連絡網への番号掲載を拒否されたら?

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 災害時にはご近所同士が連絡を取る必要が生じることがある。その連絡を円滑にするため、災害用の連絡網に携帯電話番号を記載しようとするも、住民から記載を拒否された場合、どうすればよいか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 町内会の世話人をしています。九州地方の洪水災害を教訓とし、地域の安全と安否確認のため、災害連絡網を作成することに。しかし、数人が個人情報保護法を盾に携帯番号の記載を拒否しています。災害の場合、安否確認に携帯番号は必要であり、法的な強制力をもって記載することはできませんか。

【回答】
 災害時に携帯電話は利便性が高く、連絡も取りやすいので、連絡網には不可欠です。しかし、教えてくれない人の電話番号を知ることはできませんし、知っていても、載せることを拒否している人の番号を連絡網に記載することはできません。というのも、個人の携帯電話番号は、個人の情報であり、他人に教える義務はないからです。よって、開示を求めることはできないのです。

 また本人の了解のもと、電話番号を知っている人でも、個人情報をデータベース化して事業に使っている人は、個人情報取扱事業者として個人情報保護法の適用を受け、取得した個人情報を外部に漏らすことができるのは、人の生命身体や財産を守るため必要であるのに、本人の同意が得られない場合など、きわめて限定されます。

 つまり、連絡網などに載せて配布すると、第三者に開示することになります。その点を踏まえ同意がなく、町内会で個人情報のデータベースを使って活動をしている場合、この事業者になるので注意が必要です。

 もっとも、コンピューターを使わず、個人名を簡単に検索できるような整理もしていなければ取扱事業者に該当しないので、個人情報保護法の規制はありません。ですが、知っている特定人の携帯電話番号を連絡網に載せ、一定範囲の人であるにせよ、公開することはプライバシーの侵害として不法行為になるのではないかという問題にもなります。

 実際の被害は通常考えられず、目的も正当ですから、受忍限度内といいたいのですが、本人が連絡網に加わらない不便を承知の上、明瞭に拒否している情報を公開すると、いくばくかの精神的苦痛を与えることは否定できず、避けるべきでしょう。説得しても応じなければ、拒否している人を除外した連絡網を作るしかありません。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年9月8日号