まだ“慣らし運転”といった程度だ。

 25日、横綱稀勢の里(31)が7月場所の途中休場以来、初めて関取と稽古を行った。とはいえ、相手はまだまだ未熟な若手の大栄翔(23)。左おっつけは見せず、自分の動きを確かめているだけというあんばいだった。

 稀勢の里自身は9月場所に出場するか否かを明らかにしていない。さすがに横綱が3場所連続途中休場ではバツが悪いどころではなく、この日も「まだまだ。もうちょっとかな」と、慎重な態度だ。

 相撲協会も横審も「ムリするな」と休場を促しているが、力士は別だ。多くの幕内力士は、この横綱が「出場します」と明言するのを今か今かと待ち構えている。

 新横綱として迎えた今年3月場所、稀勢の里への指定懸賞は、個人の過去最多となる608本にも上った。懸賞1本につき3万円が入っているので、勝てばその場で多額の現金が手に入る。今年5月場所7日目の御嶽海戦では、上限いっぱいとなる61本。勝利した稀勢の里は183万円を手にした。

 稀勢の里は負傷を抱えていた5、7月場所は計9敗。懸賞のみならず、平幕力士にすれば引退するまで1つにつき年24万円がもらえる金星を獲得するチャンスでもある。

「体をつくって、あせらずにやる」と言って会場を後にした稀勢の里。その背中には、幕内力士たちのギラつく視線が向けられている――。