クラブではいまだノーゴールの久保。だが「フィジカルコンディションは良い」と本人は言い切る。(C) Getty Images

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 現地時間8月27日のベルギー・リーグのアンデルレヒト戦で、ヘントのスタメン表から久保裕也の名前が消えた。

 しかしながらそれは、決して驚きではなかった。ベルギー・メディアは戦前の予想スタメンから久保の名を外していたからだ。
 
 久保は、今シーズンの開幕節のシント=トロイデン戦こそ、コンディション不良からベンチスタートとなり19分間の出場に留まったが、第2節のアントワープ戦から3試合連続でスタメン出場を果たしていた。
 
 ところが、毎試合のように決定機で外し続けてしまう。身体の切れが戻ってきているからこそ、久保は相手GKとの1対1、ゴール前でフリーといったビッグチャンスを迎えるのだが、今シーズンはシュートの精度がいまひとつ定まらない。

 昨シーズンは後半戦だけで11ゴールを挙げた久保を「寿司ボンバー」と囃し立てたベルギー・メディアも、いまでは「久保はスランプ」と評している。
 
 アンデルレヒト戦の久保はスコアレスで迎えた73分、ブレヒト・デヤーゲレに代わってピッチに入った。この時、チームからは「左に入れ」と指示を受けたというが、久保は「左サイドでプレーしても、あれかなと思いましたので、真ん中でプレーしました」と、まるで2トップの一角のようにプレーした。
 
 この時間帯のヘントはボールを保持する時間こそ長いものの、アンデルレヒトのカウンターを警戒してセーフティーなパスを選択していた。久保もピッチに立ってから3分後、相手ペナルティーエリア内左を鋭くドリブルで突いてCKを得るなど、プレーに切れは見られたものの、ボールに触れる機会そのものが多くなく、ゴール前で仕事をする機会も訪れなかった。
 
 そして、試合は0-0のまま終了した。5節を終えてヘントは勝点2しか挙げられておらず、16チーム中の15位と低迷している。
 
 そうした不振から脱するべくハイン・ヴァンハーゼブルック監督は、フィジカル面重視の過度な練習メニューを組んで、上昇のきっかけを掴もうとしている。それがすべての選手に合うとは限らないが、こと久保にとっては、コンディションの向上につながっているようだ。
 
「コンディションはそんなに問題ないです。チームが負けているというのもあると思うんですけれど、かなりのトレーニングをさせられて、フィジカルを追い込まれているんで、コンディションは良くなっていると思います」
 
 アンデルレヒト戦でのパフォーマンスについては、次のように振り返った。
 
「時間もそんなになかったですけれど、あんまりボールも受けれませんでした。ボールを受けた時に何回かアクションを起こせて、良い場面もありましたけれど、もうちょっと周りと合わせられたらチャンスを作れたと思います。ずっと回しているだけだったんで、前になかなか行けない状態でした」
 
 ここまでの5試合でチームの総得点はわずかに5。そうした状況に、「いまは点を取るのが課題だと思うので、攻撃陣がなんとかしないといけない」と語り、チームの不振と貧攻の責任を強く感じている。
 
 そんななかで久保は、ワールドカップ出場を懸けた代表戦に臨む。
 
 クラブでは不振に喘いでいる久保だが、代表戦は代表戦だ。しっかりとスイッチを切り替えて、「とりあえず、ヘントの試合が終わったのでチームのことは忘れて、代表に切り替えたいです。代表でいい結果を勝ち取って、ヘントに良い流れを持ち込みたい」と意気込んだ。
 
 本拠地でのオーストラリア戦も、アウェーでのサウジアラビア戦も、ともに酷暑の中での試合が想像される。選出された27人の総力が問われるシリーズとなるだろう。
 
 貴重な得点源として期待される久保は、「とにかく日本が勝利するよう、僕ができることを最大限やりたいと思います。先発の11人だけじゃなく全員が準備をしておかないといけない」と、チーム一丸でのプレーを誓った。
 
取材・文:中田徹