コンテが採用した3-4-3。その理に適ったシステムは、プレミアリーグで瞬く間に広まった。 (C) Getty Images

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 今シーズンのプレミアリーグにおいて、3-4-3が流行している。昨シーズン、チェルシーをプレミアリーグ制覇に導いたイタリア人指揮官アントニオ・コンテが持ち込んだシステムだ。
 
 その合理性に各チームの指揮官たちは目を見張ったのだろう。これまでプレミアリーグでは、馴染みのなかったシステムを採用するチームが増えた。
 
 とはいえ、その傾向は昨シーズンから見られていた。4月17日に、英国メディア『スカイ・スポーツ』が実施した調査によると、16-17シーズンに3バックを採用したチームは、前年度に比べて10チームから17チームにほぼ倍増。さらに用いた回数にいたっては34回から112回と3倍以上に増加していたのだ。
 
 今シーズンも潮流は同様で、開幕2節を終えた時点では1節に6チームが、2節には8チームが3バックを採用。このペースのままいけば、シーズン終了時点には、昨シーズンの2倍以上となる採用回数を記録することになりそうだ。
 
 ではなぜ、プレミアリーグで3バック、とりわけ中盤がフラットな3-4-3を採用するチームが増えたのだろうか。理由の一つに挙げられるのは、これまでプレミアにおいてスタンダードだった4-2-3-1あるいは4-4-2の採用時の選手負担の増加にある。
 
 例えば、セントラルMFでいえば、最終ラインからボールを引き出し、攻撃の起点となれる技術、ボックス付近にまで駆け上がってゴールに絡める運動量などが不可欠だ。
 
 加えて、守備面では空中戦や球際のデュエルで負けないフィジカル、さらにはチームをコントロールするパーソナルな面も求められ、はっきり言って役割過多だった。
 
 これが3-4-3の場合、セントラルMFに求められる役割は激変する。
 
 自陣での組み立てをCBが巻き取るため、以前より少しプレーエリアは高めになる。結果、以前ほどビルドアップ能力は必要とされない。守備の場面でもCBのサポートが得られる分、積極的に中盤の彼らがインターセプトを狙えるようになり、低い位置での守備のタスクから解放されるのだ。
 
 昨シーズンの覇者チェルシーにおいては、中盤における守備のタスクを最終ラインのダビド・ルイスが担うことで、エヌゴロ・カンテはボールホルダーをどこまでも追い回すことが可能となり、速攻に繋げることができていた。
 
 課せられる役割がより限定的になったことで、蘇った選手もいる。
 
 トッテナムのムサ・デンベレはプレミア随一のフィジカルを持ち、縦への推進力やキープ力でチームに貢献するタイプであったが、展開力を持たないため、従来の4-2-3-1の2ボランチでプレーすると、球離れが遅く、攻撃を停滞させてしまっていた。
 
 そんな彼が苦手なタスクから解放されたうえ、CBから近距離でサポートを得られるようになり、今シーズンは開幕2試合連続フル出場を果たすなど、これまで以上の貢献度を見せている。
 ただ、セントラルMFに関していえば、従来の4-1-4-1でもさほど問題は大きくなかった。そのなかで、3-4-3が現在のような広まりを見せているのは、SBやウイングも役割過多となっていたからだ。
 
 2000年代初頭までなら、SBに求められるのは、大雑把に言ってしまえば、運動量で前方に位置する味方をサポートしつつ、守備での対人戦で負けないことだった。
 
 しかし、守備戦術の激的な進化により、彼らの攻撃面での仕事は増した。ビルドアップや質の高いクロスだけでなく、個人技で敵ボックス内へ侵入することも求められるようになったのだ。
 
 それでいてプレミアでは、相変わらず、球際でのフィジカルを求められる。一部のワールドクラスを除けば、全てをパーフェクトにこなすことは不可能だ。