スマートフォンや電気自動車に不可欠のリチウムイオンバッテリーに必要なアルカリ金属「リチウム」を高い濃度で含む火山岩を特定することにアメリカの研究者が成功しています。偏在するリチウムによる供給不安の解消への期待が高まります。

Will Supervolcanoes Help Power Our Future? | Innovation | Smithsonian

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高いエネルギー密度を持つリチウムイオンバッテリーは、代替バッテリーの開発が遅々として進まない中で、今後も需要が伸び続けると予想されています。しかし、現時点でリチウムを採掘できるのはチリ・オーストラリアが全体の75%を占め、残りもアルゼンチンと中国に絞られるなど、リチウムの産出地が世界的に見ても偏っており、供給面で不安があることが指摘されています。

リチウムの多くは塩湖などの塩水から抽出されていますが、このリチウムは火山活動によって塩水に溶け出したものです。リチウムが火山岩に含まれていることは古くから知られており、結晶性の高い岩石のペグマタイトや柔らかな粘土状の火山岩に含まれる鉱物ヘクトライトなどにもリチウムが多く含まれていることがわかっています。そのため、リチウムを多く含んだ火山岩を効率的に見つけることができれば、世界中の火山地帯でリチウムが産出できる可能性があります。



アラスカ大学のリーアン・ムンク博士は、比較的簡単に検出することができるルビジウムやジルコニウムの濃度と岩石に含まれるリチウムの濃度に相関関係があることを見つけました。この関係を利用することで、アメリカ・ネバダ州のキングスバレーの火山地帯やメキシコ・ソノラ州、地中海の火山島パンテレリアから、リチウム濃度の高い岩石を特定することができたそうです。



ただし、現時点でヘクトライトからリチウムを抽出する商業利用可能なレベルのプロセスは開発されていないことから、実際にリチウムを火山岩から産出するには将来の技術開発を待たなければいけないとのこと。とはいえ、火山岩から直接リチウムを安価に抽出できれば、現在のようなリチウム産出地の偏在化による供給の不安定さを解消できると期待されています。