「叱る子育て」「褒める子育て」結局、どっちなの?

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近年、書店の子育て関連の本のなかに“褒めて育てよう”といった言葉をよく目にします。その影響か、わが子を叱ることに戸惑ってしまう、叱れない親御さんも増えているといいます。その一方で、叱らない子育てに警鐘を鳴らす内容の本や情報も多くあり、世の親御さんたちは“結局、どっちなの?”と、混乱状態なのでは? そこで、その真意について、『1人でできる子になる テキトー母さん流子育てのコツ』の著者・立石美津子さんにお話しを伺いました。

●“悪いことをしたら叱る”“良いことをしたら褒める”。子育ては実はシンプル

「“子どもは叱って育てたらいいですか?”“褒めて育てたらいいですか?”という質問をよく受けます。“叱る子育て”“褒める子育て”といった言葉が横行することで、わが子を叱ることをためらってしまったり、逆に褒めなきゃと、やたら『いい子ね、偉いね』と根拠も内容もない褒め言葉を連発したり、親御さんたちをより混乱させてしまっているのです。しかし、“褒める子育て”“叱る子育て”というその言葉に囚われて、どっちが正しいとか、間違ってるということではないと、私は思います。実はもっとシンプルなのです。子どもが“悪い行動をしたら叱る”“良い行動をしたら褒める”それだけのことです」(立石さん 以下同)

つまり、“なぜ叱る必要があるのか?”という原点について、今一度考えてほしいという。

「人間は、動物としての本能を持ってこの世に生まれてきます。おっぱいを飲むことや寝ること、痛い、暑いと感じて泣くことなど…そういったことは教えなくてもできますね? しかし、物事の善悪は知りません。じゃあ、誰が教えるか? と言ったら、基本的には親になりますね。つまり、成長過程で“悪いこと”“良いこと”を叱ったり褒めたりして教え導いていくのが子育てなのです。もし、悪いことをしても叱らないまま育っていったらどうなるでしょう? 子どもは野獣化してしまいますね」

●子育ては、生まれてきたわが子に“本能として知らないことを親が教えていく”こと

しかし、“叱る”前に親にはまずやらなければならないもっとも大事な役目があることを忘れてはならないと、立石さんは話します。

「子どもはそもそも善悪を何も知らない状態で生まれてくるのですから、親は叱る前に、まず“悪いこと”“良いこと”を子どもがきちんと理解できるようにその都度教えてやらなければなりませんよね」

意外とそこを怠ってしまい、いきなり感情的に叱って躾をしようとする親御さんが多いという。

「例えば、1歳のわが子が絵本をビリビリと破いていたら、どう対処しますか? “何やってるの! ”と怒鳴って叱るママ。“ダメ!”と手やお尻をたたいてやめさせるママ。なかには赤ちゃんだからしょうがないとやらせ放題のママもいるのでは? しかし、これはすべて間違った対応です。子どもはまだ“絵本を破ってはいけない”ということすら知らないのですから、いきなり叱られた子どもからしてみれば“だって知らないもん”となりますよね」

では、どうすべきなのか?

「親がすべきなのは、“絵本は破るものじゃなくて読むものだからやめようね”と怖い表情で絵本を取り上げて、“なぜ絵本を破ってはいけないのか?”ということをきちんと教え理解させていくことが先なのです。1歳児といえども、そういった対応をちゃんとしていけば、だんだん“これはやってはいけないことなんだ”とわかっていきます」

つまり、声を荒げて“ダメ!”と怒鳴ったり、たたいたりしても、子どもに“なぜ悪いことなのか?”ということを教えていなければ同じことを繰り返す。そして親はますます声を荒げて叱る…とならざるをえないのだ。

また、“まだ小さいからしょうがない”と、やらせ放題にして途中からいきなり躾ようとすることも危険だという。それは、それまで許されてきたことだけに、なかなか子どもは聞かなくなる。そうなると親はやはり叱ってなんとかしなければ…となるからだ。

「子育ては、生まれてきたわが子に“本能として知らないことを親が教えていくことなんだ”…と思って子育てをしていくことが大事です。そのなかで時には叱ったり褒めたりしながら、一つひとつ根気強く教えていくのです」

“叱る子育て”“褒める子育て”…ということに囚われて頭であれこれ考えるのではなく、子育ての原点に立ち返ることでその答えはおのずと見えてくるようです。

(構成・文/横田裕美子)

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