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40〜50代は子供が高校、大学と進学する世代です。男の子同士、女の子同士なので、一部屋を共有していても、受験期となれば一人の勉強部屋も必要となるでしょう。親も今後のことを考えれば、資産として活用できるしっかりした住まいを考える最終段階です。しかし、収入は多くても何かとお金が係る世代です。この年代の危うい部分、気を付ける点はどこにあるでしょうか。

○準備万端と誤算

当然この世代で住まいを取得するということは、ある程度の頭金の準備だけでなく、間近に迫る子供の学費についても見通しがついているはずです。子供が卒業すれば一気に楽になり、65歳程度までの期間を老後の準備に当てる見込みもつきます。しかしこの準備と見通しが、万一の場合のリスクへの対策を甘くしがちです。

主なリスクは失業と病気やケガでしょう。災害もあります。特にこれから病気になりやすくなる年代です。働けず医療費もかかる状態が続けば、それまでどれだけ収入があっても事態は一挙に悪化します。債務者が亡くなってしまったり一定の高度障害になったりすれば、その後のローンは支払わなくても済みますが、そうでなければ、負債はそのまま払い続けなければなりません。

この世代に特徴的なのは、不測の事態が起きた時に変わり身のスピードが遅くなりがちな点です。子供もまだ就学中で転居等の自由も利かない。それなりに地位も確立してプライドが変化を躊躇させる。親も高齢化し助けにならない。年齢的にもやや保守的になり、素早い対処ができない。新しい働き先を探しても年齢的に良い条件のものがない。専業主婦の期間が長いと、すぐに仕事に就くという転身が難しく、スキルもなければよい仕事はない…… など、不測の時代が起きた時に対処が遅れる点です。何か起きた時は素早い対処が問題の痛手を少なくする最良の方策だからです。

この世代の住宅取得は、是非こうした事態に対処する方法を講じてから、進めて下さい。団体信用生命保険の中には、疾病保証付きのも増加しています。該当する疾病の範囲も3大疾病が対象のものから、より広い病気に対応するものまでいろいろあります。現在加入している生命保険の保障内容と照らし合わせて、必要な保障を検討ください。

○この年代の資産としての住まい

考えてみれば、子供たちはアッという間に独立していきます。広い住まいに夫婦二人ということになるかもしれません。当然、夫婦二人になったときも想定して住まいを購入しなければなりません。

■ いつまで所有する?

子供に譲る必要がなければ、新築である必要はありません。極端に言えば、耐震性能は必要ですが、自分たちの余命と建物の余命が一緒であれば済むはずです。安い中古住宅を選択すると、資金に余裕ができ、万一のリスクを少なくできます。

■ 自立できなくなったら?

誰もが生涯自立して生活できることを望んでいると思いますが、実際はそうでないことが大半です。政府は在宅介護を推進していますが、晩婚化や女性も働かなければならない経済的環境を考えれば、若い世代に介護を期待するのは難しくなるでしょう。従って施設に入居する場合、住まいをどう扱うかは重要なポイントです。二人で入居する、配偶者のみ入居、最後におひとり様で入居するなど、さまざまな状況が考えられます。いずれの場合も住まいの活用が重要なポイントです。住まいを活用する場合は貸したり売却したりできる物件であることが重要です。

○晩婚化が状況を厳しくする?

今回の一連の年代設定は、平均的な結婚時期で考えています。したがって晩婚の場合はまた状況が変わります。晩婚の場合は、先々の住宅ローン返済、教育費、老後の準備が一度に重なる場合も考えられます。そのために本当は独身時代にその分を先行投資としてせっせと蓄えなければならないはずなのですが、多くの独身者は、程度の差はあれ、自分のために多くの小遣いを割いているでしょう。Facebookなどをみると、若い世代の日々の暮らしがひと昔と比較して、とんでもなく贅沢なのが見て取れます。晩婚は時代の流れですが、晩婚でも問題を先送りしないことを心がけて、準備することが大切です。

この世代はそれなりに手堅く計画しているとは思います。それでも住まいを取得するには、万一の場合の保険をいろいろ用意しておくことです。保険とは保険商品のことだけではありません。妻が働く、またはいつでも働けるベースを作っておく、将来に向けてダブルライセンスを取得するなどいろいろ考えられます。同時に心がけておくことは、何かあったときに素早く方向転換できる自分であり続けることなのです。一流企業の部長職を務めながら、ローン破たんし、軌道修正が遅れたために転職し(退職金で対処するため)、子供を公立に転向させ、結局そうまでして守った住まいも売却せざるを得なかったケースの記事を読んだことがあります。

<著者プロフィール>

佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

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