逆転勝利を挙げた磐田の名波監督。先制されるも狙いどおりの戦いを演じ、神戸の弱点を見抜いたうえでの交代策も冴え渡った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

[J1リーグ24節]磐田2-1神戸/8月26日/ヤマハ

「頭のアクションと身体のアクションがリンクしていて、未然に危険なことをさせないようにできていた」

 磐田の名波浩監督は、充実した表情で試合を振り返った。後半早々に先制を許したものの、試合全体を通じて磐田が内容でも上回っていたのは、双方のシュート数(19対6)からも窺えるだろう。

 試合前、司令塔の中村俊輔が体調不良で欠場するアクシデントにも見舞われていたが、果たして、どのようにして勝利を掴んだのか。

 ひとつのポイントとして、名波監督はこう言及する。

「非常にプレッシングが良く、特に、アダイウトン、川辺(駿)のプレスバックから上手くボールを取れていたり、相手の攻撃を遅らせることができた。これでゲームの主導権を握れた」

 狙いは明確だった。まず、前線から積極的にプレスをかけ、ボールを奪えれば手数を掛けずにゴールへ迫る。相手にボールが渡った時は、プレスバックして攻撃を遅らせる、あるいは、一旦帰陣し陣形を整えたうえでボールへアプローチする。個々の役割が明確だからこそ、組織としても十分機能していたのだ。

 さらにこの日は、交代策が冴え渡っていたのも見逃せない。後半、松浦の投入から俄然勢いが増したのは、指揮官が神戸のある弱点を見抜いていたことも大きく影響していた。

「相手のボランチの締めが甘いのと、CBが時間とともにラインを押し上げられなかったり、間が空いてきて個でのディフェンスしかできなくなるというのは、(神戸の試合を)何試合も見ていても明らかだった。

 時間とともに下がった守備、個で守ろうとする回数が増えてくると。そこで松浦(拓弥)がギャップで受けて前を向くというのは必ず生きると思った」

 名波監督の指摘どおり、神戸は最終ラインがズルズルと下がる“悪癖”を見せて、中盤との距離感が間延びする状態が散見された。こうした隙を松浦だけでなく川又やアダイウトンらも見逃さなかったからこそ、迫力に満ちた攻撃を展開できたのだ。

「俊輔がいないゲームでFKが決勝点。これほど痛快なことはない」(名波監督)

 重要なピースを失ったうえ、審判の不可解なジャッジにも苦しめられた戦いをモノにできた背景には、名波監督の巧みな采配があった。

【磐田2-1神戸 PHOTO】川又、直接FKを沈めた松浦の2ゴールで磐田が逆転勝利!

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)