「社会性」に乏しいミツバチと人間は「共通する何か」を持っている(credit:Julie Mcmahon 米イリノイ大学の発表資料より)

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社会性昆虫のミツバチの中には、人間同様に仲間と交流できない「自閉症」のハチが存在することが、米イリノイ大学の研究でわかった。

研究成果は米科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」(電子版)の2017年7月31日号に発表された。

社会を持つ動物には「共通した何か」がある?

イリノイ大学のプレスリリースによると、研究を行なったのは同大学の昆虫学者ジーン・ロビンソン教授らのチーム。遺伝的に異なる7つの系統のミツバチの巣を合計246個観察し、社会的な反応に乏しいハチを選び出した。社会性の乏しさは、次の2つの合図に対する反応を基準にした。

(1)「敵」が現れた時の反応。よその巣のミツバチを見せ、攻撃的な行動をとるか、それとも無反応か。
(2)巣の女王が生んだ幼虫に対する反応。エサを与える給餌行動をとるか、それとも無反応か。

両方の合図に反応しなかったハチの脳を分析したところ、約1000個以上の遺伝子の働きが同じ巣のほかのハチと異なっていた。そして、人間の自閉症に関連する遺伝子リストと、ミツバチのこれらの遺伝子リストを照合した結果、「重大な重複」を発見したという。しかし、人間の「うつ病」や「統合失調症」などほかの精神疾患に関連する遺伝子との間では、「重大な重複」は見いだせなかった。つまり、人間とミツバチでは「自閉症」に関する共通の遺伝子があることになる。この結果について、ロビンソン教授はプレスリリースの中でこうコメントしている。

「人間とハチは5億年以上も前に共通の先祖から別れ、遺伝的に大きく異なっています。人間は大きなハチではないし、ハチも小さな人間ではありません。しかし、社会性を持つということは、動物界で共通の分子構造を持つことを示唆しています。社会的な行動の進化を分子遺伝学の立場から解明すれば、人間の自閉症の研究にも役立つ可能性があります」