金メダリストのアドバイスは、さすがのひと言(2014年4月、J-CASTニュース撮影)

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日本テレビ「24時間テレビ 愛は地球を救う」(2017年8月26〜27日放送)で、フィギュアスケーターの羽生結弦選手(22)が喘息(ぜんそく)を患っていると明かした。

番組は羽生選手と、同じく喘息を持つ少年スケーターとの交流を描いた感動的な話だったが、ナレーションで羽生選手の紹介に、「喘息を言い訳にはしない」との表現が使われたことに、ツイッターでは疑問が投げかけられた。発作は本当につらいのに、「言い訳」とは何事かというわけだ。

「薬に頼らず心身を鍛えて」の精神論を否定

「2歳の時に小児喘息と診断された羽生結弦選手が、病気を言い訳にせず世界のトップで戦い続ける思いをテレビで初告白」

24時間テレビの公式ツイッターや番組公式サイトでは、こう書かれた。ナレーションでも、2歳から喘息となり、今も発作が起きることがある羽生選手について「喘息を言い訳にはしない」との言い回しで紹介していた。

羽生選手本人が言ったわけではないのだが、意志の強さやスケートに向き合う真剣さなどを表す意味で「言い訳にしない」との言葉を使ったのかもしれない。ただ喘息で苦しむ患者は多いだけに、別の意味でとらえた人がツイッターでは少なくなかった。発作で苦しむのが「言い訳」なのか、喘息で子どものころに体育を見学していたが「言い訳」だと思われていたのだろうか、などと書き込みが相次いだ。

記者も小児喘息を患い、幼いころは発作で眠れず母親に夜中も介抱してもらった記憶が残る。40代となった今日も時折息苦しくなり、吸入器が必要だ。「喘息だからできない」イコール「言い訳」ととらえられてはたまらないという気持ちは、理解できる。

喘息の発作が出たら、我慢は禁物――。内科や小児科のウェブサイトをみると、共通している。例えば、東京大田区の原口小児科クリニックのサイトでは、こう説明している。

「特に子供の喘息は大人になったら治るから余り薬に頼らずに、心身を鍛えて喘息に負けないようにしようというような一見正論のようにも聞こえる精神論に近いことをよく言われてきましたが、発作を放っておくのはよくありません」

羽生選手のアドバイスは見事だった

一方番組内で、喘息に悩む少年スケーターに対する羽生選手のアドバイスは、見事だった。少年との会話の中で「僕もそうだった」と共感を示しつつ、

「みんなと違う経験をしているかもしれないけど、自分にとっては普通じゃない?別に人と比べる必要ないよ」
「自分が普通だと思ったら、それを克服するためにいっぱいがんばればいいと思います」

「病気を言い訳にするな」という第三者からの押しつけとは正反対。自分自身が喘息と向き合ったうえで、自分はどうなりたいか、そのために何をすべきかを自分で決めるという考え方だ。これは羽生選手が子どもの頃、1998年の長野冬季五輪男子スピードスケート500メートルで金メダルに輝いた、清水宏保氏(43)から受けたアドバイスに基づいていた。実は清水氏も幼いころから喘息だったのだ。

イベントで清水氏にサインを求めた羽生選手は、「金メダリストになるにはどうすればよいか」と聞いた。清水氏の答えはこうだ。

「肺が弱い分、ハードな練習をしなければならないけど、それを乗り越えれば世界と戦えるようになる」

羽生選手と清水氏、超一流アスリートの考えは共に「自分の力で克服する」だ。誰かに強制されて我慢してやるという考えは、みじんもない。