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もくじ

ープロローグ

ーデザインと技術
 ★★★★★★★★☆☆

ーインテリア
 ★★★★★★★★☆☆

ー動力性能
 ★★★★★★★★☆☆

ーマルチメディアシステム
 ★★★★★★☆☆☆☆

ー乗り心地と操縦安定性
 ★★★★★★★★☆☆

ー購入と維持
 ★★★★★★☆☆☆☆

ー詳細スペック

ーAUTOCARの結論
 ★★★★★★★★☆☆

プロローグ

昨年、124スパイダーが見せた成果により、われわれはフィアットを称賛した。

マツダMX-5(日本名:ロードスター)のメカニズムとイタリアン・デザインの融合は非の打ち所がないといえるほどのものではなかったが、フィアットの限定的でおもしろみの薄いラインナップに魅力を添えるモデルではあった。

しかし、チューニングカー部門であるアバルトにとっては、それ以上に大きな意味を持つモデルなのではないだろうか。

フィアットとしては最低限の投資で、実によくできたロードスターを手に入れ、有意義なイメージアップを、とりわけ北米市場で果たした。

一方のアバルトが得たのは、持て余していた腕前で、すでにその能力に定評がある素材を料理できる機会だ。絶対値の低いフィアット500ばかりを手掛けていた状況からすれば、飛躍的な追い風といえる。

アバルト仕様の市場に、明らかな空白があることもまた好都合だ。

マツダはMX-5の出力向上を、かなり控えめに抑えた。となれば、劇的なパワーアップをしたわけでなくても、低回転域が厚く、ピークが5kg-m高いトルクを発生するアバルト版の「マルチエア」1.4ℓターボの搭載は、1トンそこそこのクルマにとって大きな意味を持つものとなる。

そのうえ、機械式LSDを装着することで、フィアット版とも異なるポジションを明確にしている。

これは、いかにもスポーティなスパイダーといった風貌で、見当違いなクルマだったフィアット・バルケッタが生産終了になる以前からわれわれが待ち望み続けたような類の、コンパクトなイタリアンロードスターになりうるモデルだ。

また、フィアットがその値付けを正当化するには、そうである必要があるともいえる。£29,565(417万円)からという価格は、MX-5の最上級仕様より£6,000(85万円)も高いのだから。

なかなかの重責を背負っているわけだが、おそらくサソリのバッジを持つモデルとしては、1970年代半ばのアウトビアンキA112アバルト以来、最高の1台になることだろう。

デザインと技術 ★★★★★★★★☆☆

当然ながら、ボディパネルの大半はフィアット版124スパイダーと共通だが、両者を見分けるのはたやすい。

その大きな理由となるのが、長いボンネットをはじめとした各部をマットブラックで染め上げた「レーシング・アンチグレア・キット」だ。

過去のモデルへのオマージュというか、自社のヒストリーへの感傷といった処理だが、われわれとしては悪い冗談にしか思えない。

ただし、それを抜きにしても、前後ともアグレッシブにリデザインされたバンパーは明らかな識別点となっている。

フロントはより開口部の大きいエアインテークを備え、リアは「レコルト・モンツァ」マフラーの4本出しパイプに合わせた形状だ。

エンジンはフィアット版と同じ1.4ℓターボだが、よりハイチューンが施され、140ps/5000rpmから170ps/5500rpmへパワーアップ。

MX-5の2.0ℓ自然吸気に対しては10psのアドバンテージだが、2000rpmほど低い回転数で達するピークトルクが5kg-mも太いことの方が、日伊両モデルの差を際立たせる。

エンジン以外のメカニズムでは、マツダ版の上級仕様との共通点の方が多い。

ビルシュタイン製ダンパーやリアLSDは、フィアット版では選択できないアイテムだ。ただし、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクのサスペンションは、すべてのモデルで同一のコンポーネントを使用する。

もちろん、シャシーのチューニングはアバルト独自のもので、フィアット仕様よりハードなスタビライザーと、ハイスペックなブリヂストン・ポテンザが奢られる。

イタリアンブランドの2台は、マツダ名義のベース車よりノーズが伸び、エンジン重量が増している。

それでもフィアットのエンジニアたちと同様、アバルトでもMX-5の完璧に等分な前後重量配分を維持したという。

今回は実測できなかったが、フィアットの時は55:45だった。それと異なり50:50を達成しているとしたら、それはちょっとした驚きだ。

また、6段ATの「セクエンツィアーレ・スポルティーヴォ」搭載車に、英国で試乗する機会は今のところ得られていない。

このATは英国外ではポピュラーだが、われわれの経験では、今回テストしたショート・ストロークのMTの方が、選択する価値ありと思われる。

インテリア ★★★★★★★★☆☆

ボディワークの変更が明らかだったのに対し、室内に大掛かりなモディファイは見いだせない。

まったくもって見慣れた感じで、フィアット版を経験していれば既視感にとらわれるだろうし、マツダ版に乗ったことがあれば基本構造が流用されていることがすぐわかるはずだ。

ただし、それを問題視するか否かは、あくまで主観的な判断だといえる。なぜなら、客観的に見れば作りはよく、小綺麗で絶妙なインテリアだからだ。

座面はうれしくなるくらい低く、身の回りにあるものはどれも美的に優れる。

左腕をセンターコンソールに置くとインフォテインメント・システムのコントローラーに肘が当たることを除けば、コンパクトなクルマのキャビンながら、すべての配置は申し分ない。

アバルトならではのデコレーションは、どちらかといえばフィアット版のそれよりマイルド。目につくのは、サソリのバッジとシリアルナンバーを刻んだプレート、鮮やかな赤い盤面の回転計とスポーツモードのボタンくらいだ。

そのほか、トリムの材質に変更が見られるが、試乗車の革張りスポーツシートやアルカンターラのトリムは収まりがよいものだった。

手に触れる部分の質感に関する満足度の低さが、アバルト仕様の安からぬ価格を正当化できるか否かはともかく、フィアット仕様に対する変更箇所に限れば、われわれは高く評価できる。

コスメ程度の手直しだが、それも悪くないと思わせる仕事ぶりだ。

動力性能 ★★★★★★★★☆☆

アバルト124は4本のテールパイプから、やや奇妙で大げさなサウンドを発して存在感を示す。エグゾーストノートは大きめで、深夜の駐車場での出し入れには気を遣うレベル。ちょっとやりすぎな改造車といった感じだ。

アイドリングや低速域では、ちょっとばかり威圧的に過ぎるともいえる。しかし、その激しさは、少なくともドライバーにとっては、来るべきフィアット版やマツダ版よりハードでわかりやすく、ダイレクトなドライビングへの心構えを促すものでもある。

ただ比較的軽量なスポーツカーに、ターボがもたらす差異は否定できない。

アバルトの0-97km/hは6.8秒、マツダの2.0ℓNA仕様の0-100km/hは7.3秒と、ゼロ発進での違いはさほど大きくはない。

しかし、より実走行で重視される追い越し加速では、ターボユニットの力強さがものをいう。4速での48-113km/hは8.3秒で、アウディTT2.0TFSIクーペの8秒フラットに肉薄する。これが自然吸気のトヨタ86だと、およそ12秒かかるのだ。

それゆえ、この124は望むときに間違いなくスピードを得られる。MX-5の5000〜7000rpmは忘れがたいものがあるとはいえ、基本的にエンジン回転を上げることを強いられるクルマだ。

その点、このアバルトならたったの2500rpmから十分な力を発揮し、レスポンスにも優れる。

アバルトのエンジンは過敏で、ボンネットの下の息遣いが明確に感じられ、加速フィールは高出力版でもソフトだったアバルト500とは異なるものだ。

また、高回転ではフィアット版のエンジンよりずっと大きな喜びが感じられ、そのことがより速く走らせて楽しむ上で決定的な違いを生む。アバルトは5500rpmまでシフトアップなしに回したくなるが、フィアットはそれより1000rpmほど下で息切れし始める。

MX-5に対するアドバンテージは、ある程度の条件付きだ。同じようなドライビングならば、アバルトの方が速く、レスポンスもよく感じられる。そして、シフトチェンジのクオリティの素晴らしさやブレーキの強力さは同等だ。

ただし、アバルトの走りはマツダのような、本当に元気なものとはいえない。

サウンドは自然吸気のように甘美なものではなく、ターボの存在は、ギアボックスの正確なシフトレバー操作や、考えずともピタリと合ってくれるエンジンとプロペラシャフトの回転といったものから、得られるはずの快感を鈍らせるのだ。

テストコース

124スパイダーとMX-5のゼロ発進加速は同等だが、アバルトにはサーキットのラップタイムを同程度のマツダよりおそらく数秒単位で削れるグリップとペースがある。

その源泉は、より硬く、ストロークの短いサスペンションによるものだ。それゆえ、124スパイダーはより一層の安定性と強力なグリップを発揮し、路面のパッチへの当たりにもムラがなく、シンプルに速い。

電子制御スタビリティコントロールは、限界域でのドライビングを非常に楽にし、オンにしていればリアがわずかでもラインを外すことはない。

オフにすれば、マツダのそれよりクイックな挙動が出るが、それでも好きに振り回せて、非常に寛容なクルマだ。ただし、バンプに遭えば、トラクションは失われやすい。

T2のようにシャープなコーナーでは、スロットルオンでのバランスはわずかながら失われる。アンダーステアは常にわずかだ。

ローダウンしたスポーツ・サスペンションは、T1の後で、トランスミッションのショックにかぶせて好ましくない衝撃を生み、グリップレベルを低下させる。

発進加速


テストトラック条件:多湿路面/気温6℃
0-402m発進加速:15.2秒(到達速度:147.9km/h)
0-1000m発進加速: 27.9秒(到達速度:187.3km/h)


トヨタGT86(2012)
テストトラック条件:乾燥路面/気温13℃
0-402m発進加速:15.7秒(到達速度:147.3km/h)
0-1000m発進加速:28.4秒(到達速度:187.8km/h)

制動距離


テスト条件:多湿路面/気温6℃
97-0km/h制動時間:2.79秒


メルセデス-AMG C63 セダン(2015)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃

マルチメディアシステム ★★★★★★☆☆☆☆

ディスプレイとコントローラーは、ベース車のフィアット124スパイダーと同じもので、つまり、インフォテインメントシステムが本質的にマツダMX-5と変わらないことを意味する。

ということは、これはインテリアのほかの部分と同じく、利点と欠点が共存する。

マツダのそれは基本的に出来が非常にいいが、他社の商品にアバルトマークの起動画面を組み込んだだけにすぎないということだ。

もっとも、同じ金額を支払うなら、フィアットのそれよりマツダのものの方がいい。ナビゲーションはもちろん、デジタルラジオやブルートゥース、リアビューカメラまでフル装備だ。

インターフェースやメニューくらいはオリジナルにすればいいのに、という不満も理解できる。

しかし、ほかにもベース車からキャリーオーバーされる部分の多い124のキャビンに満足しているとすれば、おそらくインフォテインメントシステムの変化のなさも気にならないだろう。

試乗車には、上級仕様のBOSE製オーディオが装備され、サブウーファー追加を含めてスピーカー数が増加している。風切り音と決別できないオープンカーの宿命を考えれば、高出力オーディオはおすすめしたい装備だ。

乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★☆☆

より硬く、よりフラットで、より音が大きく、よりシンプルでわずかながらより理解しやすく、すぐに魅了されるが、長い目で見れば飽きが来るかもしれない。

もしMX-5のオーナーに、アバルトの乗り味はどんなものか尋ねられたなら、そう答えるだろう。

まず気づくのはサスペンションの硬さやよりパワフルな走り、そわそわした乗り心地だ。

穏やかなバンプを高速で乗り越えると、このアバルトは素晴らしくしなやかに感じられるが、ダンパーは入力に対するコンプレッションのセッティングが、高周波側と低周波側ではっきり違っている。

荒れた路面や鋭い突起を越える際には、その脚回りが粗くゴツゴツとしたフィールを伝えてくるのだ。

そのサスペンションからの入力を受けても、ボディにストレスの兆候はほとんど見られないが、スカットルだけは時として明らかな振動を引き起こす。

とすると、その見返りには何があるのか。

それは、この上なく動じないボディコントロールと、極めて機敏なハンドリングレスポンス、そしてMX-5の純正仕様ではいかなるグレードでも得られないほど強力で、サーキットのラップタイムでも上回れるほどのグリップレベルだ。

また、後輪駆動車のハンドリングとしては、フィアット版やマツダ版よりわかりやすいが、これは、中回転域のトルクやLSDが加わっていることによるもの。

グリップレベルが上がっているにもかかわらず、そのトルクは中回転域であっても、ドライバーの意のままに後輪を圧倒する。

そして、MX-5がその真価を発揮できないような状況でも、アバルト124スパイダーなら愉快なドライビングを堪能させてくれるのだ。

その反面、繊細さはマツダ版のそれと比較して不足気味だ。よりプリミティブなMX-5の方が一体感に優れ、生き生きとしていてドライバーをその気にさせてくれる。

しかし、デリカシーが全くないわけではない。多少ならば、それを犠牲にしても、引き換えにダイレクトさを求めるというユーザーは少なくないはずだ。

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

昨年の導入時にフィアットが主張したMX-5に対する優位性は大げさにも聞こえるものだったが、コストパフォーマンスに関していえば納得できる。

比較的高い値付けをするトリノの傾向はこのアバルトでも衰えておらず、兄弟車たちと同じ日本製である事実も、£29,565(417万円)という初期投資を将来的に削減する原動力とはなりそうもないといえる。

たしかに、このクルマの追加装備やほかでは得られないパフォーマンスは、フィアット版のそれ以上にMX-5との差別化に貢献しているが、基本的な装備内容を比較すれば、マツダ版でも充実していることに気付くだろう。

維持費に関しては、大差ないといっていい。CO2排出量は、小排気量ターボのアバルトが148g/kmで、MX-5・2.0ℓ自然吸気仕様の161g/kmより少なく、英国では税制優遇で初年度の経費に£300(4万2000円)ほどの差がつくが、それも購入初年度だけの話だ。

CO2排出量が少ないということは、燃費でも勝るということ。公称値は、アバルトが15.6km/ℓで、マツダの14.5kmを凌ぐ。

今回のテストでは、定速巡行で16.0km/ℓ、タイムアタックなども含むテスト期間通算で12.5km/ℓだった。実測値としてはまずまずといえるが、以前に試乗したMX-5に決定的な差をつけるほどではなかった。

価値の推移

装備類が同等のMX-5より新車価格はやや高いが、残価も多少上だ

詳細スペックで学ぶ アルファ・ロメオ・ジュリア

メカニカルレイアウト

アバルト仕様の機械式LSDや専用ダンパー、ブレンボ製ブレーキは、マツダMX-5のパワフルなバージョンと同じものだが、「レコルト・モンツァ」4本出しマフラーはもちろん専用品。構造面でマツダ版やフィアット版と変わるところはなく、生産ラインもそれらと同じ広島のマツダ工場だ。

エンジン

駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:直列4気筒2891cc
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ72.0×84.0mm
圧縮比:9.8:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:170ps/5500rpm
最大トルク:25.4kg-m/2500rpm
許容回転数:6750rpm
馬力荷重比:160ps/トン
トルク荷重比:24.1kg-m/トン
エンジン比出力:125ps/ℓ

シャシー/ボディ

構造:スチールモノコック
車両重量:1060(公称)/-kg(実測)
抗力係数:-
ホイール:(F)8.0Jx17/(R)8.0Jx17
タイヤ:(F)205/45 R17/(R)205/45 R17
ブリヂストン・ポテンザRE050A
スペアタイヤ:補修キット

変速機

形式:6段マニュアル
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
5.08/5.02.99/8.42.03/12.4
1.59/15.81.28/19.7 1.00/25.2
-/--/-
最終減速比:2.866

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:12.5km/ℓ
ツーリング:16.0km/ℓ
動力性能計測時:6.6km/ℓ

メーカー公表値:消費率
市街地:11.8km/ℓ
郊外:19.6km/ℓ
混合:15.6km/ℓ

燃料タンク容量:45ℓ
現実的な航続距離:563km
CO₂排出量:148g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/コイル/スタビライザー
後:マルチリンク/コイル/スタビライザー

ステアリング

形式:ラック&ピニオン(電動アシスト)
ロック・トゥ・ロック:2.7回転
最小回転直径:-m

ブレーキ

前:φ280mm通気冷却式ディスク
後:φ280mm通気冷却式ディスク

静粛性

アイドリング:50dB
3速最高回転時:82dB
3速48km/h走行時:66dB
3速80km/h走行時:72dB
3速113km/h走行時:75dB

安全装備

ABS/EBD/ESC
Euro N CAP:-
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

実測車速mph(km/h)秒
30(48) 2.3 

40(64) 3.5 

50(80) 4.8 

60(97) 6.8 

70(113) 8.8 

80(129) 11.6 

90(145) 14.6 

100(161) 18.6 

110(177) 24.0 

120(193) 30.7 

130(209) - 

140(225) - 

150(241) - 

160(257) - 

170(274) - 

180(290) - 

中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速
20-40(32-64) 2.2 3.5 5.9 - - 
30-50(48-80) 2.3 2.9 4.1 6.4 10.9 40-60(64-97) - 3.1 3.9 5.0 7.5 
50-70(80-113) - 3.6 4.2 5.1 6.5 
60-80(97-129) - 4.6 4.6 5.6 7.0 
70-90(113-145) - - 5.4 6.1 7.8 
80-100(129-161) - - 6.8 6.3 8.2 
90-110(145-177) - - - 12.1 - 
100-120(161-193) - - - 12.1 - 
110-130(177-209) - - - - - 
120-140(193-225) - - - - - 
130-150(209-241) - - - - - 
140-160(193-257) - - - - - 
150-170(241-274) - - - - - 

各ギアの最高速

1速 58km/h 6750rpm 
2速 92km/h 6750rpm 
3速 135km/h 6750rpm 
4速 169km/h 6750rpm 
5速 222km/h 6750rpm 
6速 291km/h 5719rpm 

AUTOCARの結論 ★★★★★★★★☆☆


「活力みなぎるターボは、
 ホットハッチの精神を受け継いでいる。
 ブラボー、アバルト!」

ちょっとしたジョークのようなクルマ、それがアバルト124スパイダーだ。

MX-5オーナーのほとんどは、半日ほどの試乗ならこのアバルトを楽しめるだろうが、自分の愛車をこれに乗り替えようとは思わないだろう。

2台を比べれば、こちらの方が騒々しく、粗く、ぎこちなく、運転しづらい。

しかし、それはこのアバルトが失敗作だということにはならない。

このクルマで彼らがなすべき使命は、MX-5では決して辿り着けない領域を確実に押さえることなのだ。

それはつまり、£30,000(423)クラスの特殊なホットハッチに匹敵する、走りに特化したハードコアなフィールを、ソフトトップの2シーターで手に入れたいという過激な走り屋たちを納得させることである。

その面では、アバルトはみごとにミッションを成し遂げた。

このアバルト仕様のロードスターは、フィアット版やマツダ版よりニッチなモデルだ。このクルマのサスペンションが、ボディに対してどれほどハードかを知れば、その領域をマツダが自ら開拓しようとしない理由が理解できる。

これは、MX-5よりもたやすく運動性能のエンタテイメント性の価値に見切りをつけられるスポーツカーで、それは間違いなく胸を張ってよいことだ。

われわれは、この図太い決断の下に生み出されたクルマを好ましく思う。ただし、突き詰めるならば、純粋なドライバーズ・カーであるMX-5ほどには好みではない。

担当テスターのアドバイス

マット・プライヤー

このクルマ固有のバランスは大好きだ。この手のコンパクトなモデルでこれを上回るのは、トヨタ86とスバルBRZだけだ。

マット・ソーンダース

インフォテインメント・システム用ダイヤルの操作の際には常に、手首を後に曲げなければならず、苦痛だった。しかし、その手を戻す先であるシフトレバーの位置は完璧。エルゴノミクスの優先順位に間違いはない。

オプション追加のアドバイス

試乗車に装着されていたオプションは、£795のBoseオーディオと£1,250のビジビリティ・パック。マットブラックのボンネットは無償で選択できるが、好き嫌いははっきり分かれそう。われわれの好みではない。

改善してほしいポイント

・高周波領域のボディコントロールをもっと詰めてほしい
・スタイリングに、もっとハードコアな特徴を。マットブラックのアクセントは、あまりにも幼稚だ
・できればパワーアップを。このターボエンジンは、余力を残しているように感じられる。やれるならやった方がいい