「聡太」も「さとしふとし」に…(将棋連盟HPより)

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 前人未到の29連勝を達成した藤井聡太四段(15)がメディアの大きな注目を集め、にわかに活気づいている将棋界。だが、アクセス数が急増しているはずの将棋連盟の公式ホームページ(以下、HP)が「おかしい」のである。それは、たとえば「棋士データベース」の英語版に見られる。

 佐藤天彦・名人(29)は、「Sato Ten彦」となぜか漢字交じり。「名人」というタイトルも、専門家、熟練者といった意味合いの「Expert」と訳されていて、なんだかしっくりこない。渡辺明・竜王(33)を見ると「Dragon King」と紹介されている。強そうといえば強そうだが、そもそも“成り飛車”の竜王に「ドラゴン」の意味はない。さらに、加藤一二三九段は「Kato, one hundred twenty-three Kudan」と表記されている。

 この“超訳”だらけの英語版HPはファンの間では、早くから話題になっていた。連盟関係者はこういう。

「将棋連盟は昨年9月にHPをリニューアルしたが、その直後からファンから“おかしい”という声があがっていました。連盟幹部にその声が伝わっていないはずはないのですが、全く修正されないのです」

◆「グーグルの仕様なんで」

 ITジャーナリストの三上洋氏が数々の「超訳」の理由を分析する。

「話としては単純です。グーグル翻訳というネット上の無料の機械翻訳をそのまま使っているからです。『言語設定』の欄を選択すると同社のロゴが表示されるのが証拠。機械が翻訳しているから、『一二三』といった固有名詞を数字として認識してしまい、“誤訳”が生まれる。まぁ、公式HPでグーグル翻訳をそのまま使うなんてあり得ないと思いますけど……」

 英語版のみならず、昨年9月のリニューアル当初は、日本語版でも森内俊之九段(46)が「森内俊幸」になっていたり、指導棋士の「生年月日」の欄に「出身地」が並んでいたりと、ケアレスミスに思える誤りも散見された(現在は修正済み)。

「ファンの声を受けて連盟が運営会社に伝えても、さらに下請け会社に制作を発注していて、なかなか改善されなかったようです。折悪く“三浦九段のスマホ不正疑惑(※注)”が噴出し、HPどころではなくなってしまった」(別の連盟関係者)

【※注/昨年10月に発覚した三浦弘行九段の対局中のスマホ不正使用疑惑。「不正の証拠はなかった」と結論づけられ、三浦九段の処分に動いた執行部が辞任に追い込まれた】

 HPを運営するのは、将棋連盟とウェブメディア事業契約を結ぶシンクロ社。東京・五反田の雑居ビルの一室にある同社の事務所を訪ねた。室内はビジネス机が4つ並び、4人がパソコンで作業中。執行役員に“超訳”の真相を直撃すると、

「それはグーグルの仕様じゃないですかね? うちはそれに沿っているだけですから」

 とそっけない返事。棋士の名前の表記も、

「OKとはいいませんが、システムって常に100点じゃないので、随時ブラッシュアップしていくものです。現状はグーグル翻訳の機能の限界ということになりますね。日本語で見る人が99%ですし、ビジネスなので優先順位があります。うちとしては連盟に聞いてくださいとしかいえない」

 とのことだった。連盟は「お答えするつもりはありません。ただ、ご指摘の点は十分に調査し、対応を検討します」と、修正には前向きな様子も見せた。将棋連盟が“読み”を誤ったままで大丈夫?

※週刊ポスト2017年9月8日号