アニメ「いぬやしき」でメインキャストを務める小日向文世と村上虹郎(写真左から)にインタビュー!

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10月12日(木)夜0時55分よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送開始となるテレビアニメ「いぬやしき」。作品のメインキャストを、俳優の小日向文世と村上虹郎が務めることでも話題となっている。その2人にアフレコ初日にインタビューを行い、作品の魅力や声の仕事について語ってもらった。

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本作は「GANTZ」(2000年〜2013年、「週刊ヤングジャンプ」で連載)で知られる奥浩哉が手掛けた同名漫画が原作。UFOの墜落事故に巻き込まれ、途方もない力を秘めた機械の体に生まれ変わった初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎(声:小日向)と高校生・獅子神皓(声:村上)の物語を描く。小日向は映画「メアリと魔女の花」(2017年)以来2度目の、村上は初のアニメ声優への挑戦となる。

――「いぬやしき」のオファーを聞いた際の気持ちはいかがでしたか?

小日向:アニメの声をやらせてもらう機会は今まで無かったのですが、この間の「メアリと魔女の花」に続いてまたすぐお話をいただけて、オファーが来た時は本当にうれしかったですね。私の子どもたちがこの作品のファンだったのでオファーをとても喜んでくれて、親としても非常にうれしかったです。

村上:僕は、もし声優の仕事をやらせてもらう機会があるなら、映画かなと思っていたんです。だから、テレビアニメの声優をやらせていただくと聞いた時はすごく意外でしたし、楽しみと同時に「えっ、ちゃんとできるのかな?」という不安もありました。先ほど実際にテストをやったのですが、すごく難しかったです。

小日向:難しかった?

村上:実写のお芝居も正解がないのでめちゃくちゃ難しいのですが、本作では原作や元のキャラクターがあるので、ある意味では正解があると思うんです。その上で僕が呼ばれているということは、演じる獅子神皓と自分の持ち味を掛け合わせるためではないかと思っています。

――やはり俳優と声優の仕事は感覚として違うものですか?

村上:どうですか?

小日向:いや、僕らは実写でも自分の口の動きに合わせてアフレコをする時があるから、そんなに違和感はないですね。演じるという意味では変わらないかな。

村上:そうなんですね。僕もそうありたいと思っているのですが、やはり声を当てる相手が自分ではないですし、絵の口の動きも意識するので、今日は違和感がありました。でも、これをできたらステージが一つ上がるのではという期待が自分の中にあります。収録では監督の指示が的確で細かいので、やっていて楽しいですね。

――声優としても先輩の小日向さんは、村上さんにアドバイスなどありますか?

小日向:虹郎くんに? 無いよー! まだ自分のことで精いっぱいだもん(笑)。でも、虹郎くんは絵の口の動きに合わせなきゃいけないと言っていたけど、監督はそうじゃなくて一連の流れで収録してくれたりもしたから、普段の虹郎くんの芝居を「自分がこう演じたい」と思う通りにやればいいと思うよ。

村上:はい! さっき小日向さんの収録を少し見せていただいたのですが、確かに一連の流れで長回しのような感じでやってらっしゃいました。

小日向:やっぱり自分の手から煙が出てそこから機械の腕が現れて、なんていうシーンなどは、一つ一つの反応をぶつ切りで収録するよりも流れで「わーっ!」っと驚いて演技する方がね。

村上:感情がありますしね。

小日向:うん。それで、後で足りない部分だけ追加で収録するという方がこちらもやりやすいですね。

――村上さんはこの原作についてご存知でしたか?

村上:この「いぬやしき」は僕の周りで流行していたので、読んだことは無かったのですが名前は知っていました。同じ奥先生の「GANTZ」は良く知っています。

小日向:これって絵もストーリーも全部この人が書いてるのかな?

――そのようですね。

小日向:昔の漫画は原作と作画を違う人がやっている作品が多かった気がして。こんなに絵を描いてストーリーも考えて、本当にすごいよねー! これでもう出来上がっているから、やっぱり漫画をドラマ化したいっていうのも分かるよね。

村上:日本の宝ですよね。

小日向:この方と会ったことある?

村上:僕は無いです。

小日向:収録してたら来てくれるかな? ぜひお会いしてみたい!

――では次に、お2人がそれぞれ演じられる犬屋敷と獅子神の印象を教えてください。

小日向:犬屋敷さんは家族の中でも疎外されているというか、父親としての威厳が全然無くて、見た目も含め本当にさみしいおじさんですね。年の割には老けていて見た目は完璧におじいちゃんですし。ところが、一度死んでしまい機械化されてすごいパワーを持ち、善意の塊のような彼はその力で人助けができるようになります。今まで非力で何もできなかった人が、悪い若者たちに対しても強く言えるようになり、困っている人を助けるという方向に自分が動くことによって、生きている実感が生まれていきます。できなかったことを実現させる喜びを感じていくっていうのは、非常に面白いなと思いましたね。

本当にしょうもなかった犬屋敷さんが、もし自分もそうなれたら「こうしたい、ああしたい」と思う行動を実際に起こしていく様子が見事に描かれているので、読んでいて気持ちいいですよね。この犬屋敷さんは本当に真面目な人で、これだけのパワーを持ったらちょっとは色気を出してもいいんじゃないかとも思うけど(笑)、そういうところが一切無いもんね。

村上:謙虚すぎて怖いぐらいですね。

――犬屋敷と獅子神は2人とも変わった考え方の持ち主ですよね。

小日向:たまたま獅子神の方が善と悪で言えば悪になってしまっているけど、この2人は表裏一体なんだと思う。2人とも孤独なんだよね。

村上:ある意味、すごく似た者同士ではあると思います。獅子神は一見悪役だしダークヒーロー感があって、自分のやりたい事ばかりを自己中心的にやってゲーム感覚で生きてしまう人物で。一見、快楽主義者やサイコパスに見えるし、確かにそういった部分もあるかもしれないです。でも、彼はただ純粋に、家族や親友の安堂など自分の好きな人に対し、彼らを守りたいとか幸せにしたいという一心で動いているんです。ただ、自分の生きる実感が人を殺すことでしか得られなくて、自分の能力に逆に使われてしまっているというかわいそうな滑稽さはありますね。

――特に獅子神は演じる上で難しいかと思いますが、役作りはどうされていますか?

村上:確かに最初に本を読んだ時に、「ちょっとこのせりふ分からないな」とか「それで生きてる感じがするのか」とか、一見理解できない部分もありました。でも、彼は父親と釣りに行けることに純粋に喜んだりする素直さを持っていて、むしろ純粋すぎる人物なんです。だから、僕も役を作り込むというより、素直で実直に演じればいいのかなと思っています。

最初にこの作品を読んだ時は、同じ“人を殺す力”を描いている「DEATH NOTE」(2003年〜2006年、「週刊少年ジャンプ」で連載)を連想しましたが、あちらは頭が良くないと力を使えないじゃないですか。でも、こちらはそうでなくても使えてしまうので、力に対して人間の本質が試される作品だなと思いました。

――作品の世界観についての印象はいかがですか?

村上:最初は、手を銃の形にして「パァン」とやるだけで弾が撃てるなんておかしいとは思いました(笑)。でも、現代を舞台にしたSFである意味リアルですし、ちょっとひねった感じが面白いです。

小日向:人間の黒い気持ちを力として簡単に行使できてしまうというのは恐ろしいけど、気持ちはなんとなく分かるような気もするね。人の悪口をパソコンで言っているやつを撃ったりとかね。

村上:そこは「どないやねん!」と思いました(笑)。空も飛ぶしアクションもあるし、男なら分かる爽快感が詰まった作品だと思います。

――小日向さんは今日の収録の中で、監督とディスカッションをされていたとお聞きしました。

小日向:監督と自分の思ったことを擦り合わせていく中で、監督が満足するものになるまで妥協してもらいたくないなと思ったんです。僕としては監督が納得できるまではいくらでもリテイクしようと思っていたし、監督が僕に気を使って「何度も同じ部分をやってもらうのは大変だし悪いな」とか思われるのも嫌だったので。そういう意味で、「もっとここはこうした方がいいですか?」とか、もし監督が遠慮しているのであればと思っていろいろと提案してみました。

村上:でも、あの空気感は緊張しますよね(笑)。

――収録をご覧になっていてそう感じられましたか?

村上:いや、見ていてではなく僕が収録ブースに入っているときですね。こちらからは自分が今演技したものに対して、それが良かったとしても良くなかったとしても監督たちが何を話しているか聞こえないんです。

小日向:そうそう! あれって絵に合わせて聞いてるんでしょ? 僕らにはその様子が聞こえないんだよね。本当は聞かせてもらいたいなとも思いつつ(笑)。

村上:結構爆笑したりもしていて、気になりますね(笑)。

――そうなんですね! 確かにドラマの現場ではそれは中々無いですよね。

村上:モニターの位置が相当遠かったり、スタジオでサブモニターがあったりしたらそういったこともあるかもしれないですけど。

小日向:そうだよね。僕らもテストや本番のテイクを見れるもんね。

村上:それにドラマなどの現場だと目の前に技術の方やスタッフの方がいるので、演技への「今のは良かったな」とかの反応がある程度は見れる。それがアフレコだと自分の感覚しか分からないので、「今の良かったの?」みたいに不安になってしまいますね(笑)。

小日向:収録で言えば、今日の1話では犬屋敷の気弱な感じと、自分が機械の体に変わったことに気が付くところでの演技の揺れ幅が大きかったので、台本を読んだ時から結構大変だなとは思っていたんです。でも、とりあえず何とか乗り越えたので、ここからは少し楽になるかなと(笑)。

村上:むしろここからハードルが上がっていくんじゃないですか?(笑)

小日向:でも、意外と犬屋敷さんはあまりしゃべらないんだよね。

村上:せりふ量としてはそうなんですかね。確かに原作を読んだ時、奥さんにがんのことを打ち明けようとする犬屋敷さんは「あ、あ」としか言ってなくて、映像になったところが想像できなかったんです。でも、今日小日向さんの演技を聞いてとてもしっくりきました。

――オンエアではそのシーンに注目したいと思います! では最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いできますか?

小日向:やっぱりこの原作が非常に面白いので、その面白さを我々が声優をやることで落としたくないですね。僕らがこの作品を最初に読んで「面白い!」と思ったものと、少なくとも同じ感動を視聴者の方に伝えられたらと思います。本当は、声が入ることによってプラスアルファできれば最高なので、そこを目指して頑張りたいですね。

村上:俳優が集まってテレビアニメを作るという贅沢(ぜいたく)な取り組みですし、僕にとってはこうして声優をやらせていただくことが贅沢だと感じています。原作で描かれている世界観を邪魔せず、さらにその上を行きつつ彩りを加えていきたいです。ぜひ楽しみにしてください。