米コネチカット州ウエストハートフォードのホールフーズ・マーケット(2014年8月撮影)。 Photo by , under CC BY 2.0.


 米アマゾン・ドットコムが今年(2017年)6月に発表していた、米高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」の買収が、このほど米連邦取引委員会(FTC)によって承認された。

 これを受け、アマゾンは8月24日、さっそく声明を出し、ホールフーズとアマゾンの事業連携計画を発表した。

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値下げやPrimeとの統合など

 同社は今年6月の買収計画発表時点で、ホールフーズはアマゾンが買収したあとも独立事業として運営され、ブランドも、経営トップも本社もこれまでどおりで変わりはないとしていた。今回の発表でも同社は、このことを強調しており、ホールフーズは、従来どおりの事業形態が保たれるようだ。

 しかし、今回の発表内容を見ると、ホールフーズは、多くの部分で親会社アマゾンの経営方針を取り入れることになりそうだ。以下で、その発表内容を簡単に整理する。

・買収手続きが完了する8月28日から、人気の自然食品を値下げする。対象商品は、バナナやアボカド、卵、サーモン、牛肉、レタス、リンゴ(日本のふじ品種もある)など十数種以上。ただし値下げ品目はこれだけにとどまらず、その数は今後も増えていく

・将来は、ホールフーズのPOS端末とアマゾンの有料会員プログラム「Prime」を連携させ、Prime会員がホールフーズ店舗内で特売品などのさまざまな特典を受けられるようにする

・現在、ホールフーズ店舗で販売しているプライベートブランド(PB)商品を、将来、アマゾンのeコマースで販売する

・アマゾンが米国の主要都市で展開しているeコマース商品の受け取りボックス「Amazon Locker」を一部のホールフーズ店舗内に設置する。

まだ序の口、今後も続々サービスを投入する構え

 アマゾンによると、これら顧客にもたらされるメリットは、第1弾であり、まだ序の口。今後、両社が物流、POS、販売のシステムを統合するのに伴い、店舗での特典や値引きは増えていく。さらにホールフーズは、新店舗を開設するなどして、雇用を拡大する。

アマゾンの傘下で、ライバルの脅威に

 ホールフーズは、米国やカナダ、英国に約460店舗を持つ、売上規模で全米10位のスーパー。規模では中堅だが、自然食品などの商品を扱い、ライフスタイル提案型の高級志向店舗を展開し、顧客には高所得者層が多い。

 こうした中、ホールフーズのアマゾン傘下入りは、競合の食料品小売り大手にとって脅威だと、米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 ホールフーズはかつて、自然食品の小売事業で業界を支配していた。しかし、米ウォルマート・ストアーズや、米クローガー、米コストコ・ホールセールといった競合はその後、自然食品の品ぞろえを拡充するとともに、それらを安く販売し、ホールフーズに対抗した。昨年度におけるクローガーの自然食品売上高は160億ドルで、ホールフーズの全売上高とほぼ同じになったという。

 一方で、アマゾンは、戦略上必要とあれば、商品を極めて薄利、あるいは赤字覚悟で販売することをいとわない企業として知られる。先ごろは、アマゾンの米国におけるPrime会員が8500万人となったと報告された。同国では4人に1人がアマゾンの上得意であるという状況も、ライバルにとっては脅威と言えそうだ。

(参考・関連記事)「アマゾンのPrime会員、米国で8500万人に到達」

筆者:小久保 重信