マンガ『ベルサイユのばら』では、貴族のオスカルが初めて平民の少女の家で食事をしたときに、豪華絢爛な宮殿の料理と、味も具もない庶民の家のスープの差に、フランス内の貧富の差を初めて生々しく感じてショックを受けるシーンがある。

これはフィクションの話だけれど、昔から貧しい人と豊かな人がどれだけ別世界にいたのかがわかるエピソードは、世界中にたくさん散らばっている。

じゃあ、今の時代はどうだろう?ネットの普及でだいぶいろんな階層の人がお互いに交流できるようになった。でもニューヨーク大学の研究によると、そんなに変わっちゃいないみたい。

リッチな人には周りが“見えない”

マンハッタンの街で行われたこの実験。<Google Glass>をつけた被験者が街を歩き、どんなものに無意識に目をむけるかをチェックするというものだ。そして彼らが「自分はどのくらいの経済的地位にいると考えているか」についても質問をして、目線と経済的地位の関係を調べたんだそう。

すると、経済的地位が高いと自負している人ほど、路上のホームレスや周りの人に目を配る時間が無意識に短くなっていたんだとか。

無意識に無関心でいること

ポイントは「見てない」じゃなくって「見えない」って点。つまり、別に悪気があるわけじゃないらしいのが興味深い。この原因として考えられることはいくつかある。

まず、お金持ちの人はいろいろなことをしてもらうときに、お金を払って人を雇うことが多いことがそのひとつ。例えば留守にしている間、近所の人に家を「よろしくね」と言わなければならない場合、ご近所づきあいのために普段から人に注意を払わなきゃならない。でもお金持ちは人を雇って警備をつければいいから、特に気にする必要ナシ。実際、お金持ち同士は同じくらいの階級にいても比較的共感力が低いんだそう。

他にも、強者は周囲の状況を気にしなくてもいいけど、弱者は強者や周囲をよく観察していないと生き残れないという、自然界にも似た理由も考えられる。つまりは、強者側には弱者が気にしないければならないことに無関心でいられる「特権」があるとも言えそうだ。

「特権」には気づきにくい?

お金持ちをこき下ろすような研究結果かと思いきや、これ、いろんなことに言えそうでちょっとドキっともしてしまう。

例えば人種差別についての活動家としても有名なウェズリー大学のPeggy McIntoshさんは、白人特権について「目に見えない透明なナップザック」と表現しているし、日本人のパスポートが世界の国々でかなり強力な力を持っているという話も。気にしなくていいぶん、自分の特権には気づきにくいということもこの研究結果から言えるのかもしれない。

Reference:SAGE Journals,White Privilege: Unpacking the Invisible Knapsack