32歳にして海外バージン(海外旅行未経験者)のウートピ編集部Y子。

このままもったいぶるのは嫌! 
さっさとバージンを卒業したい! 
でも、一生に一度だけだから最高の思い出にしたい!

と、わがままを炸裂させるものだから、ウートピ編集部は旅歴25年間に80カ国以上を旅し、酸いも甘いも知り尽くしたトラベルジャーナリスト・寺田直子(てらだ・なおこ)さんに相談。

前回、メルボルンの街なみに「海外旅行ならやっぱりインスタ映えも大事でしょ」と言い出したY子に寺田さんが勧める国とは……?

直行便じゃなくても行きたいラトビア

最近ブームになる海外旅行先の特徴に「インスタ映え」があります。Y子が、「よくわからないけどウユニ塩湖とかいいんですよね?」と言うその「いい」っていうこと=「インスタであげるといいね!が多い」ことを指していたりします。

ということで今回はインスタ映えする、つまり人に自慢できる彼(旅行先)を選んでみましたよ。

それは、ラトビア。「え、どこですかラトビアって……?」と思う人が大半では。ラトビアはバルト海の南に位置するエストニア、リトアニアと並ぶバルト三国のひとつ。北ヨーロッパに属しますがすぐお隣にはロシア。ベラルーシ、ウクライナなど東ヨーロッパにも近いロケーション。

異国情緒を漂わせる反面とっても遠そうなイメージですが意外にアクセスは悪くありません。これまで直行で行ける国を紹介してきましたが、つ・い・に直行では行けない目的地を紹介します。でもご安心を。この特集で最初に登場した王子様、フィンランドのヘルシンキを思い出してください。

ラトビアは日本からの直行便が飛んでいるヘルシンキからわずか片道1時間ほど。日本からのフライトとうまく組み合わせればヘルシンキ空港で数時間のトランジットで首都リガに到着します。

どんな経由便があるのか。そんなときはスカイスキャナーを活用してください。出発地と目的地を日本語で入力して検索すると各エアラインの発着時間と料金がリストアップされて出てきます。そのまま予約することもできますが私は時刻表代わりに活用しています。「せっかくだからヘルシンキで1泊して観光したい」。そんな願いが可能かどうか。瞬時にチェックできるので便利です。

愛され系男子のような空気感に包まれて散策を

リガは世界遺産に登録される旧市街が観光ポイント。色とりどりの愛らしい中世の建物が並ぶメルヘンさは誰もがとりこになるはず。

ホテルやレストラン、見どころも集中。歩いてまわれる広さなのでお散歩気分で観光が楽しめます。点在するステーションで乗り降り自由なレンタサイクルもあるのでそれを利用すればより広範囲にまわることも。

また、最近人気急上昇なのがラトビアのミトンなど手編みの手工芸品。
クラフトフェアも毎年開催されるほど。「チクチク系」好き女子にはたまりません。

そんなおとぎ話に登場するようなラトビアはたとえるならば会社でなにやら評判のいい草食系男子。フロアが違う部署なので直接会う機会はそれほど。でも、同僚たちからは「かわいい」「優しい」「なごむ」など好感度フレーズが。恋愛対象というよりは愛され系男子としてマスコット的な存在かもしれません。

※リガの詳細はラトビア政府観光局のサイト(日本語)で。

インスタ映えする「ピンクのスープ」

そして今回のテーマです。もちろん旧市街そのものも文句なしのインスタ映えする場所のひとつ。でも目的は別に。それがピンクのスープです。

鮮やかなフューシャピンクのスープはまさに声をあげたくなるほどの美しさ。なぜ、こんなピンクになるのかといえばビーツ(赤カブ)が使われているから。

ビーツにケフィアと呼ばれるヨーグルトやキュウリ、ディルなどをまぜたのがこのスープ。ラトビアではAukstā zupa(冷たいスープ)と名付けられています。そう、これは夏に飲む冷たいスープ。ひとさじ口に含むとほんのり甘味のあるビーツと酸味のあるケフィアが絶妙なハーモニー。そこにディルのさわやかさが加わり乾燥したラトビアの気候風土にぴったり。暑い時期にこそふさわしいひと皿。

ビジュアルよし。お味よしの一度は試したい逸品です。お店によって味も異なるのでリガでピンクのスープの食べ比べもよし。

インスタでの「いいね!」も増えるはずです。

Y子、「こんなの初めて」を求める

「ほぉ……。確かにピンクのスープは珍しいし、インスタ映えしそうですね。ビーツは栄養価も高いと聞くし……」

ビーツのスープのかわいさは否定しないものの、物足りなさそうな表情のY子。その口から飛び出したのは……。

「寺田さん! もっとこう、『うわぁ。こんなの初めて!』っていうような、超スペクタクルな体験がしたいんです!!」

両手をブンブン振り回して、「もっと、こう」を繰り返すY子に、寺田さんもすっかりあきれ顔です。すみません。次の国、お願いします。