ルーマニア中央部に位置するトランシルヴァニア地方。「森の彼方の国」を意味するこの地方には、今なお中世のたたずまいを残す美しい町が点在しています。

そのひとつが、トゥンパ山とポスタヴァルル山のふもとに広がる古都・ブラショフ。

12世紀にドイツ商人が町を建設したのがはじまりで、ルーマニア人、ハンガリー人を合わせた3民族の手によって発展してきました。もともとドイツ人が築いただけあって、町を歩けばドイツの香りが感じられます。

ブラショフの中心が、スファトゥルイ広場。カフェやレストランとして営業している色とりどりの建物に囲まれ、いつも多くの人々でにぎわっています。

ここでひときわ目を引くのが、クリームオレンジの外観が印象的な旧市庁舎。

1420年に建てられこの建物は、現在は旧石器時代からローマ時代、中世の発掘品をはじめとした工芸品や歴史資料を展示する歴史博物館として使われています。

スファトゥルイ広場のほど近くにある町のシンボル的存在が、黒の教会。トランシルヴァニア地方で最大を誇る後期ゴシック様式の教会で、14世紀後半から15世紀はじめにかけて、およそ80年をかけて建設されました。

「黒の教会」という名が付いたのは、1689年にハプスブルク軍の攻撃に遭って外壁が黒こげになったからなのだとか。しかし今はきれいに修復され、黒こげになった当時の傷跡は見えません。

内部では、4000本のパイプを備えたルーマニア最大級のパイプオルガンや、16〜18世紀のトルコ絨毯をはじめとする貴重な美術品に出会うことができます。

ブラショフの隠れ人気スポットが、ヨーロッパで3番目に狭いといわれるスフォリー通り。

幅わずか1.11メートルという、人ひとりが通るのがやっとの通りは、写真撮影を楽しむ観光客でにぎわっています。パステルカラーの壁に挟まれた狭い通りはなんとも絵になりますね。

時間があればかつての旧市街、スケイ地区にも足を延ばしてみましょう。

町の中心から15分ほど歩いたところにあるスケイ地区は、12世紀にドイツ人がブラショフの町を建設するにあたって、先住ルーマニア人たちが移住を余儀なくされた場所。

今も残るスケイ門によって中心部と隔てられ、当時ルーマニア人は特別な許可がない限りこの門から町の中へは入れなかったといいます。

スケイ地区最大の見どころが、聖二コラエ教会。

ルーマニア正教の教会で、ルター派(プロテスタント)の教会である黒の教会とは外観からしてまったく違った印象。美しいイコンで彩られた教会内部は、厳かな空気に満ちています。

ブラショフを歩いているとあちこちで目に入るのが、町を囲む山々の緑。

やはり自然のある風景というのは人の心を和ませるもので、自然と調和した中世の町並みを歩くだけで気持ちが明るく、穏やかになります。

「ドラキュラ城」として知られるブラン城への起点にもなるここブラショフで、のんびりとした時間が流れるルーマニアの古都の情緒に浸ってみませんか。

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