お金を出して、世の中を変える Readyforが考える「新しいお金のカタチ」

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2011年のオープン以来、6900件以上のプロジェクトを成立させてきたクラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」。数あるクラウドファンディングサービスの中でも社会問題解決系のプロジェクトを多く扱うことで人気を集め、プロジェクトの支援総額は47億円を超える。

Readyfor代表取締役CEOの米良はるかは、いまや社会を変える手段として定着しつつある、クラウドファンディングの本質をどのように捉えているのか。

世の中の問題にアクションを起こせる

Readyforのプロジェクトの中で、社会に大きなインパクトを打ち出せたのが、朝市センター保育園の存続を支援するプロジェクトです。最初は保育園の関係者からの支援が中心だったのですが、次第に保育園とは直接関係のない方からもたくさんの支援が集まり、支援した人の友人の方、そのまた友人の方と支援の輪が広がっていったことが印象的できでした。最終的な支援額は756万円に上りました。

一時期、「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログをきっかけに、多くの人が待機児童問題を知り、保育園の重要性を理解したはずなのですが、具体的な支援策までは思いつかない。そんな人たちに、クラウドファンディングは具体的な支援方法を示してくれたんです。

更に嬉しいのは、一過性ではなく継続的な取り組みになったこと。朝市センター保育園のプロジェクト以降、Readyfor内で保育園の存続を支援するプロジェクトがいくつも立ち上がっています。保育園を守る、ひとつのモデルケースを作ったんです。

この一連の動きを通じて、「おかしいでしょ!」と思ったことに対して、具体的なアクションを起こせる。これこそがクラウドファンディングの力だ、と確信しました。

「取引関係のないお金」なんて存在するのか?

Readyforを立ち上げるにあたって、強く意識したのはお金を出す人の気持ちです。クラウドファンディングには、出資者にリターンが提供される購入型と、リターンが提供されない寄付型の2種類が存在します。

朝市センター保育園のプロジェクトは前者ですが、サンクスレターやポストカードなどリターンの金銭的価値は決して高くない。投資や商品購入といった、お金やモノが手に入る出資と比べると、「なぜお金を出すんだろう?」と思う人もいるかもしれません。

でも、本来は「お金を出す」ことの意味って対価を得るじゃなかったはずなんです。例えば、神社の修繕がそうです。地域やコミュニティのためにみんなでお金を出し合うというのは、長い歴史の中で限りなく行われてきました。

現代は都市部の人口集中や核家族化によって、地域のコミュニティが分断されたと言われています。けれど、その代わりにインターネットが発展したおかげで、今までとは違った様々なレイヤーのコミュニティができた。

私はそんな場での恩義や共感、応援の気持ちにお金が流れるようにしたいんです。これからは地域名じゃなくて、そこに介在する人の思いや活動をインターネットが支援するようになるはずです。

そうした世界を実現するにあたって大事になるのが、どんな気持ちで出資者がお金を出したのか。私はどんなプロジェクトであっても、必ず何らかの取引関係が発生していると考えています。「寄付」という言葉は、Wikipediaでは「取引関係のないお金の流れ」と説明されていますけど、取引関係がないなんてありえるのでしょうか? お金を出しているからには必ず何かが返ってきているはず。私はそれを定義したいんです。

誰かの夢とつながるプラットフォーム

また、Readyforを運営してみて、リターンにも様々な種類があることに気づかされました。例えば、コミュニティへの参加権利。5000円の出資で何かを存続させたということは、そのコミュニティを手に入れるという意味でもあります。「ある空間とつながる感覚」が出資者のリターンになる。

先日、とあるアーティストのワンマンライブを開くプロジェクトが達成された際、私もプロジェクトの出資者からライブに招待されました。この方は、支援者同士のつながりでライブの看板を書いてくれる人を紹介してもらうなどして、支援者同士のつながりをどんどん増やしていったそうです。そしてライブ終了後、「一度お金を出して人の夢が動くのを見たら、一気に楽しくなってきた」と語ってくれました。

お金はポジティブな意味でもネガティブな意味でも、とても強力。だからこそ、私はポジティブな力を引き出したいんです。クラウドファンディングはお金を集める機能だけど、それを超えだけでなくお金を出すことで人と人をつなげる手伝いになれば、と思っています。

コミュニティへの参加や単純な感謝など、リターンにも色々あります。この感覚を、お金を出す側の気持ちを考えながら設計するのがキモ。モノが溢れた現代では、「お金を出すこと」で返ってくるのはお話やコミュニティなど、物理的なモノには限られないはず。

ちょっとした出資が、誰かの夢や社会変革につながっていることを実感できる。そんなプラットフォームになれば、嬉しいですね。