AT車で自動的にシフトダウンするシステム

 キックダウンとは、AT車がDレンジで走行中、自動的にギヤがシフトダウンすることを指す。

 AT車のATとは、オートマチックトランスミッションの略で、日本語にすれば「自動変速機」のこと。エンジンの力=トルクは、基本的には回転数の上昇とともに盛り上がっていき、ピークを過ぎると回転数を上げても徐々に小さくなっていく。

 つまり、エンジンは、力強く、なおかつ燃費もいい、美味しい回転数が決まっていて、AT車はできるだけその美味しい回転数、効率のいい回転数をキープできるように、自動的にギヤを変速させる仕組みになっている。

 実際、停止しているクルマを発進させて徐々に加速していくと、ATは速度の上昇に合わせて自動的にギヤをシフトアップさせていくことは体感できるはず。同じように必要に応じてギヤをシフトダウンするものATの大きな仕事で、現状の速度をキープするために必要なアクセル開度よりも、大きくアクセルを踏み込むと「もっと力強い加速力が必要なんだ」とコンピュータが判断し、ポンポンと最適な加速力が得られるまで自動的にシフトダウンしてくれる。

 このアクセルオン→シフトダウンの一連の流れを「キックダウン」という。かつて、3速ATや4速ATが主流だった頃は、ギヤレシオがワイドだったために、シフトダウン時の変速ショックも大きく、キックダウン=「蹴り落とす」という表現がぴったりの荒々しいフィーリングだったが、7速、8速の多段ATやCVTは、変速ショックが少なく、ギヤ比もクロスしているので、どこからアクセルを踏み込んでもスムースに、そしてパワフルな加速をしてくれる。

 高速道路の合流や、前走車を追い抜くとき、そして上り坂では、積極的にこのキックダウンを使って、スムースに加速しスイスイと気持ちのいい流れをキープしよう。そのためには、加速=エンジンの力が必要なシーンでは、きちんとアクセルを踏み足すこと。

 ATのコンピュータは、基本的に車速とアクセル開度を基準にギヤをセレクトしているので、車速とアクセル開度に差が生じないと、キックダウンの指示を出さないからだ。とくに上り坂では、平地のときと同じアクセル開度で、知らず知らずのうちに速度が低下し、渋滞の原因になることが問題視されている。

 上り坂が近づいてきたら、数%でいいのでアクセル開度を増やしてあげること。そうすれば負荷に応じてATが最適なギヤを選び、状況に応じてキックダウンし、上り坂がきつくなっても、速度を低下させずにスイスイ走り続けてくれる。

 現在の賢いATなら、Dレンジのまま、どんなシチュエーションでもご機嫌に走ることができるが、上り坂、合流、追い抜き時は、意識してアクセルを多目に踏むようにして、キックダウンを有効に使おう。