給食後にアナフィラキシーショックを起こして死亡した男児(画像は『Mirror 2017年8月21日付「Boy, 9, died after eating fish fingers as inquest hears school canteen staff ignored book listing his allergy」(Image: Caters News Agency)』のスクリーンショット)

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様々な食物アレルギーを持つ子に対して、学校側はその子のアレルギー状況や給食時のチェックを入念にしなければならない。しかし今年3月、英バーミンガムのある学校では子供たちのアレルギー症状が書かれた記録書の確認を怠り、アレルギー症状に陥った男児に迅速にエピペンを投与しなかったことから、その男児が命を落とす悲劇が起こってしまった。英メディア『Mirror』『The Sun』『Metro』などが伝えている。

今年の3月3日12時半頃、バーミンガムのボーデスリー・グリーンにあるイスラム学校に通っていたイシュマエル・アシュラフ君(9歳)は給食にフィッシュフィンガー(一口サイズの白身魚にパン粉をつけて揚げたもの)とチップスを食べ、13時45分頃に教師に腹痛を訴えた。

学校の受付事務所に連れて行かれたイシュマエル君はアレルギー緩和薬を14時頃に飲んだが、次第に呼吸困難に陥ってしまった。学校側はイシュマエル君が持っていたエピペンを注射せず、駆けつけた救急隊員によって投与されただけであった。イシュマエル君はその後、市内のハートランズ病院へ搬送されたがアナフィラキシーショックを起こして死亡した。

この件に関してこのたび4日間にわたる検死陪審が行われたが、学校側はイシュマエル君の魚を含む食物アレルギーが記述された記録ノートを見ていないことが明らかとなった。イシュマエル君はキウイフルーツやナッツ、乳製品、塩水に漬けられたツナ缶などのアレルギーを持っていたが、リストには新たに魚が加えられていた。

キッチンアシスタントのジェマ・シィーディさんは「イシュマエル君は以前、何の食物アレルギーを持っているかが書かれたバッジを身につけていた生徒の1人でした。でも子供たちはいつからかそのバッジをつけなくなってしまったのです。それでも私たちはどの子に何のアレルギーがあるかということは知っていました」と話しているが、子供たちのアレルギーが書かれた記録ノートがキッチンカウンターに置かれていたものの、それを確認することはなかったそうだ。

イシュマエル君の容態が急変したことを同僚から聞いたジェマさんは、記録ノートを確認したところ「魚」とあったため驚いたという。というのもイシュマエル君は毎週金曜日、給食でフィッシュ・アンド・チップス(魚のフライとポテトフライ)を食べていたがアレルギー反応は全く起こらなかったからだ。

今回もジェマさんはシェフに「タラのフィッシュフィンガーはOKか」と尋ねたところ「問題ない」という答えが返ってきたため、イシュマエル君に与えた。しかしこれが悲劇を招くことになってしまった。

アシスタントシェフのユズマー・マザーさんは「イシュマエル君がフィッシュフィンガーを注文した時、他の子供たちと同じように自分がどのような食材アレルギーなのかという自覚があると信じていた。これまで彼はフィッシュ・アンド・チップスも食べていたのでまさか魚アレルギーだとは思わず、バッジをつけることも強要していなかった。私たちはシェフから与えられた情報をもとに食事を提供しているが、イシュマエル君がバッジをつけていれば命を救うことができたかも知れない。スタッフは記録ノートを確認すべきだったと思う」と話している。

また、キッチンマネージャーのデボラ・パークさんも「子供たちがどんなアレルギーを持っているかというケアプランを更新しなかった学校側に責任がある」と述べた。学校ではこれまで7人の生徒がアレルギーを持っていることを把握していたが、イシュマエル君の亡き後は57人に増えたようだ。

イシュマエル君以外にも3人の子を同じ学校に通わせている父テシーンさん(38歳)は「息子はサッカーが大好きで、公園で一緒にサッカーをするなど親子の時間を楽しんできました。年齢のわりにはしっかりしていたので、買い物に行くと自分のアレルギーがある食材をチェックすることも忘れませんでした」と涙ながらに語り、学校はエピペンを常備していると主張した。

このニュースを知った人々からは「魚アレルギーだったら、どんな種類の魚でも食べさせるべきではないでしょう。キッチンスタッフもフィッシュフィンガーならOKってどういう感覚してるの。魚だったらダメに決まってるじゃない!」「9歳なら自分で何を食べてはいけないとかわかるはず。親が子供に魚は絶対ダメと言い聞かせておく必要があったと思う。だいたい学校のランチ時間なんてカオスなんだから、深刻なアレルギーを抱える子供は絶対に監視が必要だろう」「でもこれは記録確認を怠った学校側が訴えられるべきだと思う。アレルギーが書かれたバッジだってちゃんとつけることを強要すべきだったのよ」といった声があがっている。

画像は『Mirror 2017年8月21日付「Boy, 9, died after eating fish fingers as inquest hears school canteen staff ignored book listing his allergy」(Image: Caters News Agency)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)