アフガニスタン東部ナンガルハル州のサークロッドでケシの乳液を採取する農民(2017年4月21日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は、自分たちが支配していた時代にはアヘンなどの原料であるケシの栽培を禁止していたが、今では戦火で荒廃した同国のヘロイン生産に支配的影響力を及ぼしているとみられ、反政府活動の資金源としているという。複数の当局者がAFPの取材に対し話した。

 国連(UN)によると、世界のアヘンの80%が生産されているアフガニスタンでは昨年、約4800トンのアヘンが生産され、30億ドル(約3300億円)相当の収入がもたらされた。ケシは安く簡単に栽培でき、アフガニスタンの農産物全体の半分を占めている。

 タリバンは長年、反政府活動の資金源として支配地域のケシ栽培農家から徴税してきたが、最近では自らの工場を運営し、採取したケシの乳液を精製して輸出用のモルヒネやヘロインを生産していると欧米の当局は懸念している。

 アフガニスタンの首都カブール(Kabul)で先ごろ報道陣に答えた米国務省のウィリアム・ブラウンフィールド(William Brownfield)次官補(国際麻薬・法執行担当)は「(タリバンは)採取したすべてを自分たちで加工していると、極めて強く確信している」と述べた。輸出前に自分たちで加工すれば、より大きな収入を得ることができるからだという。

 ケシの実に傷をつけるとにじみ出てくる乳液が凝固した生アヘンは、1キロおよそ163ドル(約1万8000円)で農家から買い取られる。それを精製して最終的につくられたヘロインをタリバンは地域市場で、1キロ2300〜3500ドル(約25万〜38万円)で売っている。ある専門家によると、こうしたヘロインは欧米へたどり着くころには、卸売価格でおよそ4万5000ドル(約490万円)になっている。

 この専門家によると、麻薬生産におけるタリバンの活動の拡大を示すように、アヘンをモルヒネに精製する段階で必要な化学物質の押収が増えている。また、モルヒネ自体の押収も増えており、昨年1年間で発見されたモルヒネは43トンだったのに比べ、今年は上半期だけで57トンが発見されている。それでも実際の生産量のわずか10%程度だろうと、この専門家は言う。

■「ヘルマンドといえば麻薬」

 この専門家はまたAFPに対し「初歩的な生産工場をつくるのは簡単だ。土壁にわらぶき屋根の建物で十分で、あとは作業が済んだら引き揚げてしまう」と話した。

 アフガニスタン内務省によると、麻薬捜査当局によって閉鎖された麻薬生産工場は、昨年1月から6月は16か所だったが、今年の同時期は46か所に上っている。こうした摘発によって密売業者らは約3億ドル(約330億円)の収入を逃したと、米麻薬取締局(DEA)はみている。

 欧米諸国のある高官もまた、タリバンが南部ヘルマンド(Helmand)州に自らの工場を持っていると確信しており、アフガニスタンのケシの80%が栽培されているという同州のことを、「巨大な麻薬工場」と表現し、さらに、「ヘルマンドといえば、麻薬、ケシ、タリバンだ。タリバンの資金源は大方、ケシとモルヒネ工場、ヘロイン工場だ。もちろん彼らは自らの工場を持っている」と話した。

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、昨年のタリバンの収入の半分はアヘンの生産によってもたらされたとみている。アフガニスタン内務省麻薬対策局の報道官は「タリバンは戦闘態勢を維持し、銃を買うためにさらに資金を必要としている。だから麻薬生産工場を運営するようになった」と説明している。
【翻訳編集】AFPBB News