人材育成担当者に聞く! 現場が変わる人事研修とは?

写真拡大

 ともすれば理論偏重になりがちな企業研修。そんな中、自然林の中や研修地に行くまでの交通機関での集中ロープレなど、ユニークな取り組みで、研修参加者のパフォーマンスを劇的に変える取り組みをしている人材育成担当者がいる。サントリーグループのサンリーブ株式会社飲料営業推進部担当部長である松尾英理子氏だ。

「試行錯誤による成長」を鍵として人材育成に携わる彼女に、分解スキル反復演習型能力開発ブログラムの開発者である山口博氏がその取り組みについて話を聞いた。

◆誰にも能力向上させる素地はある

山口:今を去ること1年半前、私がトレーナーを務める日経ビジネス主催のリーダーシッププログラムに松尾さんに参加いただきました。90%が演習で構成される「分解スキル反復演習」によるリーダーシップスキルの強化演習です。松尾さんは、最前列中央のグループで、一際存在感を示し、演習をリードしてくださったのをよく覚えています。

松尾:私は普段、スーパーなど販売店で、プロモーションなどを提案する営業担当者の人材育成と活動推進を担っています。基本、直行直帰の営業スタイルなので、先輩の背中を見ながら学ぶことはできません。ですから、座学ではない、実践に即つながる能力開発プログラムを探し求めていたところだったんです。理論や理屈の解説は極力省き、通常の仕事の中ではウィークポイントが見えにくく我流になりやすいので、ウィークポイントを発見し改善できるようなプログラムを探していました。

日経ビジネスのセミナーで学んだ「分解スキル反復演習」は、理屈より実際にやって身に付けるプログラムで、弊社に合っていると直感が働きました。早速、上司に相談し、リーダー研修でこのプログラムを導入することにしたんです。

山口:検討、実施計画の策定、合意形成に、それぞれ数か月かかる企業や団体はざらにあります。年間計画を立てたら、その一年は、その計画どおり何も変更しないで実施するだけという会社も少なくありません。

しかし、松尾さんはわずか数か月後には、自社での展開を実現していました。その迅速さの原動力は何だったのでしょう?

松尾:私は大手百貨店勤務を経て、サントリーで国内外のマーケティング業務に従事してきました。意見を通そうとするあまり上司とぶつかったり、育児と仕事の両立のために奮闘するも、理解してもらえないと悩んだり、右往左往しながら進んできました。しかし、振り返ってみれば、うまくいったことよりも、うまくいかなった時に努力したことのほうが、自分を成長させてくれていると思えたんです。営業担当者と相対している中で、彼らも私と同様、思い通りにパフォーマンスが上げられない、キャリアが築けないと苦悩する姿を見て、突破口を一緒に見つける手伝いがしたかった。

「誰にも能力を向上させる素地はある」、「うまくいかない時こそ、スキル向上の絶好の機会だ」、「もがいているメンバーの役に立ちたい」・・・このような衝動が、原動力になっているように思います。

◆現場での試行錯誤経験が生きる

山口:営業活動をする中で、試行錯誤しながら進歩するモデルを実現したいのでしょうか。

松尾:確かにそういう側面は強いと思います。大学4年で師事した早稲田大学の加藤諦三教授の教えは、まさに試行錯誤による成長でした。間違ったら正す。うまくいったら、さらにうまくいくように工夫する。失敗も成功もたくさん経験し、その都度振り返って次に活かしていくこと。これが成長するためのキーなのだと思っています。

山口:いわば、失敗を是認して、失敗したことにではなく、それを是正したり問題解決したりすることに意義があるという考え方ですね。そのように考える人材開発担当者は多くありません。