宮澤賢治「銀河鉄道の夜」の銀河鉄道はどうして天の川を走ったのか?

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宮澤賢治の描いた『銀河鉄道の夜』

宮澤賢治の代表作のひとつでもある『銀河鉄道の夜』。「もちろん知っている」という人も、「たしかに読んだことはあるはずなんだけど、どういう話だったか覚えていない」という人もたくさんいると思います。

かなり端折って説明すると、主人公のジョバンニが親友カムパネルラと一緒に「銀河鉄道」に乗って、銀河をめぐる旅をする話です。特に日付の記載はありませんが、物語に登場する星座から、初夏から初秋にかけての物語だといわれています。少年の心の揺れ動き、そしていうまでもなく、宮澤賢治の描く銀河の情景を楽しむことができる作品です。

天の川と銀河

宮澤賢治の描く『銀河鉄道』は「天の川」に沿って走っています。ところで、みなさんは「天の川」が何かご存じでしょうか?

天の川は「銀河系」と呼ばれる、数千億個の星の集まりです。そして、私たちが暮らす地球のある太陽系も、この「銀河系」の中にあります。銀河系は真上から見ると大きな渦巻き型をしていますが、横から見ると凸レンズのような形をしていて、ちょうど太陽系から銀河系を眺めると、ひらべったい帯のような形に見えます。これが私たちが見ている天の川なのです。

銀河鉄道が広い宇宙の中で「天の川」を走っていた理由

しかし、「銀河」はとても広いのに、なぜ銀河鉄道は天の川だけを走っていたのでしょうか。

実は、かつて天の川は「銀河」と呼ばれていました。しかし時が進むにつれ、天の川の外側にも似たような星の集まりが数多く発見されたため、それらすべてを「銀河」と呼ぶようになりました。そこで、かつての「銀河(天の川)」を「銀河系」と呼び区別することになったのだそうです。私たちのいる太陽系は銀河系のほんの一部にすぎないし、銀河系の外にもまた別の銀河が存在しています。

宮澤賢治は夜空に帯状に広がる銀河(天の川)を、たくさんの人々の想いを乗せ、色とりどりに輝く夜空を走る鉄道の線路に見立てたのではないでしょうか。人は死んだら星になる、という言い伝えも、ふと頭をよぎります。

銀河鉄道の夜