「商品写真」を押し出すリリースは逆効果

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■イデアインターナショナル「ビジュアルを工夫する」

鋳物の鍋をイメージしたデザインが人気で、累計販売台数50万台(2016年6月末)を記録しているブルーノの「コンパクトホットプレート」。そのプレスリリースをつくったのが南坊実さんだ。

「メディアには毎日大量のプレスリリースが届きます。そのなかで埋もれずに読んでもらうには、文字ばかりでなく、ビジュアルの工夫が大事だと思っています」

まずは商品の利用写真を大きく載せて、イメージをかきたてる。なおかつ情報をわかりやすく整理し、文字量を必要最小限にそぎ落とす。作成途中で資料づくりの上手な先輩にアドバイスをもらうことも。

「プレスリリースは当社の直営店のスタッフが新商品について再確認する資料も兼ねています。商品の魅力が伝わるよう、スタッフの顔を思い浮かべながらつくっています」

▼プレゼンテーションクリエイター 前田鎌利さんが資料を判定

◎ピカピカOK資料

【good!】未来像をイメージできる商品の利用写真
単なる商品写真でなく、料理やテーブルセッティングを含めた大きめの写真が目を引きます。その商品を買ったあとの「未来像」を見せることは、プレスリリースに限らず商品を紹介するときの鉄則。ターゲットを意識した演出もおしゃれです。
【good!】豊富な情報を1枚で簡潔に表現
A4サイズ1枚でも情報量が格段に豊富。それなのにスッキリしているのは、「大ヒット中のホットプレートの新色が出ました」という結論から先に述べるなど、読む人が理解しやすいように情報が整理されているからです。
【good!】マジックナンバー「3」をうまく利用
人は数字に興味をひかれるもの。なかでも「3」は記憶に残りやすいため、「マジックナンバー」と呼ばれています。このプレスリリースにもあちこちに「3」がちりばめられていて、商品写真やパーティーシーンが3つずつ並んでいるのもgood!

×あるあるNG資料

【bad!】新色が発売されたことしか伝わらない
まるでビジネス文書のような何の面白みもない無味乾燥なプレスリリース。これでは商品の魅力も使い方もさっぱり伝わりません。趣旨を理解するためには文章を我慢して読む必要があるわりに、結局伝わるのは「新色が発売になった」ということだけ。
【bad!】商品写真のみでイメージがわかない
南坊さんのつくったリリースは各カラーに合わせて「パートナーと」「女子会で」「子どもと」など複数のセグメントに訴求しているのに対し、こちらは何の変哲もない商品写真のみ。ただのお鍋のようにも見え、ホットプレートであることすらわかりにくい。
【bad!】情報量が少なく、寂しすぎる印象
プレスリリースは1枚でまとめるのが理想。とはいえ、これでは情報量が少なすぎてスカスカな印象です。文字の大きさや太さを変えてメリハリをつける、色を変えるなどデザイン面で工夫すれば、情報を増やしてもうるさくなりません。

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<南坊さんの資料づくりのコツ>▼イメージ写真の撮影に向けてスタッフと念入りに打ち合わせ
商品の使用例の写真は、料理研究家につくってもらったオリジナルレシピ。社内のキッチンスタジオで試作を繰り返し、各カラーの魅力をもっとも引き出せるレシピを開発。イメージに合わせたパーティーシーンを撮影している。おいしそうな匂いがしてくるような写真を目指しているのだとか。
▼言いたいことは3つにしぼる
南坊さんが常々意識しているのが商品のセールスポイントを3つにしぼること。「家電製品などはあれもこれも機能を説明したくなりますが、ポイントが多すぎると印象に残りません」(南坊さん)。特徴を短い言葉で整理しておくと、商品パッケージのコピーやショップスタッフのセールストークにも応用できて便利。
▼集めた素材を見ながら手書きで大まかなラフをつくる
フォントや行間の幅、微妙な色を細かく指定できる「イラストレーター」というソフトでリリースをつくっている南坊さん。細かい部分は拡大して作業をするため、気づくと「しまった! 全部入りきらない」という失敗も。それを防ぐために、先に手書きでラフレイアウトをつくっておくようになったそう。

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南坊 実
イデアインターナショナル プロモーション・広報。新卒でイデアインターナショナルに入社して6年目。商品の卸先への営業を経験したのち、プロモーション部へ異動。広報活動とプロモーションを兼務する日々。
 
前田鎌利
監修プレゼンテーションクリエイター/書家。ソフトバンク在職中、孫正義氏の後継者育成機関の第1期生に選考され1位を獲得。孫氏のプレゼン資料づくりも数多く担当した。著書の『社内プレゼンの資料作成術』シリーズは11万部を超えるベストセラー。
 

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(ライター&エディター 長山 清子 編集=福田 彩 撮影=真板由起)