「自家発電自転車」から「消える魔球」まで!防災グッズ最前線とは

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9月1日は防災の日。

東日本大震災や熊本地震、火山噴火や豪雨災害など、全国各地でさまざまな災害が起こる昨今、防災グッズや防災意識への関心が年々高まっているようです。いざというときの備えとしてどんなものを用意しておけばいいのでしょう?

というわけで、防災用品専門店を取材。そこで目にしたのは、四半世紀保存がきく保存食から発電可能な自転車、原子力災害用マスク…と、現代科学の粋を集めたアイテムの数々でした。防災のための基礎知識と共に、防災グッズ最前線を紹介します!

■備えの基本は「食料」「水」「トイレ」

今回お話を伺ったのは、防災用品専門店「SEI SHOP(セイショップ)」店長の布山夕紀さん。防災士の資格を有し、お客様ひとりひとりにあった商品や備蓄についてアドバイスをしています。

▲店内のコンセプトは、鴨長明が晩年を過ごした方丈庵。4つの柱で区切られた空間で、方丈庵の大きさを再現。方丈記には、当時日本国内で発生したさまざまな災害が記されており、彼は地震に強い四畳半程度の小さな庵に起居してこの随筆を書き上げたと言われている

▲店長の布山夕紀さん

「絶対に備えておきたいのはこの3つ」と布山さんが断言するのは、生命にかかわる「食料」と「水」、そして「トイレ」に関わるグッズ。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.「食料」

▲25年の備蓄が可能な「サバイバルフーズ」。1缶1728円〜。NASAが開発した特殊な技術で作られている

「備蓄食を選ぶときは、自分がおいしいと思えるものが第一条件。おいしい食事にはストレスを和らげる効果があります。非常時だから味は二の次、ではなく、非常時だからこそおいしいものを食べることが大切です。備蓄食の点検をこまめにできるならば普通の缶詰やレトルト食品でもよいのですが、意外と面倒なもの。長期保存が可能なものだと安心です」

▲賞味期限は2042年2月まで! なかなか見ることがない2042年という数字の並びに超・長期保存のすごさを実感

「高度なフリーズドライ技術で、お湯または水で戻すだけの簡単調理。おいしさはもちろんのこと、合成保存料は使用してないため、安心してお召し上がりいただけます」

クラッカーと1番人気のチキンシチューをいただいてみました! シチューは彩りが美しく、ポテトのほくほく感がたまりません。クラッカーは厚みがあり、しっかりお腹にたまります。

備蓄食は、購入してただ保存しておくのではなく、必ず一度は作って食べてみること! いざというときの調理がスムーズにできますし、好みの味を見つけるきっかけにもなります。

2.「飲料水」

また、食料とともに備蓄しておきたいのが水。

「大人1人につき、最低1日2Lの水が必要と言われています。家族の人数に合わせて、水を準備しておきましょう。SEI SHOPでおすすめしているのは長期保存が可能な災害備蓄用の保存水。市販の水よりも割高ですが、容器がしっかりとしていて空気が入らない仕組みになっています」

▲左から、5年保存が可能な富士ミネラルウォーター(500ml・1L・2L)、15年保存できる、カムイワッカ麗水15年(500ml、1L)。富士ミネラルウォーターは2L×6本入りで2484円、カムイワッカ麗水15年は2L×6本入りで4104円

3.「トイレ」

「災害時には断水で水洗トイレを使用できなくなる場合も。衛生面や臭気など、トイレに関するストレスは想像以上に過酷です。非常時にもできるだけ普段に近い形で用を足すことができると心身の負担が軽減されます」

▲ほっ!トイレ タブレット(10回分)/2160円

「ほっ!トイレ タブレット」は、薬剤が排泄物を包み込んで固める仕組み。普通の水洗トイレにビニール袋をセットし、このタブレットを入れて使用します。排泄物に含まれる雑菌を除菌し、臭気やガスの発生を抑えるので、長期間ゴミを捨てることができないときもストレスを軽減してくれます。一般的な非常用トイレ処理剤は、排泄後に薬剤を振りかけて固めますが、このタブレットはあらかじめ入れておくタイプのため、汚物をあまり見ずに処理できるのも利点です。

■スマホの充電が必要不可欠

災害発生時、連絡手段や情報収集のために大事な役割を果たすスマートフォン。もしもライフラインが止まり、充電ができない事態になると、本当に困ったことになりかねません。「スマホの充電」は、今や災害時の最優先事項といえます。

▲防災する自転車/18万5544円

こちらはなんと発電・充電手段としても活躍する自転車!

「自転車をこいで発電ができるので、携帯電話などの充電にとても便利です。ノーパンクタイヤなので、パンクや空気入れの心配がなく、道路状況が悪い災害時にも安心して乗ることができます。街乗り自転車として普段から使える点も魅力です」

約8mの走行で携帯電話約3分の通話時間相当の電気を発電。普段は電動アシスト自転車として使用可能です。手軽に発電できるアイテムをもうひとつ。たき火で発生した熱を電気に変換できるセットがあるのです!

▲キャンプストーブ バイオライト/1万8360円(手前)、専用ケトルポット/7560円(奥)

「こちらはガスなどの化石燃料を使わず、小枝や小さな薪などで安定したたき火ができるキャンピングストーブ。このたき火で発生した熱を電気に変換することができる、一石二鳥の火力発電器です。オレンジのボディ部分に電子機器を接続し、充電が可能です」

暖をとったり、食事を温めたりしながら、充電までできてしまうという優れもの。もちろんアウトドアレジャーで使うのもOKです。

「ちなみに種火にはマッチをおすすめしています。ライターの方が便利じゃないかと思うかもしれませんが、ライターは長い時間が経つとガスが揮発して使えなくなることがあります。その点、マッチは湿気にさえ気をつければ長期間の保存が可能。100年使えるといわれているんですよ」

▲ナカムラマッチ スライド缶入りWATER PROOF安全マッチ(2個セット)/821円

明治43年創業の老舗マッチメーカー、ナカムラの特殊防水コーティングを施したマッチ。水に濡れても問題なく使用でき、安全性も高いため、安心して備えておくことができます。

■避難所でも身体が休まる睡眠グッズ

災害時には、避難所での生活をやむなくされることもあるかもしれません。そんなときに役立つグッズを教えてもらいました。

▲3Mシンサレート災害用スリーピングバッグ/1万584円

こちらは、大柄な男性もゆったりと使用できる、約2メートルの寝袋。なんとA4サイズまで小さくたたむことができるので、省スペースで備えておくことができる準備しやすい寝袋です。帰宅困難時の備えとして、会社のデスクのキャビネットに入れておくのもよさそうです。

「ヒマラヤ遠征隊やスキー代表選手のユニフォームを支えた技術である、高機能中綿素材で、災害用毛布より高い保温性を有しています。災害時、身体をしっかり休めるために眠る環境を整えることはとても大切。場所をとらずに備えておけるので準備しやすいですね」

▲空気を押し出しながらたたみます。とても簡単!

▲音が聞こえる耳栓、クオリネ/1620円

思わずなごむ、愛らしいフォルムとソフトな触り心地。これはかわいいだけじゃない、高機能の耳栓です。

「避難所のちょっとした音やザワザワした話声は、ストレスになったり眠れなかったり。災害時は普段はあまり気にならない音に悩まされることが多いです。この『クオリネ』は、すべての音域の音のボリュームを小さくする耳栓。音を完全にシャットアウトするのではなく、サイレンなどの重要な音は聞き漏らさずに済むのがポイント。人間工学に基づいたデザインで、長時間装着しても快適です」

▲消臭アンダーシャツ、デオエスト 男性用/3060円〜

一見普通のシャツに見えますが、実はすごい機能が!

「災害時は入浴や洗濯もあまり望めません。この消臭アンダーウェアは、加齢臭や汗、ワキ、おなら、排せつのニオイなど、さまざまなニオイを徹底的にカットします」

約30秒で80%以上のニオイをスピード消臭し、100回洗濯をしても消臭効果が持続。雑菌の繁殖も防ぐので、清潔な状態を保つことができます。幅広いニオイをカットするので、男性のお客様からの注目度が高いのだとか。

避難所で寝泊り生活をすることにニオイ災害時のニオイストレスの軽減に役立ちます。もちろん普段着用してもOK。

■まだまだあります! 目からウロコな防災グッズ

科学の進歩でさまざまなアイテムが続々登場中。驚きの効果をもたらすグッズを紹介してもらいました。

▲火元に向かって投げて消火する、消える魔球/2160円

地震の二次災害として発生しやすいのが火事。火災の初期消火にお役立ちなのが、この「消える魔球」です。なんとも男心をくすぐるネーミングですが、いたって真面目なアイテム。

「消火器の使い方を知らない方はけっこう多くいらっしゃって、いざ火事のときにすぐに使えない可能性も。この魔球は誰でも手軽に使うことができ、初期消火に役立ちます」

一家に1つ用意しておくとよさそうです。

▲WACマスク/2970円

最近注目度が増しているのが特殊な災害時にも対応できる「WACマスク」。放射能から身を守る唯一の原子力災害用マスクです。

「東京大学×東洋紡×ワカイダの3社で共同特許を取得したマスク。ガス状の放射性ヨウ素を99%捕集するWACフィルターを使用しています。世界情勢などで購入を検討されるお客様が増えてきました」

▲マスクの内側はWACフィルターを使用。鼻と口に当てて使用する

取材時に布山さんの口から何度も繰り返し出てきたのが「(災害時も)できるだけ普段通りに」という言葉。

ただでさえストレスがかかる非常時に慣れない環境に身をおくことになるのは辛いもの。また、せっかく備えてあったアイテムをしまいぱっなしで、もしものときに見つからない、使い方がわからない、期限切れや故障で使えない…では意味がありません。そのためには、普段から使うことができ、災害時“にも”使えるアイテムをそろえておくことが大切なのですね。

>> SEI SHOP

 

(取材・文/鈴木ゆうこ)