「やめようと思ったことはありません。世間さまからどう見られても気にならないんです。世間さまは非難することはあっても、助けてくれませんから。やっぱり自分の思いの強さが一番なんです」
 
そう静かなまなざしで話すのは、「JAPAN POMPOM(ジャパンポンポン)」の創設者であり、いまもセンターで踊る滝野文恵さん(85)。「ジャパンポンポン」は、日本のマスコミはもとより、イギリスやスイスの国営テレビからも取材され、スペインやオーストラリア、イタリア、ルーマニアなどの雑誌にも紹介されるシニアのチアダンスチーム。平均年齢は、なんと71歳。
 
滝野さんが「ジャパンポンポン」を立ち上げたのは'96年1月、63歳のとき。当初のメンバーはわずか5人。練習場所には区の体育館を借り、当時の平均年齢60歳弱。モットーは「夢と元気と希望を与えること」。参加資格は「55歳以上」「自称・容姿端麗」。1年に1曲のペースでレパートリーを増やしていくが、参加者はなかなか増えなかった。イベントに招かれることもなく、ときどき老人施設にボランティア公演に行くものの、「みだらなこと」と眉をひそめられたこともあった。
 
'99年になってもメンバーは9人。それぞれの事情による退会もあった。流れが変わったのは、その年の春。『週刊新潮』で取り上げられたのをきっかけに、マスコミ各社から、取材攻勢がかかったのだ。
 
「ただ、とくにテレビ局は『こんな年齢で足を出して踊るのか』という視点で報じたかったようで、どの局もメンバーの足から撮るんです。スライディングみたいなまねまでさせるので、私が怒って止めさせたという、そんなつまらないこともありましたけど」(滝野さん・以下同)
 
とはいえ、知名度が上がるにつれ、メンバーも増えていく。'03年には20人で、7周年記念チャリティショーを開催した。オーディションをするようになったのは、'06年から。オーディションの際、滝野さんがもっとも重視するのは、“本気度”だという。
 
「ダンスは未熟でも、やる気を感じると、周囲から反対されようとチャレンジする人を応援したくなる。私自身が、やりたいことをやってきましたからね」
 
「ジャパンポンポン」は、幕張メッセのアリーナで開催される「USAナショナルズ」に、毎年ゲスト出演をしている。国際的チアリーディングやダンスの指導・育成をするアメリカの団体USAが主催する全国選手権大会だ。
 
「若いお嬢さんたちのイベントですよ。私たちがゲストで出ていくと、『オォーッ!』って、それはすごい声援と歓声ですからね。やっぱり、いい気持ち(笑)。素直にうれしいです。そして、うれしがっていいと思います。自分が楽しんでなかったらウソですもんね。あの衣装で、お客さんにワーワー言ってもらえて、感動までしていただけるなんて、やっぱりチアは最高ね!」
 
そして今年10月には、台湾の団体からの招きで、「ジャパンポンポン」初の海外公演が。
 
「航空券は自己負担なんですけど、ほとんど全員が参加しますって。うちのメンバーはぶっ飛んでいるというか、すごいと思います(笑)。いまは、台湾公演に向けた猛特訓の日々ですよ。私たち『ジャパンポンポン』にとっては、いつになく暑い夏になりそうね」
 
3年後には、大きな節目である「25周年記念チャリティショー」も待っている。そのとき滝野さんは88歳の米寿だ。
 
「しわくちゃでヨロヨロになっていたら私は出ませんよ。見苦しい踊りは見せたくないから。ただ、どんな形にせよ『ジャパンポンポン』は続いてほしいです。いくつになっても踊るシニアのチアチームとして」