音楽、映画、文学など、誰にだって心のよりどころとしている作品があるはず。そんな“オール・タイム・フェイバリット”を探る週替り連載企画。前回 につづいてロック・バー「ジャニス」のマスターにお気に入りをきいています。今回おしえてくれたのは、『つげ義春の漫画』。その魅力とは?

フェイバリット紹介者:梅村 勉さん

東京・阿佐ヶ谷にあるロックカフェ・バー『ジャニス』のマスター。

昔、軽井沢のレンタル自転車屋さんでジョン・レノンと遭遇した過去あり。

(声をかけたものの、ジョンは颯爽と自転車で走っていってしまったそうです)

#FAVORITE 05.
つげ義春の漫画

梅村:いまはほとんど作品を書いていない人なんですけど、『つげ義春』っていう漫画家のひと、知ってる? 僕、この人が好きでね。代表的な作品だと『ねじ式』とかね。浅野忠信主演で、映画にもなっていて。ちょっとカルトっぽい感じの(笑)。

高校生のころに初めて読んで、肩の力が抜けた感じというか、あまりにもとぼけた作風に、今までにない衝撃を受けました。当時『ガロ』(青林堂刊)という漫画雑誌を読んでいて、そのなかで連載をしていたから、それで知ったんだけどね。

世の不条理....というほどでもないけど、なんかこう、自分としてはすっと入ってくるところあるんですよ。『ねじ式』は、ラーメン屋の2階で寝ている時に見た夢をそのまま漫画にした、という作品なんだけど、うまく書いてるなって。

--当時、クラスとかでは流行っていたんですか?つげ義春。

梅村:いや、流行ってないよ(笑)。そういう感じじゃないよね。でもそれまでは漫画っていうと、『あしたのジョー』とかそういうイメージで、新しかったからみんなに「読め読め」って言って勧めていたな。

昔もいまと同じように『少年マガジン』とか『少年サンデー』が流行っていて、『ガロ』っていう漫画雑誌自体、読んでいるひとがほとんどいなかったからね。でも、少年の友情とかそういうのがね....当時からあんまりこう、読んでもピンとこなかったんだよね(笑)。

好きなのはずっとこの系統(笑)

蛭子能収「踊りましょう」(2011年)©︎蛭子能収

--でも、好きなひとは大好きですよね、つげ義春(笑)。

梅村:うん。でも、メジャーではないよね....万人ウケするとは、やっぱり思えないしね(笑)。どうも一般的じゃないというか....。蛭子(能収)さんとかもそうじゃない? 彼の描く絵や漫画も、すごく好きなんだよね。ちょっと、はちゃめちゃなところがあって。好きなのは、ずっとこの系統だな。ちょっとズレているというのか....(笑)。

 

今日のみじかいことば。

「蛭子さんって、競艇がとても好きで。自身が描く漫画に、何の脈略もなく突然競艇がでてきたりするんだよ。ビルとビルの間になぜか川があって、そこをボートが走っていて競艇がおこなわれている(笑)。まったくありえないんだけど、その脱力感が、いいんだよね。」

次回につづきます。前回のファイバリットはこちら!