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 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。インタビュー後編の今回は「Webでブランディングができて“売り”につながるのか?」というテーマに迫る。

本インタビュー記事は前編と後編にわけて掲載しています。前編から読みたい方はこちらへ

■Webでモノは売れるのか?
小霜オフィス クリエイティブディレクター/コピーライター/コンサルタント 小霜和也氏(写真右)
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)

有園:前編では、Web動画ではなく「WebCM」としてしっかり機能させる意識が重要、マスとWebは別物ではなく全体設計の中で、横続きで考えるべきだと解説いただきました。

 ここからは、もうひとつのテーマ「Webでブランディングができて“売り”につながるのか?」についてうかがいます。いわゆる刈り取りではなく、Webをメインにして人を動かせるのか、という意味ですね。先ほども、一か八かのバズ狙いに大きな予算は割けないし、しかもモノが動かないなら意味がない……と、今まさに広告主の意識が変わり始めているというお話がありました。

小霜:おもしろ動画を上げておけばなんとかなるかも、といった風潮は、これから変わっていくと思いますね。重複しますが、Webも全体のキャンペーンプランニングの中で戦略的に考えないと成果を得られません。

有園:ここで小霜さんが言われる成果というのは、売りにつながるかということですね。それから、デジタルでブランディングができることも、小霜さんはご自身の事例を通して証明されていると私は感じています。これからテレビのネット同時配信が当たり前になっていく時代に、企業もクリエイターも、きちんとデジタルでブランディングすることに本気で取り組まないといけない。

 書籍『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』の中で、WebCMによるセールスとブランディングの事例として語られていたのがノートPC「VAIO」でした。小霜さんが関わられたのは、どういうタイミングだったのですか?

小霜:2014年にソニーから独立した VAIO社はしばらく赤字が続き、翌年の社長交替時にコミュニケーションも見直しがかかりました。そこからですね。

■Webのみでコミュニケーションした「VAIO」

有園:2015年末に発売した「VAIO S11」のコミュニケーションを、Webのみで展開されたんですよね。どんな考え方で企画していったのでしょうか?

小霜:これは「VAIO」の全機種に言えることですが、まず予算のROIを考えると、テレビCMはちょっと効率が悪すぎると思いました。それでWeb一択だと。いわばビジネスパーソン向けに絞り込んだテレビCMとしてWebCMを制作し、緻密に運用したら相応の成果を上げられるんじゃないかと考えたんです。

有園:ターゲットは、変わらずビジネスパーソンですか?

小霜:30〜40代ビジネスマンという大枠は変わりませんが、以前はソニーファンやVAIOマニア向けの製品というイメージが強く、それでは将来がないので、顧客を広げる必要がありました。

 ただしVAIOは高品質な分だけ値も張るので、広くビジネスパーソン向けではなく自分のビジネスツールにこだわりがある、ざっくり言うと“仕事がデキる人”にリーチしたいと思いました。

 次に、彼らが「VAIOを使うべきだ」と思ってくれるロジックを探りました。昔から僕はソニーの仕事にご縁があってVAIOユーザーでしたが、今回オリエン前に最新機種を買ってみたら、使っていてすごく気持ちいいんですね。

 キーの静かさだけでなく、ミスタッチが減るような調整もされている。そこでロジックの中心に“快”を据えて、心地いいからずっと仕事を続けたくなる、だから生産性が上がる…と組み立てました。

 で、経験上、そのまま言うより多少の毒っ気に包んだほうがこのターゲットには響くと踏んで作ったWebCMの一部がこちらです。ここの制作過程は、テレビCMと同じですね。
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高島 知子[著]、有園 雄一[聞]、川口 紘[写]