レスターに所属する日本代表FW岡崎慎司【写真:Getty Images】

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岡崎慎司にとって殊更に重要だった開幕2戦連続ゴール

 17/18シーズンのプレミアリーグが開幕し、ともに好パフォーマンスを披露している吉田麻也と岡崎慎司。8月31日のオーストラリア戦、9月5日のサウジアラビア戦に向けた日本代表メンバーにも順当に選出された2人のプレミア戦士は、絶好調の状態で大一番に臨む。(取材・文:山中忍【イングランド】)

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 2018年W杯アジア最終予選の残る2試合に臨む日本代表メンバーにはプレミアリーグ戦士が2名。いわゆる海外組に占める割合の少なさは、移籍時に要求される労働ビザ取得基準の厳しさを反映しているが、岡崎慎司と吉田麻也はイングランド人も認める今季トップ10候補のレギュラーとして国際マッチ週間を迎えている。いずれも開幕3試合に先発出場し、国内紙によるマン・オブ・ザ・マッチ選出も経験している身だ。

 レスターでジェイミー・ヴァーディーと縦の2トップを組む岡崎が、『サンデー・タイムズ』紙のレポートで「スター・マン(傑出した選手)」に選ばれたのは第2節ブライトン戦(2-0)。後半にベンチに退くお馴染みの展開ではあったが、ピッチ上での76分間には、攻守両面で足を止めず、献身さはもちろん、頭の回転の速さでもチームに貢献する岡崎らしさが随所で見られた。

 岡崎が奪ったFKや放り込んだクロス、自陣内でのバックヒールで起点となったカウンターでのチャンスから更なる追加点が生まれていてもおかしくはない勝利だった。

 そして何より、キックオフ52秒後にセーブ後のリバウンドを逃さず決めた先制点。得点に貪欲で、常にスイッチが入っている岡崎らしいゴールは、クロスの折り返しに真っ先に反応し、いきなり奪われたリードをすぐさま前半5分に帳消しにした開幕節アーセナル戦(3-4)から2試合連続だ。

 FWならば誰でも早い時期に得点が欲しいが、岡崎にとっては殊更に重要な開幕2戦2得点でもある。

 カウンターを得意とするレスターで5人目のMF的な仕事もこなす岡崎には、ともするとハードワーカーのイメージが過度に先行しがち。ベンチが続いた時期があったとはいえ、実際にリーグ戦で3得点のみだった昨季には、レポートの中で当たり前のように「MF岡崎」と記述しているタブロイド紙もあった。

 加えて今季は、生来の点取り屋と言えるケレチ・イヘアナチョが新FWとして獲得されている。開幕前のメディアでは、バーディーとイヘアナチョの2トップを予想する声が多かったことも事実だ。

DFに特に厳しい英国メディアから評価された吉田麻也

 昨季途中から指揮を執るクレイグ・シェイクスピア監督は、オールラウンドな岡崎の能力を買って先発起用を続けている。但し、「彼はボールを持っていない時にも貢献してくれるが、もっとボックス内に顔を出せるようにしてやらなければ」という2節後のコメントからは、間接的に岡崎に得点増を求める意思も伺えた。

 無論、本人は承知の上。「(ゴールが)続くようにしたい。(フルタイム)で出続けられるわけでもないし、信頼を勝ち取るにはシーズン2桁(得点)を狙う勢いで」と語っていたのは開幕節後のことだ。

 一方、ゴールを許さないことが仕事の吉田は、サウサンプトンのCBとして開幕3試合にフル出場。2失点を喫したが、終盤から自らの意思で上がっていた“急造ターゲットマン”として、後半アディショナルタイムに決勝のPKを奪った2節ウェストハム戦(3-2)では、今季初勝利の主役として『サンデー・タイムズ』紙の「スター・マン(傑出した選手)」となってもいる。

『テレグラフ』紙でマン・オブ・ザ・マッチの評価を受けたのは、翌節のハダーズフィールド戦(0-0)だった。相手は今季昇格組で、決定的なチャンスの数で格上のサウサンプトンが上回っていたスコアレスドローは、ハイライト番組の『マッチ・オブ・ザ・デー』でも最後に回される扱い。

 それでも吉田にとっては、DFに特に厳しいと思える国内メディアから受けた意義ある評価だ。

 この手の試合では、俗に「居眠りをしていた」と表現される一瞬の集中力欠落が、格下に足元をすくわれる致命傷となりかねない。「チームメイトたちの筋量が3倍なら自分は3倍筋トレするしかない」との決意でフィジカルの壁を克服してきた吉田にも、「ポカ」を酷評された過去がある。

 だが、現在は違う。ハダーズフィールド戦でも、ボックス内でのスライディングによるシュートブロックや1対1での勝利で要所を締めてみせた。

プレミアというハイレベルな競争世界の厳しさ

 スウォンジーとの開幕戦(0-0)でも引き分けたチームには決定力不足の問題が指摘されている。同時に、昨季半ばまでの正CBが不在でも守備が問題視されずにいる事実からは、やはり吉田を認めている周囲の評価が窺える。

 主将でもあったジョゼ・フォンテが今年1月にウェストハムへと去り、守備とチームの要として後を継いだビルヒル・ファン・ダイクが、昨季後半の怪我と今夏の移籍志願で戦力外の状態でも、若いジャック・スティーブンスを相棒にリーダーシップを発揮し始めた吉田が最終ラインを安定させているのだ。

 今季リーグカップ第2ラウンドでのウルブズ戦(0-2)でもそうだったように、キャプテンマークをつけることさえある。昨季末に感想を訊くと、本人は「年功序列というか、自分が長くいるから」と謙遜していたが、古株への敬意はチーム外でも抱かれる。契約の延長は潜在能力ではなく実力発揮があればこそ。

 1度目の契約期間中に放出される外国人選手も珍しくないプレミアでは、メディアもファンも新契約を手にする難しさを認識している。2年前にプレミアの日本人として初の契約延長に成功した吉田は、今夏に2度目の新契約をとりつけたサウサンプトンの主軸なのだ。

 だからといって、地位が安泰などというわけではない。チームは吉田との新契約締結と前後して、ウェスレイ・フートという即戦力をCB陣に加えている。ラツィオから獲得した23歳は、同い年のスティーブンスと吉田の相棒役を競う線が濃厚だが、クラブが放出を拒み続ける(執筆時点)ファン・ダイクの新パートナーという見方も一部にはある。

 プレミアというハイレベルな競争世界の厳しさは岡崎も同様。レスターがマンチェスター・ユナイテッドに敗れた3節(0-2)では、交代した60分までの全力投球は相変わらずで、国内紙の評価も及第点の6点ではあっても、零封負けしたチームのFWとして「機能不十分」だとメディアで評された。

 リーグ再開となる9月9日の第4節から、プレミアでレギュラーを張る日本代表戦士2名の予断を許さない闘いも再び始まる。

(取材・文:山中忍【イングランド】)

text by 山中忍