新垣結衣、女優としてもチームを引っぱる存在へ 『コード・ブルー』9年間の成長を振り返る

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 「ガッキーは正義!」とまで言われるほど、現在の女優の中でも絶大な人気を誇る新垣結衣が、前作より7年ぶりとなるドラマ『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』に出演中だ。1stシーズンから9年、山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介らの主要キャストが奇跡的に再結集し、放送前から話題を呼んだこの作品。新垣は、役柄だけでなく、女優としてもチームを引っぱる存在として成長した姿を見せている。そんな彼女の同ドラマにおける9年間の成長ぶりを考察してみたい。

参考:山下智久と新垣結衣、ついに恋愛関係に? 『コード・ブルー』第1話で描かれた“願い”とは

 1stが始まったのは2008年7月で、新垣が20歳になった直後。前年は『パパとムスメの7日間』(TBS系)や映画『恋空』など、女子高生役で数多くの作品に出演していた。そんな中、そろそろ高校生役からの脱皮を計ろうとしていたタイミングで、出演となったのが『コード・ブルー』だ。2ndは2010年の放送で、その前後の新垣は、映画『BALLAD 名もなき恋のうた』や『ハナミズキ』(TBS系)など、真面目な純愛のヒロインを演じている時期。女優として確実に成長しているが、真っ直ぐすぎるキャラとしては2ndの役柄に通じるところがある。

 かつて新垣演じる白石恵は、「医学書オタク」と呼ばれるほど知識がある優等生だったが、性格は受身がちで常に失敗を恐れていた。だがある事故現場で、白石は救命センターのエースで良き指導者であった黒田脩二(柳葉敏郎)にケガを負わせてしまい、医師の道を断念させてしまう。2ndではそんな黒田の医師を引き継ごうと、必死に勤務に励み医師としては成長するが、余裕と人としての温かみがなくなり、仲間たちと衝突することになる。

 そして3rdシーズンは、29歳を迎えた年でちょうど20代の集大成となる。また若手女優からの脱皮を期待させるタイミングでの出演は実に興味深い。前回の第6話で白石が「今の私たちに求められるのは成長ではなく、結果、それだけだ」と語っていた。このセリフは、「若手なら失敗を積み重ねて成長していくものだが、もう若手ではない私たちに、俳優として求められるものは結果だ」と言っているようにも捉えられる。

 ただ正直、20代後半からの代表作である『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などで培われてきた、可愛くてちょっとトボケたコメディキャラが非常にハマっていたため、内気で比較的おとなしい白石恵役を三度演じることは、彼女にとってメリットとなるのか? また今まで培われてきたものがリセットされてしまわないか? と、ちょっと不安な部分もあった。しかし、その不安をよそに1stから大人になった今を見事に演じている。

 フライトスタッフリーダーとなった3rdでは、「黒田先生の救命を超える救命を作る」を目標に若手の指導医としても奮闘する役。今回注目なのは、7年ぶりの役はもちろんだが、新木優子や成田凌といった今若手の中でも勢いのある俳優との共演だ。新垣が先輩の立ち位置から後輩と接する演技というのはあまり記憶がないので、どういった絡みを見せるのかが実に興味深い。役の白石としては、藍沢が「9年経ってお前はこの救命の良心になった」と言っていたように、新人たちに厳しく指導するが、フォローも忘れない、信頼のできる良き先輩となっている。山下が堅物なお父さんなら、新垣はそれを心配してフォローするお母さんのようだ。1stから見ている視聴者にとっては、あのテンパっていた白石がまさに黒田の代わりになりつつある姿は見ていて嬉しくなるだろう。

 新垣は後輩に対するあり方をインタビューで「頼って来てくれるのであれば、後輩に限らず自分の出来る範囲で全力で助けたいと思います。(中略)ですから、いつでも自分に余裕がある人間になりたいとは思います」(引用:公式サイト)と答えている。これは成長というよりも、これから30代を迎える役者としての新しい挑戦ではないだろうか。

 さらに今回の白石はチームリーダーということで、チームの輪を和ませるようなユーモラスな部分も目立つ。またアドリブも多いそうで、戸田との掛け合いや、山下へのツッコミなどは、最近の新垣のキャラクターを活かした演技のように感じる。これは、実際の5人が「みんなで演じているキャラクターの関係性にも似ていると思います。医療現場で闘う戦友でもあり、ライバルでもあり、そして一番の理解者でもある…という」(引用:公式サイト)と新垣が語るように、5人みんなが役者としての余裕が出てきて、絶妙なチームワークの良さを保っているからにほかならない。

 1stからの仲間たちのチームワークにせよ、今回の若手との絡みにせよ、新垣がいれば間違いないという安定した存在感にせよ、9年前にはなかったものだ。それらは彼女が培ってきた女優としての成長の結果ではないだろうか。特別ではなく普通だからこそ惹き付けられる不思議な魅力。藍沢が白石に、救命に戻ってきた理由について「救命にはお前がいる。お前は面白い」と言っていたが、まさに女優・新垣結衣の今にピッタリの言葉である。(文=本 手)