お金の記事を読むとき、隠されている「本音」が読み取れると理解が一段階深まります。最低限着目しておきたい部分をあなたにこっそり「本音」で教えます。

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お金の記事の「本音」はどう読むか

お金の記事、お金に関する情報というのは、読み方にちょっとしたコツが必要です。しかし、それほど難しいコツがあるわけではなく、実はちょっとした「目線」があれば相手の本音が読み取りやすくなります。

視点を切り替え、相手の目線になってみるのはマネーハックの基本中の基本です。そこで月20本くらいは各所にお金の記事を投稿している筆者が、お金の記事の「本音」の読み解き方について今回はこっそり教えてみようと思います。

記事のパターンから見えてくる「本音」

お金の記事の「本音」はその記事のパターンからある程度あぶり出すことができます。

○広告やちらし
まず最初に見分けたいのは「広告」でしょう。雑誌やWEBでは「記事広告」というものもあります。これは本文記事とほぼ同様のレイアウトをしつつ、内容は広告として作成、掲載されているものです。

広告やちらしの基本的な構図は「悪いことは書かれない」ということです。お金を出して自社商品のPRを行いたいのに、短所を書き連ねることはないからです。これを批判するのではなく、むしろ前提として読めばいいのです。

広告やちらし、金融機関等の商品説明資料が、きれいなビジュアルで、素晴らしい商品だとあなたに語りかけてくるのは当たり前です。そう思えるだけで、あなたは冷静に商品に対峙できるようになるでしょう。

○新聞や雑誌の記事
次に見極めてみたいのは新聞や雑誌の記事です。新聞や雑誌はそれぞれ個性(編集方針)がありますので、まずその個性を理解することが記事を見極める一歩です。

例えば投機的つまりギャンブル的な話題を積極的に取り上げるマネー雑誌があったとすれば、そこで紹介されている「確実」のような言葉は割り引いて考えるべきでしょう。とかく悪口を言うメディアの場合、おかしくないものにも批判ばかりすることがあります(公的年金運用が一時的にマイナスであったときは大きく批判し、利益が出たときは静かに報道するとか)。

最近注意したいのはたくさんの媒体から記事を配信しているニュースポータルサイトやアプリです。ひとつのWEBに異なる編集方針をもつ媒体の記事がいくつも掲載されているわけで、「本音」が読み取りにくくなっています。経済誌も女性誌も一般紙も新聞も同じ場所で読める便利さはありますが、出典媒体がどこかを確認してから記事を読む癖をつけておくといいでしょう。

○インタビューやコメント記事
専門家が登場しているものの、すべての記事をその専門家が書いているわけではない、というパターンに「インタビュー」と「コメント」があります。

インタビューの場合は何らかのテーマを編集部が設定しそのテーマに沿って専門家に話してもらい記事が構成されています。話がうまく深掘りされているかはインタビュワーと記事をとりまとめる編集の手腕にもよりますし、専門家の発言意図よりも編集の意図のほうが強い記事にまとまることもあります。

同様に、記事のほとんどは編集部側が書き、そのメッセージを専門的に裏打ちするために使われるのが「コメント」ということになります。1ページの記事に数カ所のコメントで「山崎さんは○○だという」のように少しだけ使われます。

インタビューもコメントも、ひとつの記事に対して1時間くらい話をしているはずですが、使われる文字数はごく一部でしかありません。話した内容はすべて盛り込まれていないと考えるのが自然ですし、むしろ「書かれていない本音があるかも」と行間を読むような意識があるといいでしょう。

広告の中の専門家のコメントは基本的に広告だと思うべきです。つまり悪口は書かれないということです。また、雑誌等の広告主の悪口は基本的に避けるものです(広告を出してもらえなくなるため)。ただし編集方針によっては広告主のことをまったく忖度しない雑誌もあります。

○FPや経済評論家の執筆記事
記事の最初から最後までを誰かひとりの人が執筆し寄稿している場合はどうでしょうか(例えば、今あなたが読んでいるコラムがこのカテゴリーに該当します)。

基本的には署名記事はその執筆者が最初から最後まで責任を持って書いているものであり、無断に改変されて掲載されることは原則としてないので、執筆者が時流におもねらない人であれば、記事内容にも信頼が期待できます。

ただし掲載媒体とその編集者のやりとりの中でテーマ選択や原稿内容の手直しが行われることはあります(といっても、改ざんされるのではなくむしろ、たくさんの人に読まれるように読みやすくする作業として行われる)。

編集部作成の記事と比べれば、執筆者の知見や見識にもとづいた情報がダイレクトに得られる可能性があります(つまり執筆者の能力が記事に直接反映される)。また、個人の見解である以上「偏り」がある可能性は否定できず、そこは見極めたいところです。

ところで、執筆者の「商売」はチェックしておくといいでしょう。保険代理店の人が生命保険の悪口は控えるでしょうし、投資信託の運用会社の社長が、自らの提供する投資商品を否定するはずがないからです(でもこれは仕方がないことです)。しかし専門性の高い情報を提供してくれる可能性は大いにあり、そうした「本音」も考えておくとより深い理解ができるでしょう。

○FPや経済評論家の書籍
それでは書籍はどうでしょうか。書籍は執筆者の意見をダイレクトに収集することが可能で、かつ情報量も豊富であることに特徴があります。

雑誌やネットの記事はひとつあたり2000字程度であり(ネットは特に短い記事が多い)、論旨はできるだけ単純にする必要があります。そのため、原則論は述べられてもちょっとした例外まで触れられないことがしばしばです。

書籍では、書き切れない問題はあまり起こりません。基本的な著者の考えは受け止められると考えていいでしょう(といっても書籍で何万文字書き連ねようとすべてを書き切ることはできないのですが)。

ただし前述のとおり「個人の意見であるがゆえの偏り」「著者の商売や立場」は確認しておきたいところです。

○(おまけ)講演
セミナー等の講演で「いい話を聞いた!」「わかりやすくて役に立った!」と思うことがありますが、講演はどうでしょうか。講演は「雑誌記事以上、書籍未満」というポジションになるかと思います。2000文字よりは豊富な情報を得られますが、それでも書籍を一冊読むほどの情報量には達しません。

また、「個人の意見であるがゆえの偏り」「著者の商売や立場」に影響されることは同様です。これに加えて「主催者」の意向は必ず考慮してください。講師料を払って、参加者には無料であるのに、100%自由に講師が話すことはないからです。例えば証券会社がセミナーを組んで「新興国の今後の経済動向について」というお題であったとき、「たまたま」新興国に投資する投資信託のセールストークがセットされるわけではなく、それは必然です。

ところで、講演ではしばしば「○△さんの話はいつもおもしろい」とファンになるあまり、その方の意見について無批判になっていく傾向があります。ファンがゆえの思考停止状態にならないように注意したいところです。

相手の「本音」が分かれば情報はより有意義になる

100%自由に発信され、100%中立的に提供されるコンテンツはありません。何らかの偏りがないメッセージがあったとしても、むしろ無味乾燥で役に立たないことでしょう。

むしろ「本音」を理解したうえで、さらにその奥の「本音」を考えるようになると、お金の記事の理解度は深まっていきます。こうした「お金の記事の読み方」のようなコラムはあまりないと思いますので、ちょっと参考にしてみてください。
(文:山崎 俊輔)