[8.25 第29回ユニバーシアード競技大会・台北大会準々決勝 日本代表6-0イタリア代表]

 唯一の前回大会経験者が、主将として雪辱を果たした。左腕にキャプテンマークを巻き、機動力のある司令塔として攻撃をけん引したMF重廣卓也(阪南大4年=広島皆実高、京都内定)は、準々決勝を勝利した後で「気合いは、みんな以上に入れていた。前回は自分が出場していて負けた。その悔しい思いを引きずっていたので、新チームになってから、この大会に向けて、壁を乗り越えるためにやって来た。準々決勝でイタリアと対戦することになって楽しみにしていた」と、試合にかけていた気持ちを明かした。

 国際大学スポーツ連盟が主催する第29回ユニバーシアード競技大会の男子サッカー準々決勝。全日本大学選抜で臨んでいる日本は、前回王者のイタリアを6-0で下した。2年前に行われた前回大会に出場していた重廣にとっては、準決勝でPK戦の末に敗れた相手への雪辱戦だった。

 試合は、開始3分で相手に退場者が出て、一方的な試合に持ち込むことに成功した。ダブルボランチの一角を務めた重廣は、前半17分に左サイドへの展開で左MF脇坂泰斗(阪南大4年=川崎F U-18、川崎内定)のカットインシュートを誘発。後半には、強いくさびのパスをバイタルエリアで呼び込み、浮き球で最終ライン裏を攻略。FWジャーメイン良(流通経済大4年=流通経済大柏高、仙台内定)のゴールをアシストした。

 脇坂が「シゲ君とは阪南大で一緒にやっているので、パスが来ると信じていた」と言えば、ジャーメインも「このチームでの僕の得点は、8割くらいがシゲのアシスト。シゲが持ったら、相手の背後に走れば、良いボールが来る」と絶大の信頼を示した。

 アシストだけでなく得点のチャンスもあっただけに、重廣は「僕が動いてスペースを空けて、味方が使って、また僕が受けてスルーパスを狙うというプレーは、やりたいと思っていたこと。アシストをできたことは良かった。欲を言えば、得点を欲しかったし、まだまだ精度を上げないとダメ。先を見て頑張りたい」と手応えだけでなく課題も口にしたが、攻撃の起点として存在感を示した。重廣は、運動量を高く評価されているボランチだが、プレーの中でキラリと技術を光らせる選手でもある。

「上手い奴は、いくらでもいる。そこにどう勝つか。他人にはないものを伸ばすしかない。高校時代は、スタミナが特徴なんて言われたことはなくて、どちらかと言えば止まってパスを受けて、フリックでパスを散らすようなスタイルだったし、守備も今のようにガツガツ行くタイプではなかった。自分の特長を運動量と書かれることに対して、最初は違和感があったけど、今は何とも思っていない。むしろ、阪南大で須佐(徹太郎)監督に新しい特長を引き出してもらったおかげで、それまでは見えていなかったものが見えるようになって成長できた」

 プレーの幅を広げて実用性の高い選手となった重廣にとって、2度のユニバーシアード出場は、成長を証明する舞台でもある。2学年上の先輩に負けまいとがむしゃらに立ち向かった2年前とは違い、今大会では日本を背負って戦うことを誇りに思えているという。「頭の中をリセットして、新しい気持ちで準決勝に臨みたい。世界一になってチームに帰りたい」と先を見据えた。2年前に届かなかった金メダルを手にするまで、あと2勝だ。

(取材・文 平野貴也)

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