医師が学会で語ったレーザー脱毛の正しい知識

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「永久脱毛」という言葉を聞いたことがある人は少なくないだろう。本当に永久に毛が生えてこないわけではないが、長期間毛が生えてこない状態を維持できる施術として知られている。

手軽なイメージもあるが、しかし、2017年7月29日〜30日に大阪で開催された「第35回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」で、新宿南口皮膚科の乃木田俊辰医師は注意すべき点は少なくないと話した。

永久脱毛は間違っている?

乃木田医師は、人が死ぬまで毛が抜け続けることを証明するのは不可能であり、そもそも医学的には「永久脱毛」という言葉が間違っていると指摘する。世界で初めてレーザーによる脱毛という手法を確立したハーバード大学の医師は「永久減毛」という言葉を提唱していたという。

施術を受ける患者側は永久脱毛だと考えていても問題はないが、「少なくとも医師は永久脱毛とは正しくは永久減毛であると正確に理解していなければいけない」と乃木田医師は話す。

ちなみに永久脱毛が可能なのは医療機関で受けられる「レーザー脱毛」のみで、エステサロンなどが提供している「光脱毛」ではできない。これはレーザー脱毛がメラニンなどの色素に反応し毛を産生する幹細胞を破壊するためだ。

幹細胞の完全な破壊は医療行為となり、エステサロンで提供すれば違法となる。そのためエステサロンでは不完全な破壊、つまり一時的な脱毛しかできない。「永久脱毛が可能」などと謳うエステには注意が必要だろう。

もちろん、医療機関でも注意すべき点はある。例えば施術回数だ。体毛は一定期間成長すると抜け落ちてまた生える、「毛周期」というサイクルを繰り返しており、成長期の毛にレーザーを当てる必要がある。

また、毛の生えている部位によって成長期と休止期の毛の割合が異なり、ワキの場合は30%となるため、1度レーザーを当てただけでは3割しか減毛できない

「毛周期があるため、レーザー脱毛は1回では終わりません。条件によって異なる可能性はありますがワキなら2か月に1回、5〜7回繰り返すことが重要です」

レーザー脱毛の効果がある部位は限られる

では、複数回施術を受け続けていれば、全身の永久脱毛も可能なのだろうか。乃木田医師は「全身の永久減毛はできない」と言う。レーザー脱毛の効果があるのは太く黒い毛の生えるワキや膝下、Vライン、男性のひげなど特定部位のみで、細い毛の生える腕や背中、肩、うなじ、フェイスライン、大腿などは難しい。

これはレーザーの特性によるもので、黒くて太い毛には反応するが、うぶ毛のような細く色も薄い毛には反応しにくいためだ。一時的な脱毛が可能でも、長期的な効果は望めないのだ。

乃木田医師は、実際には全身の永久脱毛ができないのに「できる」と答える医師には注意すべきだと警鐘を鳴らす。

「細い毛やうぶ毛はレーザー脱毛することで濃くて硬い毛に変わってしまう硬毛症という副作用があることが知られており、特にレーザーの反応が悪い部位が好発(よく発症する)部位です。頻度は10.5%程度で高くはありませんが、一度発症すると完治しません」

手軽なイメージもあるレーザー脱毛だが、施術を検討している人はまず正しいレーザー脱毛の知識を把握して、医療機関で専門医に相談すべきだろう。