7月、中国企業による『ウルトラマン』の新作映画発表会に登場した、われらのヒーローの姿は衝撃的だった。映画はCGアニメで、タイトルは『ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜』。イベントに登場した姿は、シャクレ顔のマスクにパンツ一丁。ボディペイントで、つま先は塗料が取れて素足が露出している……。

『裸足のウルトラマン(写真:Imaginechina/AFLO)』

 中国の遊園地には、ウルトラマンの「パチもん」がたくさんいる。チベット自治区ラサ市の金星有楽園では、ほかの遊具にまじり変わり果てたウルトラマンタロウが。

『京劇風のタロウ』

 ハルビン文化公園。年間200万人の来園者がある施設では、やはり偽物が「高血圧者は注意」と案内看板を掲げる。

『注意喚起中』

 寧夏回族自治区の銀川中山公園の遊具。なんと股間が的当てゲームの標的になっていた……。

『股間を狙えとは冒涜も甚だしい』

「ご覧のとおり、中国は版権に対する意識が低いです。『子供が喜ぶモノを作ろう』という考えしかないため、日本やアメリカのキャラクターを勝手に遊具にしたり、無法地帯になっているんです」

 こう話すのは、『中国遊園地大図鑑』(パブリブ)の著者・関上武司氏は、中国各地の遊園地を撮影してきた。

 今回の映画も権利意識の低さゆえのトラブルなのか。著作権問題に詳しい弁護士法人・響の西原和俊弁護士によると、「本件は特殊な事例だ」という。

中国の “パクリ”をめぐる訴訟は、著作権、商標権の侵害を争うものがほとんど。今回は、中国企業がサイトに書類を公開し、『権利を得ている』と主張。この書類の正当性が争点なのです」

 7月19日、円谷プロダクションは「ブランドを著しく毀損」していると抗議声明を発表した。映画の公開予定はこの10月に迫る。仮に公開が認められても、中国ウルトラマンに、製作者の愛は感じられない。

写真:関上武司

(週刊FLASH 2017年8月15日号)