フィリピンの首都マニラで行われたキアン・デロスサントスさんの追悼礼拝で涙を見せるデロスサントスさんの両親と親族(2017年8月26日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】フィリピンで26日、麻薬の運び屋と疑われて今月17日に警官に射殺された17歳の少年キアン・デロスサントス(Kian Delos Santos)さんの葬儀が行われ、参列者らは麻薬取り締まりでの超法規的殺害をやめるよう求めてデモ行進した。デモ参加者は約3000人に膨れ上がり、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の容赦ない麻薬撲滅戦争に抗議する単独のデモとしては最大の規模となった。

 現場で取材したAFPカメラマンによると、デロスサントスさんの自宅で営まれた葬儀の後、デロスサントスさんのクラスメートや隣人のほか、教会の神父や尼僧、人権活動家らが曇り空の下でデロスサントスさん殺害に抗議してデモ行進した。

 貧しい露天商と出稼ぎの家政婦を親に持つデロスサントスさんが射殺されたことを受けて、フィリピンではドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争に抗議するデモが相次いで行われていた。

 麻薬撲滅戦争は物議を醸しながらも幅広い支持を集めており、このようなデモはこれまであまり例がなかった。麻薬撲滅戦争に批判的な人々は、デロスサントスさんの死は警官らの取り締まりで人権侵害が横行している実態を示すものだと指摘した。

 ドゥテルテ氏が大統領に就任してからの1年2か月で、麻薬に関連して約3500人が警官に殺害された他、麻薬犯罪絡みだが十分に説明されていない状況で数千人が殺害された。

 フィリピン国家警察はドゥテルテ大統領や彼が進める麻薬戦争について、高い犯罪率や時間のかかる司法制度に業を煮やしていたフィリピン国民の大半から支持されていると説明している。

 しかし、警官によるデロスサントスさん殺害のニュースを各メディアが大々的に報道すると、フィリピン国民の間に大きな怒りが巻き起こった。

 警察は、デロスサントスさんは麻薬の運び屋だと主張し、身柄を拘束しようとしたところ抵抗して発砲してきたと説明したが、防犯カメラの映像には武器を所持していないデロスサントスさんが殺害される直前に警官2人に力ずくで引きずられていく様子が捉えられていた。

 自身の麻薬撲滅戦争をアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)のユダヤ人虐殺になぞらえ、容疑者を殺害した警官が起訴されないようにする断言し物議を醸したドゥテルテ大統領だが、デロスサントスさんの件に関しては殺害者を法の下で裁くと約束。エルネスト・アベリャ(Ernesto Abella)大統領報道官も25日、「大統領は、麻薬撲滅戦争は違法行為のライセンスではないと明確に語った」との声明を発表した。
【翻訳編集】AFPBB News