英イングランド南西部ネイルズワースにあるフォレスト・グリーン・ローバーズのホームスタジアム「ニューローン」で、フードスタンドから試合を見る女性(2017年8月8日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】英イングランド(England)南西部グロスターシャー(Gloucestershire)州の丘陵地帯コッツウォルド・ヒルズ(Cotswold Hills)に位置するネイルズワース(Nailsworth)。人口6000人のこの町に本拠地を構えるサッカーチーム、フォレスト・グリーン・ローバーズ(Forest Green Rovers)のホームスタジアムが、収容人数5000人の「ニューローン(New Lawn)」(新しい芝の意)だ。

 英国中のサッカースタジアム同様、ニューローンでもチップスやパイ、ビールが売られている。だが、ここにはホットドッグがない。肉など動物系のフードは全面禁止、完全な菜食主義、つまりビーガン食なのだ。

 青々とした芝を保っているのは、捕集した雨水だ。スタジアムの塗料に化学物質は使用されていない。スタンドの屋根に設置されたソーラーパネルで使用電力の20%をまかない、電気自動車の充電設備も併設している。

 チームカラーはライムグリーンと黒。ジャージーには提携している英海洋生物保護団体「シー・シェパードUK(Sea Shepherd UK)」のロゴが入っている。

 ローバーズが創設されたのは1889年だが、今年5月、初めてプロフェッショナルリーグへ昇格。8月5日に新シーズンが開幕した、イングランドサッカーの4部リーグに当たる「リーグ2」でプレーしている。チーム名は「森の緑」という意味だが、このクラブが環境問題を意識し始めたのは、再生エネルギー関連のベンチャー企業「エコトリシティ(Ecotricity)」の創業者デール・ビンス(Dale Vince)氏(53)が2010年に会長に就任してからだ。

 ビンス氏はAFPにこう語った。「われわれはもっと持続的な暮らし方をする必要があるというメッセージを、環境問題にあまり触れたことのない観客、つまりサッカーファンたちに届けるチャンスだと思った。お説教じゃなくね。フードや交通手段について話そうという感じで」

■オーガニックなピッチ

 ビンス氏は若い頃、ニューエージ系のバックパッカーだった。今でも自分は実業家というよりも、環境保護活動家だと自負している。1990年代、ローバーズのスタジアム近くの丘にキャンピングカーを止めて暮らしていた時に、最初の風力タービンを建てた。

 ホームでの勝利は、エコフレンドリーなメッセージを広めるためにも不可欠だとビンス氏は言う。「ここはオーガニックピッチだ。だが、サッカーのピッチとして優れていなければ意味がない」

 クラブのウェブサイトでは、情熱あふれるグラウンド整備士のアダム・ウィッチェル(Adam Witchell)氏が、完全にオーガニックなピッチ整備という挑戦について熱く語っている。「オーガニック製品しか使わないというだけでなく、動物性のものを使わない」。つまり動物のふんから作った有機肥料なども除外している。「私自身にとっても、ハチにとっても健康だし、何よりも選手にとって健康だ」と言う。また芝の世話も通常より「手をかけて」いる。文字通り、手で雑草を抜いているのだ。

 こうした特徴は選手や観客が口にするフードにも表れている。クラブシェフのエム・フランクリン(Em Franklin)氏によると、ビーガンメニューは「食べやすい」。その証拠にスタジアムでのフードの売り上げは伸びているという。「栄養摂取の面では、特にアスリートに必要な量のタンパク質をとるのは、そんなに難しくない」。取材した試合当日の選手用メニューは、ヒヨコ豆のカレーだった。

 ビーガン食は、選手がプライベートで食べるものにまで強制はされていないが、マーク・クーパー(Mark Cooper)監督をはじめ進んで菜食に切り替えた選手もいる。

 ファンの間では、スタジアムのビーガンメニューに物足りないという感想も一部聞こえる。ベジタブルバーガーを食べながら「段ボールとチリソースを食べているみたいだ」と言ったファンもいた。

 だが、サッカーファンは飲み物では意見が一致するようで、豆乳のミルクティーなど考えられないようだ。たとえオーガニックに変わっても、選ぶのはビールだ。

【翻訳編集】AFPBB News