腐敗を取り締る中央紀律検査委員会の財政部紀律検査組の組長が腐敗で取り調べを受けることになった。27日昼、CCTVが速報で伝えた。第19回党大会を前に、中国の腐敗の深さと広さはとどまるところを知らない。

取り調べを受ける財政部の「腐敗取調べ部門」

習近平政権の中共中央政治局常務委員会委員7人(チャイナ・セブン)の一人である王岐山が書記を務める中共中央紀律検査委員会には、全国津々浦々の行政部門にその支部がある。その中の一つに財政部(日本の財務省に相当)の紀律検査組の組長だった莫(ばく)建成氏が取り調べを受けることになった。8月27日の1時に中央テレビ局CCTVが速報で伝えた。その電子データは、こちら

取り調べるのは中央紀律検査委員会。紀律検査委員会が紀律検査委員を調べる。まるで内部調査のようなことが頻繁に起きている。嫌疑は「重大な紀律違反」と書いてあるが、要は腐敗問題だ。

財政部のHPに載っている情報によれば、莫建成は1953年に浙江省で生まれ、主として内蒙古や江西省などで中国共産党組織の仕事をした後、2015年12月に中共中央紀律検査委員会の駐財政部紀律検査組組長および財政部の中国共産党組織に就任し、第18回党大会の中共中央委員会候補委員になっている。

先月、重慶市の元書記・孫政才が取り調べを受けることになった時には、「孫政才を反面教師として党の紀律を厳重に守っていかなければならない」という講話を財政部でしたばかりだ。

明日は我が身というか、ともかく腐敗官僚が次々と取り調べに遭っている。

中共中央紀律検査委員会監察室主任の逮捕

2017年1月20日には、元中共中央紀律検査委員会第4紀律検査監察室主任だった魏健に懲役15年の判決が出た。自分自身が中央の紀律検査委員会で監察室の主任をしながら、その職位から自分自身を取り調べ逮捕するという、誠にとんでもない事件が起きたのは2014年5月9日のこと。魏健は2012〜13年には重慶市書記だった薄熙来を取り調べている。

あまりにショッキングな事件だったので、ドキュメンタリー映画まで制作された。制作したのは中共中央紀律検査委員会宣伝部。果たして、その人たちもまた清廉なのか否か疑わしいものだ。この映画の主人公には、魏健以外に、羅凱(元中共中央紀律検査委員会第6紀律検査監察室副局長級紀律検査委員)や申英(元中央紀律検査委員会第12紀律検査監察室処長)など党籍剥奪・公職追放された元紀律検査委員会関係者も、犯罪者としてナマで本人が出演している。その生々しい、絞り出すような声と、辱めに歪んだ顔を、中国人民は食い入るように観たものだ。どのような重い刑よりも、最もつらい懲罰だろう。その「見せしめ刑」は中国の腐敗の根がいかに深いかを物語っている。

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)