【原ゆみこのマドリッド】長距離移動は大変…

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▽「予感が当たったわね」そんな風に私が呟いていたのは木曜。CLグループリーグの抽選が終わった時のことでした。いやあ、チェルシー、ローマと同じ組になり、アトレティコは難しいグループに入ったと世間的に言われてはいるものの、前者はUEFAスーパーカップや2013-14シーズンの準決勝でも破ったことがありますし、3年前にはここずっとセリエA連覇を続けているユベントスにグループリーグで1勝1分けしている彼らなんですから、後者にも別に怯えなくてもいいと思うんですけどね。当然のように4番目のチームとして入ったのが、参加クラブの中で一番遠いアゼルバイジャンのカラバフだったとはこれ如何に。

▽そう、アトレティコは昨季もカザフスタンのアスタナまで8時間のフライトを強いられて、その前もロシアとはいえ、モスクワなどよりはるかに遠いロストフと同じ組に。カラバフもかなり長く飛行機に乗らないといけないはずで、熱心なファンには、ほとんどのスペイン人とって未踏の地であるCLデビューチームのホームに遠征することに喜びを覚える向きもあるかもしれませんが…。予算や移動の手間を考えると、比較的近場のユベントス、スポルティング、オリンピアコスと当たったバルサなどが羨ましいような。その上、今季はアトレティコとバルサが同日程になるため、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで流してくれるのかも心配って…。あ、もしかして私、一番大事なことから目をそらしている?

▽もちろんそれは現在のチームにFIFA処分の明ける1月までリーガでは2強に離されず、CL出場圏内に留まって、CLでは最低ラインのグループリーグ突破を果たせるだけの力があるかということなんですけどね。ちなみに今週の私は火曜の夕方、モンクロア(マドリッドのバスターミナル駅)からバスに乗って、マハダオンダ(マドリッド近郊)の彼らの練習場を偵察。顔なじみのラジオ記者らがマスコミ向け公開時間の後、金網の向こう側から見学しているファンに混じっても大丈夫だと言うので、その日はフィジカルメニュー以外の練習も観察してみたところ、何より目を引いたのはシメオネ監督のエキサイトぶりでした。

▽ええ、ピッチ3分の2を使ってのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などでは、何度も「Balon rapido!/バロン・ラピドー(ボールをもっと速く)」という声が聞こえてきて、よっぽど開幕のジローナ戦でのもたつきがトラウマになっているんだろうなと思えてしまった程だったんですが、正面から照りつける西日にもめげず、ファンの子供たちはグリーズマンやサウールがミニゴールにシュートを決めるたび、「Goool!」と大歓声。まあ、そんなに沢山入った訳ではないんですが、この土曜のラス・パルマス戦ではグリーズマンがジローナ戦での退場による出場停止処分2試合の1つ目で出られませんしね。

▽そのせいもあってか、今週はずっとコレアとビエットがツートップで仮想スタメン組に入っていたんですが…。今季こそ安定したパフォーマンスを挙げられるように期待されている前者はともかく、後者なんて、この夏はずっと放出要員と言われていたんですけどね。それがとうとう、金曜の試合前会見では、「補強ができないとわかってから、Bチームも含めて、全員が戦力。Los que tengo son todos titulares, del que pueda sacar algo, lo hare/ロス・ケ・テンゴ・ソン・トードス・ティトゥラレス、デル・ケ・プエダ・サカール・アルゴ、ロ・アレ(今いる選手は皆がレギュラーで、何かを引き出せるなら、私はそうする)」とシメオネ監督が言っているため、どうやら現在のアトレティコは立っている者は親でも使えの状態になっているよう。

▽まあ、それで土曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からのラス・パルマス戦に勝って、昇格組のジローナと引き分けてしまった1節の穴埋めができるのなら、全然、文句はありませんが、カナリア諸島遠征に先だって、発表された招集リストにはふくらはぎを痛めていたフィリペ・ルイスと6月に恥骨炎の手術をしたガメイロが復帰という朗報も。初戦は出場停止だったゴディンとトーマスが戻るのもありがたいんですが、水曜にBチームとの練習試合で打撲を負ったガイタンはお留守番となりました。一方、バレンシアに1-0で負け、まだ勝ち点のないラス・パルマスは1月からアトレティコに来ることになっているビトロを契約条項に制限はないものの、レンタルしてくれた恩義を返そうと自主的に出場させない予定。レッドカードを受けたハリロビッチも出られないため、マノロ・マルケス新監督もスタメン編成に苦労するかもしれませんね。

▽そして水曜の午前中の私はヘタフェに赴き、またしてもボルダラス監督のチームが計2時間半というハードなセションに汗を流しているのを見学。グラウンドから出て、隣接する丘を駆け上がるなど、やはり昇格プレーオフのせいで、プレシーズン開始が遅れたため、まだ体力強化が必要なのかなといった感じでしたが…。さらに夕方練習までやるんですから、柴崎岳選手も含めて皆、大変ですよね。そんなチームもある中、同日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でセッションをやる代わりにサンティアゴ・ベルナベウ杯を開催したのはマドリッドの大先輩で、午後10時45分という遅い時間からフィオレンティーナと対戦。

▽相手チームではこの夏、ジェノバから加入したシメオネ監督の長男、ジョバンニが9番をつけて先発、開始3分にはGKカシージャの意表を突いて、ベレトゥがゴールも入れてリードしたんですが、その日は若手メンバー中心だったとはいえ、やはり今のレアル・マドリーの快進撃を阻むことはできません。ええ、6分には現在、5試合の出場停止処分を2試合消化したところのクリスチアーノ・ロナウドがマジョラルにキラーパスを出し、すぐに追いつくと、32分にはその当人がエリア内から斜めにネットに突き刺さる見事なゴールを決め、あっさり逆転に成功します。

▽うーん、ジョバンニにも数回、敵エリアに侵入するチャンスはあったんですけどね。開幕デポルティボ戦で退場して、2節は出場停止になるセルヒオ・ラモスとナチョの壁は破れず、得点には至りません。フィオレンティーナはハーフタイムでメンバーを総取り替えしたため、後半からゴールを守ったジダン監督の次男、ルカとの対決も見られなかったのは残念でしたが、数人ずつ、選手を入れ替えたマドリーも追加点はなく、結局、2-1で試合は終了。最後はラモスがこの夏、3つ目となるトロフィーを掲げ、日曜のバレンシア戦に向けて勢いをつけていましたっけ。

▽そして、翌日はモナコでのUEFAグループリーグ抽選会のセレモニーにロナウド、ラモス、モドリッチの3人が出張。前2人は今週末出られないため、別にいいんですけどね。メッシを抑えて最優秀選手と最優秀FWのダブル受賞をしたロナウドなど、司会者に一番お気に入りのCLゴールを訊かれ、「The last one I scored against this old man(この年寄り相手に奪った最後のゴールだよ)」と、隣に座っていたもう1人の最優秀選手の候補、ユベントスのベテランGKブッフォンにジョークを言うぐらいノリノリで、「世界一のクラブであるマドリーで最高のレベルで常にプレーする機会を持てているんだから、me siento afortunado y feliz de estar aquí un año más/メ・シエントー・アフォルトゥナードー・イ・フェリス・デ・エスタル・アキー・ウン・アーニョ・マス(もう1年、ここにいられて、自分はラッキーで幸せと感じている)」と、コンフェデレーションズカップ前に騒がれた移籍希望発言が完全に否定されたのにはホッとしたファンも多かったかと。

▽CLグループリーグの組み合わせもドルトムント、トッテナム、アポエルと決まり、2位以上は大丈夫そうな感じになったため、同僚のマルセロを抑えて最優秀DFに選ばれたラモスも同様にご機嫌でしたが、日曜の試合に出ないといけない最優秀MFとなったモドリッチはちょっとこの日帰り旅行は負担になったかも。いえ、ローテーションが定番のジダン監督ですから、残念ながら同賞に落選したクロースとカゼミロに、イスコやセバージョスを並べてもいいんでしょうけどね。

▽ただ、まだ補強の終わっていないバレンシアもエース、ザザのゴールで開幕戦に勝利。マルセリーノ新監督も「mentiría si no dijera que son dos preocupaciones menos/メンティリア・シー・ノー・ディヘラ・ケ・ソン・ドス・プレオクパシオネス・メノス(心配事が2つ減ったと言わなかったらウソにある)」と主力2人の不在を歓迎しているため、日曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からの今季リーカ、ホームデビュー戦ではケチをつけないよう、用心するに越したことはないかと。そうそう、また来週は代表選週間でロナウドもラモスもそれぞれ、ポルトガル、スペインのW杯予選でプレーするはずですから、運動不足になる心配はしなくていいですよ。

▽え、代表と言えば、ヘタフェの柴崎選手も日本代表に招集されたんだろうって? そうですね、今週はパナシナイコスとのCLプレーオフ2ndレグで2-2と引き分け、総合スコア4-3でグループリーグ進出が決定。そこではリバプール、スパルタク・モスクワ、マリボルと戦うことになったセビージャをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎える試合も迫ってきたため、私も金曜の午前中にまた練習を見に行ってきたんですけどね。スタジアムの右側の道を下りて、ようやく練習場に辿りつけたのが11時過ぎと遅かったものの、クラブのオフィシャルウェブの練習予定表には10時開始とありながら、彼らが1時間程、ジムをしていてくれたのはラッキー。

▽兄貴分のアトレティコもそうなんですが、そんな感じでスタートが遅れることもあるため、見学に行くつもりがある人は、開始時間ピッタリに行ったのにグラウンドに誰もいなくてもガッカリせず、ちょっと待ってみるのがいいかと。夏休みが終わったのか、最近は練習場内にあるバルも開いていますし、ここはトイレもあるため、心強いんですが、ただ予定表で「Lugar: Coliseum Alfonso Pérez/ルガール:コリセウム・アルフォンソ・ペレス」となっている日はスタジアムでの非公開練習なので注意を。そうなると選手に会えるのは練習後、彼らが着替えて、正面ゲートすぐ右にある駐車場から出て来る時しかありません。

▽ちなみに30分程、フットボレー(足と頭を使ったバレー)をした後、攻撃陣がシュート練習をしたぐらいで軽めに終わったこの日、私も初めて柴崎選手を見に来た日本人ファン2人に遭遇。練習後、グラウンドから出て来たところで選手と一緒に写真を撮ってもらえた、留学を終えてこれから帰国するという女子はメトロ10番線とメトロスールを乗り継いで来たそうで、まあソルやアトーチャ駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)を通るC4線、Las Margaritas(ラス・マルガリータス)駅から歩いても来られるんですけどね。15分程かかりますし、メトロのLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅からなら、2ブロックも歩けばスタジアムですから、道に迷う不安がないという利点が。

▽ただチームに関しては、ヘタフェにしては珍しいんですが、丁度前日、昨季までキャプテンを務めてきたカタ・ディアスが開幕のアスレティック戦に招集されず、いきなり員数外とされたせいで、奥さんがSNSで「Falso, traidor, cobarde, técnico mediocre y persona nefasta/ファルソ、トライドール、コバルデ、テクニコ・メディオクレ・イ・ペルソナ・ネファスタ(偽善者、裏切り者、臆病者、月並みな監督で有害な人物)」とボルダラス監督を罵倒していたことが発覚。当人もその日の練習には顔を見せず、移籍市場クローズが刻々と迫ってくる中、余計なゴタゴタが始まったようなんですが、このことについて監督自身は「結論はクラブが出す」と詳細については話してくれませんでしたっけ。

▽実際、他にもアトレティコからのレンタルがこの夏、決まったばかりだったベラスケスがこの木曜に部のマドリッドの弟分、ラージョに行ってしまったり、もう1人のCBゴロシートも放出の見込みだったりと、どうも守備陣の方はまだ顔ぶれが固まっていない感も。うーん、先週のアスレティック戦ではウィリアムスに危ういシュートを何本も撃たれていたため、マンチェスター・シティから古巣に復帰したヘスス・ナバスや同じく、スペインに戻ってきたノリトのいるセビージャ相手にはもっとしっかり守らないといけないと思うんですけどね。まあ、それには日曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)からの試合を見てみないと。

▽ちなみに金曜の記者会見でボルダラス監督は日本代表復帰が決まった柴崎選手にも触れていて、曰く「監督にとって日本行はポジティブじゃないけどね。選手にとってはいいことだし、自信もつく。Lo más importante es que lo haga bien y que no tenga ningún percance/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ケ・ロ・アガ・ビエン・イ・ケ・ノー・テンガ・ニングン・ペルカンセ(一番大事なのは上手くやって、災難に逢わないこと)」だそう。ヘタフェは代表戦週間中の来週の水曜、トロフェオ・コロンビーノ(2部Bのレクレアティボが主催する夏の親善大会)に参加するそうなので、その間に他の選手が活躍してポジションを取られてしまわないよう、柴崎選手にはセビージャ戦と代表戦でしっかり実力の程を見せてもらいたいところです。

▽そして最後にもう1つの弟分チーム、レガネスも日曜にエスパニョールとのアウェイ戦に挑むんですが、こちらもあとFW、ボランチ、ウイングに人が必要なようで、どうやら市場の閉まるまでの1週間、慌ただしい状態が続く見込み。それでも開幕のアラベス戦ではいいプレーを披露して勝利していますし、ギリギリで人を獲っても代表戦週間で調整して、リーガ再開3節、9月8日のヘタフェとの1部で初となる弟分ダービーには十分、準備が間に合うかと。ちなみにこの試合、マドリッドからセルカニアスで行けるブタルケ(レガネスのホーム)開催で金曜日なんですが、翌日にはサンティアゴ・ベルナベウでマドリーvsレバンテ戦もあるため、マドリッド滞在中にリーガ観戦を満喫したい向きにはお勧めの日程ですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。