提案書は「3色以内」にしぼって統一感を

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■JTB「ストーリーをもたせたプランで、大規模な周年事業を実現」

旅行会社のJTBで法人営業を担当する篠田佳奈子さん。篠田さんが社員旅行や研修などを提案する際に欠かせないのが提案書だ。

「昔はホテルや食事など、旅のスペックにフォーカスした提案書をつくっていました。でも“モノ”に焦点をあてた内容では本当の意味で満足のいく提案はできないのではと気づいたのです」と篠田さんは振り返る。

そこで“モノ”ではなく“コト(体験)”を売る形に方向転換し、「旅マエ、旅ナカ、旅アト」のシーン別にストーリーをもたせたプランを提案するように。その結果、ある小売業の社員400人が参加する大規模な周年事業を実現させた。

「いい提案書とは、マクロ環境分析、課題設定、解決方法が書かれていることに加え、顧客の“想い”が乗っているもの」と篠田さん。心を寄り添わせた時間の長さが伝わってくる。

▼プレゼンテーションクリエイター 前田鎌利さんが資料を判定

◎ピカピカOK資料

【good!】使う色を3色以内にしぼっている
黒以外に使う色は、3色以内にとどめるのが鉄則。自社や顧客のコーポレートカラーを使うときは、それと同じ色か、同系色を使うといいでしょう。ここでは赤、ピンク、ブルーグレーの3色しか使っていないので、統一感が生まれています。
【good!】4つの目的をボックスで整理
旅の目的を4つのボックスに入れているので、見る人の頭が整理されます。強いて改善点を言えば、ボックスの中に入れた文字に下線は不要。下線があると文字がつぶれて読みにくくなってしまいます。四角で囲むことで、十分強調できますよ。
【good!】人間の目の動きと同じ左から右へ
時間の経過や因果関係を示すときは、「左から右へ」がルール。「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」が矢羽根で表現されていますが、左から右へ流れているのがいいですね。人間の目は左から右へ動くので、これならスムーズに理解できます。

×あるあるNG資料

【bad!】使う色が多すぎてゴチャゴチャに
赤、緑、ピンク、青、黄と黒以外に5色も使われているので、ゴチャゴチャしてあか抜けない感じ。フォーマットが決まっていて、コーポレートカラーを使わなければいけないような場合は、できるだけそれと同じ色か似たような色でまとめると洗練された印象になります。
【bad!】フォントを何種類も使用
4種類ものフォント(メイリオ、明朝、丸ゴシックなど)が使われているので、なにやら散漫な印象。フォントは1、2種類に統一するのが原則です。文字の大きさを変えてメリハリをつけたり、丸や四角で囲んだりすれば同じフォントでも強弱がつけられます。
【bad!】漫画的な表現は避けたほうがいい
「旅マエ、旅ナカ、旅アト」を星形の吹き出しにして驚きを表現していますが、漫画的な表現はビジネスの場では避けたほうが無難です。吹き出しの中の文字が黄色なのも読みにくい。文字の背景を濃い色にするなら、文字は白にしたほうが見やすいですね。

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<篠田さんの資料づくりのコツ>▼社内・社外のブレーンを活用しアイデアを出していく
旅の目的が「社員同士の結束を固める」「特別感を演出する」ことだとしたら、どんな企画がいいのか。社内の企画開発局のメンバーに相談し、ブレストをするうち実施場所に「ハワイ」や「沖縄」などの候補地や、「ビーチ清掃のボランティアは?」「植樹祭はどう?」などのアイデアが出てくる。
▼「想い」を共有するためには綿密な下調べから
篠田さんの提案書づくりは相手先企業を調べるところからスタート。Webサイトや会社案内はもちろん、社長のインタビュー記事にも目を通し、自分で商品を買って使ってみることも。そのうえでヒアリングを重ね、ニーズを探る。単なる社員旅行にしないためには、相手と「想い」を共有することが不可欠。
▼自分の目で反応を見届け、次の提案に生かす
篠田さんは自身が企画を担当した旅行に添乗することも多い。自分の提案したイベントが、参加者にどんなふうに受け止められたのか、自分の目で確かめることができるからだ。好評だった点も、改善の余地が見つかった企画も、旅行中に得られた貴重なフィードバックはすべて次の提案書に生かしていく。

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篠田佳奈子
JTBコーポレートセールス 霞が関第四事業部。JTB首都圏新橋支店法人営業部門を経て、組織改編でJTBコーポレートセールス法人営業部門に配属。一貫して法人営業の道を歩む。現在の担当は医薬、自動車業界など。
 
前田鎌利
監修プレゼンテーションクリエイター/書家。ソフトバンク在職中、孫正義氏の後継者育成機関の第1期生に選考され1位を獲得。孫氏のプレゼン資料づくりも数多く担当した。著書の『社内プレゼンの資料作成術』シリーズは11万部を超えるベストセラー。
 

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(ライター&エディター 長山 清子 編集=福田 彩 撮影=強田美央)