年収890万円未満は"社会のお荷物"なのか

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これから日本には誰も経験したことがない「超高齢化」が訪れる。そのときどんな変化が起きるのか。歴史を振り返りながら、「衰退期」に向けた家計の備え方を解説する。第2回は「税金」。いまの日本は、現在の高齢者のために、将来の日本人へ「ツケ回し」をする構造になっている。「ツケ」を支払うときが、刻々と迫っている――(全6回)。

■「担税力」にかかわらずサービス提供できるか

年金に代表される「社会保障」の負担は、国の財政を圧迫している。現状把握のため、内閣府は「税・社会保障等を通じた受益と負担について」という試算を経済財政諮問会議に提出している。図はその抜粋だ。棒グラフのなかほどにある数字は、年金や教育など各種サービスによる「受益」と、税負担や保険料などの「負担」を合算した金額である。

たとえば世帯年収が約755万円、世帯主が40代男性で共働き、子どもなしの場合、約135万円の負担超過。60代男性で妻と2人、子どもなしの場合、約196万円の受益超過となっている。前者の共働き世帯の税負担だけでは、後者の年金世帯を支えられないことになる。

ブロガーの山本一郎氏が解説する。

「内閣府の試算をもとに計算すると、世帯の総収入が890万〜920万円を超えるまでは『受益超過』となります。所得がそれ以下の世帯はいわば『社会のお荷物』です。表現は過激かもしれませんが、これは日本社会の素晴らしさでもあります。なぜなら所得が低く『担税力』のない人にも、市民サービスを平等に提供するという合意の表れだからです。ただし、そうした美しき日本社会は、近い将来、経済・財政的に破綻する恐れがあります」

■現在の高齢者のため将来に「ツケ回し」

日本は急速な高齢化を迎えており、2060年の高齢化率は40%に迫る。5人に2人が高齢者となる状況では、現状の構造は持続不可能だ。図1をみると、世帯主が70歳以上では平均で2389万円の貯蓄があることがわかる。世代的にみて、余裕があるのは高齢者だけだ。

「真面目に暮らしてきた高齢者は、現役時代に築き上げた財産や貯蓄があります。このため高齢者のほとんどは『持ち家』です。しかし若い世代ほど住宅取得が困難になっています。国の社会保障給付費は約110兆円。国庫負担分だけでも社会保障費は32兆円で、国の借金である国債費34兆円に匹敵します(図2)。現在の高齢者のために、将来の日本人へ『ツケ回し』をする構造です。その負担はこれから確実に増加します。日本社会は高度成長期の蓄えをほぼ使い切り、今後は貧しい国になる恐れが高いのです」(山本氏)

(プレジデント編集部)