コット(左)と亀海は激しく打ち合う

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 ◇WBO世界スーパーウエルター級王座決定戦12回戦 ○同級1位ミゲル・コット 判定3―0 同級6位・亀海喜寛●(2017年8月27日 米・カリフォルニア州)

 世界初挑戦の亀海喜寛(34=帝拳)は0―3で判定負けし、王座獲得を逃した。4階級制覇のスーパースター、ミゲル・コット(36=プエルトリコ)に対し、終始前へ出てプレッシャーをかけたものの決定打を打ち込めず、カウンターとコンビネーションを浴びて8〜12点の大差をつけられた。主戦場とする本場・米国で評価を上げ、日本人選手史上最高のビッグネームとの対戦を実現させたが、壁は厚かった。

 コットに健闘を称えられた亀海の目に涙がにじんだ。「たくさん応援が来てくれたのに結果を出せなくて、グッと来た」。常に相手を追い込む戦い方に無尽蔵のスタミナ。序盤はボディーやアッパーで見せ場もつくった。だが、華麗なステップワークでかわしてはパンチをまとめる相手に対し、自身は「アドレナリンや普段は出さないパワーが出て」と両腕に乳酸がたまり、パンチの切れも手数も減った。「どんな形でも勝利が欲しかった。得たものより、失ったものの方が大きい」。失望感が口をついた。

 中2でボクシングを始めてから、勝つために常識を疑ってきた。最初は指導者不在のため独学で、その後は高くない身体能力をカバーしようと、セオリーとは異なる方法を追求してきた。「王道はむしろ不正解と思っていた」。アマの頃からプロでの戦いを意識し、ボディーやアッパーを多用。プロでは「この階級で世界へ出るなら海外での勝負になる」と世界的プロモーターの本田明彦会長がいる帝拳ジムへ入門した。当初は頭脳的でスキルフルなボクサーだったが「世界で勝てないと意味がない」と米国進出を機にファイタータイプに変身。毎回期待を裏切らない激闘でアピールし、常識的には考えられないスターへの挑戦を実現させた。

 コットのファンで埋まった観客席からは不屈のファイトに声援が飛び、米HBOテレビの幹部からは「凄く興奮した。またチャンスを与えたい」と評価された。「俺はもっと強くなって戻ってきます」。会見で宣言し、拍手を浴びた亀海の入場曲はMr.Childrenの「終わりなき旅」。本場で自分の王道を貫く戦いも、まだ終わらない。

 ▼帝拳ジム・本田明彦会長 コットはさすが。今日の亀海は持っているものは全て出したので仕方がない。(亀海が契約する)ゴールデンボーイプロモーションも、それなりの試合をまた組みたいと言っていた。