『でびるち』(むすあき/泰文堂)

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 男性を魅了し、その精気を吸ってしまうという伝説の淫魔「サキュバス」。そんなエロティックな悪魔をヒロインに据えた、異色のラブコメ『でびるち』(むすあき/泰文堂)の第3巻がついに発売された。本作は連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」にて連載中の作品であり、最新話が公開されると瞬く間にファンからのコメントが殺到。作中に登場する女の子の可愛さ論争や、ファンによるイラストも投稿されており、かなりの人気ぶりがうかがえる。

 主人公の冬樹はなんの変哲もない男子高校生。それを取り巻くのはサキュバスの咲場ヨミナやその妹・イヨナ、悪魔を目の敵とする天使の縁寺エルや風紀委員たち、そしてヨミナを守ろうとする悪魔・スモモなど、実に多彩(全員、人間ではないのだけど)。いわゆる、ラブコメの王道である「ハーレム系」の体をなしている。

 第1巻ではラッキースケベ展開が連発するなど、ラブコメとしてのストレートなストーリーラインで読者を楽しませてくれたが、第2巻からはその風向きが少し変わる。悪魔と天使。相容れない存在同士が牙をむくのだ。その闘いは第3巻にまでまたがり、「このままバトルマンガに突入か……?」と思わせたが、そこはやはりラブコメ。天使たちの思惑も明らかとなり、壮大な学園バトル的展開は幕を閉じる。

 その反動からか、第3巻ではラッキースケベなシチュエーションがこれでもか! と繰り出される。冬樹の家に忍び込んだスモモが、なんと上半身ハダカになってみせたり、なぜかイヨナとスモモと入浴するハメになったり、海水浴中に冬樹の海パンが脱げてしまったり……。これぞラブコメだ!

 物語は一気に高校生の(ちょっとエロい)青春マンガへと進んでいくのだが、ここで気になるのが、風紀委員たちの発言。「安心しろ たとえ悪魔でも 咲場ヨミナを救うために私達がいる」。その真意はまだ明らかにされていないが、つまり、ヨミナは救わなければいけない状況にいるということ。そう考えると、自宅に遊びに行ったり、海に行ったりして青春を謳歌する冬樹とヨミナの日々に、いつか哀しい終わりが来るのではないか……と深読みしたくなる。

 そもそも悪魔と人間の恋なんてどう考えても叶うはずがない。けれど、そんな種族の壁を超えて、冬樹とヨミナには幸せになってもらいたい。本作は、そう願わずにはいられない、応援したくなるラブコメだ。

文=五十嵐 大