日本代表DF酒井高徳(ハンブルガーSV)は全員で約40分間のランニングを終えると、ボール回しの輪には入らず、シリル・モワンヌ・フィジカルコーチとともに追加のランニングとダッシュで汗を流した。個別での調整となったが、「元気ですよ」と強調。「コンディション調整というか。(自分からの)志願もあり、スタッフの要望もあってランニングを入れた」と明かした。

 ハンブルガーSVでは今季も主将を務めるが、ブンデスリーガ開幕から2試合連続で出場機会が訪れなかった。予想外のスタートにバヒド・ハリルホジッチ監督も心配を寄せたのか、個別のランニングを終えると、「今の自分の状況について監督から話があったり、自分が思っていることを言った」と、2人で話し込む姿も見られた。

 昨季はキャプテンとしての重圧を背負いながら、熾烈な残留争いの末、クラブ史上初の降格を回避するというミッションを達成した。「プレッシャーは悪いほうに抱え込むんじゃなく、楽しむほうに向ける。昨シーズン、プレッシャーに対する向き合い方を経験した。少なくとも『ヨルダン』のときよりは、プレッシャーとの向き合い方は向上した」と、メンタル面での成長を実感している。

 酒井高の言う「ヨルダン」とは、アルベルト・ザッケローニ監督時代の2013年3月26日にヨルダンのアンマンで行われたブラジルW杯アジア最終予選・ヨルダン戦のことだ。当時は引き分け以上でブラジルW杯出場が決まる状況だったが、1-2で敗れ、W杯出場決定は持ち越しとなった。この試合に酒井高も左サイドバックで先発していたが、1-1の後半15分に敵陣左サイドで切り返そうとした酒井高がボールを奪われ、そこからのカウンターで決勝点を献上した。

「代表でスタメンに出る経験が浅かったし、プレッシャーをモロに感じていた若い時代だった。経験値が低かった」。4年前の“悪夢”をそう振り返る26歳に当時の面影はない。ハリルジャパンにもMF井手口陽介(G大阪)やDF三浦弦太(G大阪)ら若手がいるが、「井手口とかは自信を持ってやっているのでそんなに心配しなくていいのかな。僕が弱かっただけだったかな」と自嘲気味に笑った。

 またも王手がかかった決戦を迎える。過去のW杯予選でオーストラリアには5分2敗と、いまだに勝ったことがない。「やりにくさがないと言ったら嘘になる。それが耳に入っている以上、意識しない選手はいない」。そう率直に話す一方、「そういう相手を倒したほうが最高の決め方になる。過信はしないし、いい準備をしないといけないという前提のもと、全力で戦いたいという気持ちが一人ひとりにある」と力説。チーム一丸となって6大会連続6回目のW杯切符をつかみ取りに行く。

(取材・文 佐藤亜希子)


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