Da Arc 、シドなどが作ってきたビジュアル系ロックシーン。その中でも、Heavy Positive Rock(ヘヴィー・ポジティヴ・ロック)というバンドコンセプトを掲げ、また一つ違ったビジュアル系の色を作ったバンドが存在する。そのバンドは、 武瑠(Vo)、masato(Gt)、yuji(Gt)、Chiyu(Ba)、shinpei(Dr)からなる5人組ビジュアル系ロックバンドSuGだ。彼らは2007年に結成し、活動を開始。だが、2012年12月29日に活動の足を止めた。そんな中、1年の月日を経て2013年12月29日に活動を再開。活動休止の苦難を乗り越えて、今年で結成10周年を迎えた。そして、その節目となる2017年9月2日には、彼らがずっと追いかけ続けてきた夢の場所、日本武道館でライブを開催する。10年という長い年月を過ごしてきた中で、ようやく念願の日本武道館にたどり着く彼ら。活動休止をしていたにもかかわらず、10年もの間ファンに支持される魅力はなんなのか?そこを是非とも紹介したい。
 

個性豊かなメンバーに虜

 まず、SuGのメンバーについて知っていただきたい。フロントマンの武瑠はボーカルを務めるだけではなく、全楽曲の作詞やバンドのアートワークを担当。それに加えてPV監督も務めている。武瑠は、ファッションセンスも個性的。以前はファッション雑誌『KERA』でモデルの姿も見せていた。そのオシャレさを生かし、「million $ orchestra」という独自のファッションブランドを設立。デザイナー兼プロデューサーを担当している。PVには、「million $ orchestra」で制作した衣装やアクセサリーも使用されており、音楽とファッションを融合した面白さも表現している。
 
 音楽だけの活動には留まらず、2012年1月19日には小説「TRiP」を発売。ここで初めて小説家としての顔を見せた。その他にも、映画『ビートロック☆ラブ』や『少女椿』に出演するなど、役者としての一面も覗かせた。  
 
 ライブでは少年のように無邪気な笑顔を見せたり、時にSっけを炸裂させるトークをしている姿がよく見られる。その反面、SNSや歌詞にはとても繊細で儚い言葉を放つ事も多く、孤独と戦い続けている姿勢が強く示されている人物だと感じる。
 
 SuGのリーダーを務めているのは、上手のギターを担当しているmasato。通称まーたんだ。とても温厚な人柄と紳士的な振る舞いでSuG充(ファンの呼び名)からは、王子様キャラだと言われている。またSuGの中で美容担当をしており、一番美容の意識が高い。美しい王子様キャラでもあるが、大のミニ四駆好きでもあり少年のような心を持っている。

 下手のギタリストを担当しているのは、yuji。LIVEでは、メンバー1NGワードを連発するためかなり面白いキャラをしている。尚且つアイドル好きで、予測不可能な動きを見せることでも話題だ。唯一メンバーでSNSをやっていないため、ライブ上やインストアイベントでしか彼の近況情報を得ることはできない。そのため、かなり自由奔放な性格だと感じる。だが、そういったユーモア溢れる人間かと思いきや楽曲のメインコンポーザーを務めており、SuGの軸となっているサウンドを担っている。面白さであまり表には出していないが、彼が一番ストイックな性格をしている人物だと感じる。
 
 ベースを担当しているのは、Chiyu。関西出身のメンバーで、SuG充からはヤンキーキャラだと認定されている。関西出身のため口調が悪くなったりするが、一番心の優しさを持っている。そのギャップにハマるSuG充も多いよう。ベースだけでなく、アルトサックスも吹けるためSuGのLIVEでも度々披露されている。
 
 ドラムを担当しているのは、shinpei。2009年10月14日にリリースされたシングル「Life■2Die」から途中加入した。身長158cmで体重41kgという非常に小柄な体系ながら、ドラムパフォーマンスはとても力強く、そのギャップに度肝を抜かれる。加えて、可愛らしいキャラにもかかわらず、下ネタトークを繰り広げている時もあるのでSuGで一番男らしい人物だ。
 
 上記でメンバーを一人ずつ説明したが、この5人はキャラクターが全く被らない。それぞれ5人が異なるキャラクターを全面に押し出しているおかげで、一人一人の面白さが表現されており、良い塩梅でバンドの世界観を作り上げている。そこが、SuG充にとって見事にハマるポイントだ。
 

心を鷲掴みにさせるHeavy Positive Rockという音楽

 SuGの音楽スタイルは、非常に様々。武瑠が初めて作ったというインディーズ時代の楽曲「I SCREAM PARTY」では、パーティーロック感を強調。2ndアルバム『Thrill Ride Pirates』収録曲の「mad$hip」や2ndミニアルバム『SHUDDUP』収録曲の「KILL KILL」ではハードロックで暴れるスタンス。4thシングル「Crazy Bunny Coaster」や、5thシングル「☆ギミギミ☆」、8thシングル「swee†oxic」では可愛らしくも踊れるナンバーを制作。その反対にバンド史上初めてリリースしたDVDシングルの「無条件幸福論」や1stミニアルバム「桜雨」では極上の泣けるバラード曲も手掛けた。そして、12 thシングル「teenAge dream」では今までにない程ドストレードでメッセージ性のある音楽を生み出した。これらを見るだけでも、非常に幅広いジャンルの音楽を届けている。筆者がSuGにインタビューをしたとき、武瑠はこんなことを話していた。「「teen Age dream」とかそこら辺からもう1回、SuGらしさってなんなんだろう?ってみんなで話していて。それで生まれたのが「SICK‘S」という曲。それを作ったときに、SuGの一番の持ち味ってこういう感じだよなって」
 
 これはあくまで、個人的な見解だがSuGは活動を再開してから少しだけ音楽性がSuGらしくない部分が目立った。どの曲も素晴らしく良い音楽だが、彼らの持ち味であるものは、ポップで踊れる前向きな曲。それを再び強調させたのが、「SICK‘S」だ。いつだって彼らの軸が変わらないのは、Heavy Positive Rockというコンセプト。「SICK‘S」の歌詞に、<一生分傷つくんだから一生分楽しまなきゃ実際もうみんな病んでんだ狂ってけ狂ってけ 被害者ぶった価値観じゃ神様に嫌われんぞ ほらたまには欲望のままに熱くなってみれば>というフレーズがある。武瑠が綴る歌詞の中には、弱音を吐いたっていいけれど最後は前向きになってほしいという想いが込められている。様々なジャンルを織り交ぜながらも、ただの応援歌ではなく、弱さを認めながらも強く生きてほしいそんな音楽スタイルが、今を懸命に生きているファンたちに反響を呼んでいるのではなかろうか。

 こういった音楽を作り上げてきたSuGが、9月2日に日本武道館で単独公演を開催する。活動休止をした2012年12月29日の代々木第二体育館に、筆者も訪れていたのだがその時に流れていた楽曲「0song」に多くのSuG充が涙を流していたのを今でも鮮明に覚えている。活動休止にも関わらず、再び戻ってくるよと伝えているかのように歌詞には<あぁごめんねすこしだけさびしくさせてしまうけど さびしくさせるだけだからさよならはいわないよ>と綴られていた。その言葉通り、彼らはパワーアップして戻ってきてくれた。活動休止を経て、更なる進化を遂げた彼らは夢の場所、日本武道館に突き進む。
【文=橋本美波】

※文中■はハートマーク