SNSでストレスや疲れを感じる人が増加。適度な接し方とは?

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現代人にとって便利なツールであるSNS

私たちの生活にSNSが関わるようになって久しく経ちます。SNSの利用者数は年々増加しており、2017年7月現在でFacebookでは2,700万人、Twitterが4,000万人、Instagramが1,600万人、LINEは6,600万人(国内)となっていて、スマートフォンやタブレット、パソコンを利用されている方のほとんどが、何らかのSNSを利用されているイメージです。

SNSは、情報の共有や連絡の他に、友人・知人の近況を知ることができたり、また自分の近況も発信することができたりと、直接会うことをしなくてもコミュニケーションをとることができる、忙しい現代人にとっては非常に便利なツールと言えるでしょう。

しかし、ここ数年このSNSを利用する人たちの中から「SNS疲れ」「ソーシャル疲れ」などという言葉を耳にするようになりました。人とのコミュニケーションを気軽に、そして便利に行うことがSNSの本来の目的であると思うのですが、このSNS内でのコミュニケーションに必要以上の労力や神経を使い、それでもSNSをやめることができず、心身ともに疲弊してしまう方が増えているというのです。


SNS疲れ(ソーシャル疲れ)とは?

それでは、この「SNS疲れ」とはどの様なものなのでしょう。

SNSの楽しみは人とのコミュニケーションが取れることです。遠くの友人と繫がったり、時には懐かしい同級生と思いがけず連絡が取れたり、コミュニティやグループの中で新しい出会いがあったりすることは、SNSの大きな魅力です。しかし、このネット上で常に人と繋がっている状態が、自分でも気付かぬうちに心身に負担をかけていることがあるのです。

例えば、自分が日記を書いたり動画や画像を投稿したりした時に、「いいね」やコメントが付くと嬉しいものです。これは自分を他者が認識してくれていることを非常に解りやすく感じることができるので、「承認欲求」(他者に自分を認めてもらいたいという欲求)を満たすことができます。

この「承認欲求」は誰もが持っているのですが、その強さには個人差があり、この欲求が強すぎる人は、もっと認めてもらいたい、もっと興味を持ってほしいという欲求が高まり、投稿することに過剰な労力を費やすことになります。少し前に迷惑行為や違法行為の画像を投稿して、問題になったり罰を受けたりした事件が話題になりましたが、これは行き過ぎた「承認欲求」の結果ともいえるでしょう。

また逆に、自分の投稿に「いいね」やコメントをもらうと、他者の投稿にもお返しをしなければと考え、特に興味のない内容の投稿にも「いいね」をしたり無理にコメントをしたりする方もいらっしゃいます。これは他者に気を使う傾向の強い性格の方によく見られる傾向です。

さらに、友人の投稿内容が海外旅行へ行ったり、高級そうなお店での食事だったり、大勢の友人と遊びに行ったりした内容だったりすると、なんだか自分だけが平凡でつまらない日々を送っているような気がして、羨ましい・妬ましいといった感情が芽生え、意味のない劣等感を抱く場合もあります。それが転じて、自分の生活が充実しているように見せようとして、興味のないイベントに参加したり、ゆっくりしたい休日に知り合いを誘って遊びに出掛けたりと、無理に投稿するネタを作ろうとすることも「SNS疲れ」を起こす要因となります。


これってSNS疲れかもと感じたら

このような「SNS疲れ」を感じた方は一度原点に立ち戻ってみましょう。

SNSを使う目的は、普段直接会えない方と気軽にコミュニケーションを取り、相手の意思や感情に共感し、発信された情報によって知識を得たり思考をしたりすることであって、これらはすべて自分自身の生活を豊かに楽しく過ごすために行うものです。

あなた自身が共感できない内容に「いいね」をする必要はありませんし、あなたの投稿に「いいね」をしてくれない人は、あなたと異なる価値観を持っているだけです。

旅行で楽しそうに過ごしている画像を投稿している人が、仕事も家庭もすべて幸せとは限りません。他者の投稿内容や反応に惑わされることなく、自分の想いを適切に表現するだけで自然に繋がれる人とは繋がっていけますし、繋がれない方とはご縁が無かったというだけです。

とはいえ、そんなに上手く割り切れないという方は、一度SNSから離れてみて一定の期間を置いてみましょう。そのうえで、自分がSNSをもう一度始めたいのか、必要ないのかを客観的に考えてみることも一つの方法です。


【西尾 浩良:心理カウンセラー】


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