負傷のために参加を辞退した昨年10月以来となる日本代表復帰を果たしたFW武藤嘉紀(マインツ)は、約10か月ぶりにチームの雰囲気を感じて、「良いですね。本当に楽しみ」と表情を緩めた。

 3月シリーズ前には、すでに負傷から復帰してマインツでは試合に絡んでいたが、ロシアW杯アジア最終予選UAE戦、タイ戦に臨む日本代表に武藤の名前はなかった。本人は「できると思っていた」ものの、「(バヒド・ハリルホジッチ)監督とも話して3月のときはまだコンディションが完璧ではなかったし、監督から見たら、もうちょっと上げてきてほしいということだった」と招集を見送られた。しかし、今回のコンディションは万全だと胸を張る。

「今回はコンディションも整っているし、準備もできている。自信を持って、あとはチャンスを待つだけかなと思います」

 合宿2日目に合流した武藤は軽めの調整となったが、「帰ってこれた」ことを実感し、「少し離れていた」からこそ、代表に改めて感じるものがあったようだ。「新たに身が引き締まる思いを感じるし、大舞台に招集されたことをうれしく思う」と語ると、「チャンスさえもらえればやる自信はあるので、今はコンディションが良いということを示していきたい」と意気込んだ。

 全体練習前にはバヒド・ハリルホジッチ監督と“個人面談”が行われた。指揮官の目にも武藤の状態は“良好”と移っており、「『見ればコンディションが良いことが分かる』と言われた」という。しかし、サンドロ・シュワルツ監督が新たに就任して、新シーズンを迎えたマインツの状態については、「『まだ形ができてないね』って言われました」と苦笑。「(前線で)孤立しているから、もう少しサポートを増やしていくこと。(武藤の)裏への動き出しや走力は素晴らしいから、チームとしてやっていくことが明確にできるといい」と助言ももらっている。

 新監督が就任し、新戦力が加わったマインツは発展途上であり、自身の持ち味を生かせない場面もあるが、日本代表では状況が違うと自信を覗かせる。「代表の選手たちはそれ(持ち味)を分かっているし、チームとしても裏への抜け出しは重視している。特に問題ない」と裏への鋭い飛び出しからゴールに迫るイメージは共有できていると話した。

 勝てば6大会連続でのW杯出場が決まる大一番となるオーストラリア戦。前回大会の予選では、ホームのオーストラリア戦でFW本田圭佑がPKを突き刺してW杯出場権を獲得した。「テレビで見ていた」という武藤は、「その舞台に自分がいること、もしかしたら自分が出るかもしれない高揚感がある」と今回は自身の力をピッチ上で発揮してW杯出場に貢献したいという強い思いがある。「ベンチを温めるだけに戻ってきたわけじゃない。チャンスが来たらモノにしないといけない」。自身の出番が来ることを信じ、静かに牙を研ぎ続ける。

(取材・文 折戸岳彦)


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